2016年11月30日

『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』レビュー


 Amazonで間隙を縫って二次出荷分の予約に成功していた『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』(以下、ミニファミコン)。
 12月14日頃発送予定になっていたのだが、昨日、突然発送された。
 というわけで世間的には遅くなったが、ザッとレビューをしておきたい。


 このハードをひとことで言うと「バーチャルコンソールのタイトル30本をお手軽に遊べるようにしました」という感じ。
 利点としては、Wii U バーチャルコンソールのどこでもセーブ機能は1つしか保存できなかったのに対し、
 ミニファミコンは1タイトルにつき4か所まで保存できるところや、
 30タイトルそれぞれをバーチャルコンソールで買うより遥かに安い(多分3倍以上違う)ところ、
 あと、起動が早いところ……といった感じだろうか。

 特に起動の速さは大事な点。さすがに電源入れた瞬間にメニュー画面が出るほどには速くないが、
 変なロゴがいっぱい出るのを待たなければならない昨今のゲームと比べるとスピーディーだし、
 ああ、ファミコンの頃ってこうだったよなァと懐かしく感じたり。
 コントローラの小ささについては、思ったよりは気にならなかった。……俺の手が小さいからかもしれんが。


 
 ちょっと気になったのは、保存しているセーブデータの時間表示。
 ロックするとカギマークで3ケタ目が隠れそうなので、99時間59分以上の表示はなさそう……?
 充分やないかいって話ではあるけども。


 今はバーチャルコンソールがあることと、収録されている30本はすべてバーチャルコンソールでも配信されているものなので、
「昔のゲームを公式アイテムで堂々と遊べるありがたみ」というのは薄い。

 しかし、ファミコンのバーチャルコンソールには「なぜか画面が少し暗く、ぼやけている」という重大な欠点があった。
「画面が暗い」というのはゲームボーイアドバンスのバーチャルコンソールもそうだったのだが、「ぼやけている」のはファミコンのみ。
 画面の暗さについては「ポケモンフラッシュ問題を意識して暗くしているのでは」という説もあるらしく、
 もし本当だとしたら「なるほど……」とは思うものの、一律強制的に暗くするんじゃなくてユーザー側でモードを選ばせてほしいし、
「ファミコンだけが、ぼやける」理由だけは不明だった。

 今回のミニファミコン発売のニュースを聞いて最初に思ったのが「これでやっとドットクッキリに!?」だった。
 ミニファミコンは「アナログテレビ」「4:3」「ピクセルパーフェクト」の3つのモードで表示可能で、
「4:3」モードと「ピクセルパーフェクト」モードの両方でドットがクッキリなことを確認。
 バーチャルコンソールのぼやけはマジで何だったのか……。
 なお「アナログテレビ」モードは、いくら懐古的な雰囲気に浸りたくても、ちょっと画質が目に悪すぎ。
 当時でもこんなひどくなかった気がする。ずっと見てたら視力落ちそう。



「4:3」モード


「ピクセルパーフェクト」モード


「アナログテレビ」モード
(※常に画面が微妙に揺れてる感じということもあり、こうして静止画として切り抜くと実際以上にひどく見えます)


Wii U のバーチャルコンソール版


 こうしてみると、Wii U バーチャルコンソール版のぼやけがよく分かると思う。
 ちなみに縦横比もちょっとおかしくて、通常より横長。ゲームパッド画面だと、ここからさらに横長になる謎仕様。
 Wii U 本体の解像度を480pに落とすと縦横比は正常っぽくなるが、キャプチャ画面が小さくなる。
 バーチャルコンソール起動するたびに解像度変更なんてやってられん。


 つまり今回のミニファミコンは……

 ・エミュなどのグレーな手段じゃない「公式アイテム」で、
 ・レトロフリークなどの内部エミュレーションではない「任天堂謹製」で、
 ・収録されている30本に限るが、「クッキリしたドット」で画面表示できる唯一のハード

 ……ということだ。
 これ以外に同等レベルの対抗馬となるともうエミュか、RGB改造を施したファミコンしかないと思う。


 というわけで、個人的には懐かしさによるゲームプレイ目的というよりは資料的キープというか画面写真・動画撮影手段としての購入。
 ただ、『リンクの冒険』に関しては、小学生の頃に友人宅で見て憧れのゲームだったので、1回ちゃんとやりたいなァと思って
 始めてみたものの、リンクと街の人の頭の大きさの違いに吹いたりして、なかなかあの頃のように純粋に見れない。


 
 頭の大きさが4倍くらい違って草


 その他、気付いた点を列挙してみる。

 ・リセットボタンを押すだけで自動的に中断セーブされるのは良いが、保存箇所が各タイトル4つまでしかない。

  大して容量は食わないはずなので、セーブ箇所は山ほど用意してほしかった。


 ・コントローラのケーブルがスゲェ短い。

  これは実際に触ってみて一番「げぇっ」と感じた点。多分1メートルだと思うが、この短さは地獄。
  本体の置き場所によっては、長いHDMIケーブルとUSBケーブルを用意して、ムリヤリ本体を手元近くに置かないとキツい。


 ・コントローラが着脱式ではないため、コントローラの消耗が気になる

  海外版のミニファミコンは Wii のコントローラ端子と互換性があるコネクタになってて、着脱可能なのよね……。
  つまり、Wii や Wii U で使っているクラシックコントローラが使用できる。
  日本のファミコンにも前面に拡張コントローラ端子があったんだから、そこに Wii 用のコネクタ付けて欲しかったなァ。


 ・解像度は1280×720固定。いじることはできない。

  これは大した問題でもないが、アマレコなどのキャプチャで「映らねえ!」ってなってる人は設定を1280×720に。


 ・FF3をやって気付いたが、エンカウント時の画面明滅演出がない。

  バーチャルコンソールのFF3にはあったが、ミニファミコン版では明滅自体、しない。
  前述のように、ポケモンフラッシュ問題を意識しての変更かなぁ。
  まあ大した差ではないのだけど、結構そういうところいじってるのね、と。


 ・拡張の可能性が割と絶望的。

  本体のどこを見ても、後々の拡張に使えそうな端子などがない。
  ミニファミコン発売のニュースを聞いたとき、「最初から拡張前提にして、バーチャルコンソールだけを
  切り離して独立させたようなものにすればいいのに」と思っていたが、
  ミニファミコンは今後どんなに要望があったとしても、これ単体で完結させてしまうようだ。
  ソフトラインナップを変えて「2」とかは出せそうだけど、
  そうなると新たなラインナップごとに本体が増えていくわけで、無駄にかさばるし、実現しなさそうかな。
  見分けもつきづらそうだし……。

  しっかし、企画丸パクリでいいから、ミニPCエンジンとか出してほしい。切実に。


  ・ ・ ・

 あと、細かい事ではあるが、ちょっと気になったので。
「ミニファミコン ピクセルパーフェクト」で検索するとトップに出てくるこのページだと、解説が間違っている。



 ファミコン全盛期のテレビ(アナログテレビ)と今のテレビは解像度と画面の比率が異なるんですね。
 横と縦の比率は通常のアナログテレビは4:3で、今のテレビは16:9。
 ここがポイントで、当時のファミコンゲームをそのまま今のテレビで表示すると横長になってしまいます。
 ファミコンを鬼のように遊んだ人にとっては、ファミコンミニをプレイしたときに何となく違和感を感じたかもしれません。


 この後の説明も「今使っているテレビが16:9の比率なので、「4:3」モードだと横に伸びて表示されちゃっています。
 これを修正するため、各ピクセルを正方形にして表示するのが次の「ピクセルパーフェクト」モードです。
」とあるが、
 まるっきり違う。

 要約すると、「4:3モードは、16:9のモニタに映しているから横長になっている」、
「ピクセルパーフェクトは16:9モニタに映す際、映像を正常に戻すためのモード」と言っているわけだが、
 そもそもピクセルパーフェクトこそが素の状態であり、これを当時の4:3のブラウン菅に映すと、ほんのり横長になったのだ。
 その当時の状況を再現したのが4:3モード。16:9のモニタ云々は、まったく関係ない。

 開発時はピクセルパーフェクト状態だったと思われるが、当時の開発は「テレビに映った状態を想定してドットを打つ」
 ということもあったらしく、やはり4:3モードこそが当時の完全再現といえる。
 ピクセルパーフェクトは正直エミュレータでしかお目にかからないレベルの代物で、
 当時この状態で遊べた人なんて、開発者くらいじゃないだろうか……。


 そして姑のようで恐縮だが、「ファミコンミニ ピクセルパーフェクト」で検索すると上から3番目に出てくるこのページでは……


 「ピクセルパーフェクト」は補完が効いててなめらかに見えます。

 とか書かれてて、もう吹くしかない。あ、あのな、何の補完もしてないのがピクセルパーフェクトなんだよ。
 ドットのカクカク具合が最高にクッキリで、なおかつ1ドットが正方形である状態にこだわったのがピクセルパーフェクトなのに、
 補完が効いてなめらかに見えるってどういうことだよ。どんな劣悪なモニタで遊んでるんだよ。


 というか検索して見れば見るほど、大してファミコン好きでも懐かしくもなさそうな奴らが
 ちょっと触っただけのスゲー適当な感想述べてて、最後に「久々にやってみてはいかがでしょうか」みたいな
 クソどうでもいい締めで「ハイ終わり終わり」感あふれる記事を大量生産していてモヤモヤムラムラする。
 ちょっと触っただけという点では俺も一緒なのでモゴ……モゴ……という感じだが、せめて情報は正しく伝えてくれ。マジで。


 あと、いつの間にか全30タイトルの当時の説明書が配信されていた。
 ミニファミコン上で読めたほうがいい気もするけど、PDF形式で保管できるのも、それはそれでありがたい。
 全力で全部保存した。

 ……というわけでミニファミコン簡易レビューでした。
 また長くなってしまったが、テケトーに拾い読みしてくれい。


 そういえば、『リンクの冒険』のスタート地点を見て、ふと『ワンダと巨像』のスタート地点を思い出してしまった。


 
 十数年の時を超えて、『ワンダと巨像』のスタート地点と思い出がリンク。リンクの冒険だけに。


 まさかこれのオマージュだったということはないよな……とか思いながら、
『人喰いの大鷲トリコ』の発売があと1週間と迫りつつあることに気付き、さらにその1週間後には
『サガ スカーレット グレイス』と、なかなか久々のゲーム地獄。
 昨日はFF15の発売日で、マイペース進行しているところだが、明らかに処理できないのが見えている。
 だが……ここ数年なかった「好きなゲームが立て続けに出る」という出来事は超嬉しかったりするわけで……。

 とりあえずFF15は写真ページに嘘コメント付けつつチビチビ更新しているので、
 FF15をやってる人もやってない人も楽しんで頂ければと思います。



2016年11月29日

山崎 功『ファミコンコンプリートガイド』(主婦の友社)


 資料性が高そうな書籍だったので予約しておいた1冊。
 ファミコンのコンプリート系書籍は長年ファミ・コンプリートの独壇場……というかこれと
 ファミリーコンピュータ 1983-1994くらいしかない有り様だったが、ようやくそれを超えられそうなものが登場した感じ。
 ディスクシステムも網羅していることや、周辺機器やチラシなどのアイテムも紹介しているので、想定以上に資料性は高かった。

 というか周辺機器はホントによくこれだけ集めたと思う。こういうのは全記録している組織なんてないから、
 もしこういう本が出なければ、時間の経過と共にそのまま忘れ去られる可能性大だったんじゃないかという品もチラホラ。
 お値段は税別2,300円とそこそこ張る本だが、フルカラー320ページでこの内容なら個人的には文句なし。

 ただ、同著者の家庭用ゲーム機コンプリート ガイドに文章の盗用疑惑があり、
 このAmazonレビューに書いてあることがもし本当だとしたら、この著者はあまり良い人物ではなさそう。
 一見、ゲームに愛があるようで、実はビジネスの種としか考えていないタイプの人間なのかなぁと、ちょっと残念。

 Amazonレビューのひとつに「ブックオフの値札くらい剥がしてから撮影しろよ……」という、ごもっともな意見があったが、
 紙箱の場合は、ヘタに剥がそうとすると破けてしまうケースが多い。
 そんなことになるくらいなら、いっそ値札ついたままのほうが……という判断なのかもしれん。

 というかパッケージ箱の写真は小さすぎて判別できないレベルなので、個人的にはそっちのほうがキツい。
 誌面の実寸で1センチ×2センチくらいの大きさ。ここまで小さくする必要あるのかと考えたとき、
 元画像をネットから引っ張ってきて、それの誤魔化し……とかなら有り得るなァとか邪推してしまうが、
 奥付を見るとコレクターの酒缶さんが資料協力しているので、そんなことする必要もなさそう。
 その辺りのイマイチ度や、1ページに6タイトル詰め込んでることもあって
 各タイトルの紹介文が本当に必要最低限に留まっていて、ソフト紹介部分は超簡易カタログの域は出ない。

 国会図書館じゃないけど、各ハードメーカーが自分とこのハードで出たソフトは全部保管しておいて、
 自前で資料室というか博物館的なものを作っておかないと、通常このテの書籍製作は難しいよなァと思う。
 尋常じゃないレベルのコレクターがたまたま数人居てくれてるから成立しているという。

 資料性が高いゲーム関連書籍といえば、最近でもこれが盗用疑惑で物議を醸していた。
 こういう問題がポツポツ出てくるのを見るに、このテの資料系書籍は昔ほど信頼性が高くなくなってきているようにも思うが、
 その原因はやっぱりネットの普及にあるのだろうな、と思う。
 ネットがなかった頃は何が何でも自力で調べるしかなかった分、情報の盗用などは起きようがなかったわけだ。
 というかこの作者のツイッターの発言を見ると、盗用疑惑よりも、そことは無関係の面での発言のほうがマイナスイメージデカい。

 資料性が命の書籍はそれこそ国語辞典を作るくらいの気合と労力とチェック体制で挑むべきなのだが、
 実際はそう爆発的に売れるようなものでもないから、予想される利益に応じてスケジュールはタイトになるし、人員も割けない。
 結局、個人が趣味でやってる同人誌が最も信頼性が高い、みたいな悲しい結果になりがち。

 ファミコンはまだ結構いろいろと出ているが、これがスーパーファミコンになると
 SFC1445タイトル完全網羅エミュレータブック以外にロクな資料本がない有り様で、
 同時発売だったGB1236タイトル完全網羅エミュレータブックと合わせて重宝している。
 昔、たまたま本屋で見かけたときに買っておいて良かった。まさかこんなエミュレータ本がプレミア付くとは思わないよ。

 といっても各タイトルの紹介文は見るに堪えないレベルのひどさだし、
「どんなゲームがあったか」「発売年月日の確認」くらいにしか使えないし、Amazonレビューにもあるように
『スーパーマッドチャンプ』が未掲載なので、そこだけは覚えておかないといけないしで、なかなかストレートに良いとも言えない。
 それにしても資料本がエミュレータ本しかないって、ひどい状況だなあと思う。

 近々だと11月30日にジャレコ・アーカイブズというジャレコ特化の資料本が出るが、
 5,000円超えのハイパープライスには目を見張る。500ページくらいの本なのかなと思ったら192ページで二度驚く。
 よっぽど分厚い上質紙でも使っていない限り、多分ジャンプコミックスくらいの分厚さだろう。
 なんでこんなに高……と思っていたら、ゲームミュージックCDが付くそうな。
 うーむ、最近そっち方面は活発だから、音楽は音楽で任せて、本は本だけでいってほしかった気もする。

 とはいえ、ジャレコのコンテンツを正式に引き継いだ会社から出る、いわば公式本なので、信頼性は高い……と思いたい。
 5,000円かー……こういう本って大抵売り切れて、採算とれないから重版もかからなくて、
「あのとき買っておけばよかった」ってことになるんだよなァ。
 今、一生懸命、部屋から物を減らしているところなのにィィ……ギギギ。




2016年11月24日

FF15の写真ページ


 FF15のゲーム内での写真保存は、少なくとも初期状態では最大100枚が限度の様子。
 スキルによって保存枚数が増える可能性はあるものの、仮にそれがないとしたら、後半になると昔のは上書きしていくことになる可能性も。
「うーん、せっかくの写真が消えるのはもったいないなー」と思い、ページを作ってそこに載せていくことにしました。
 まだ体験版で撮影できたものしか載ってませんが、発売後、ボチボチ増やしていけたらと思います。

 写真は「決まったもの」と、プレイ中の様子をそのまま撮影したものと2種類あるようで、「決まったもの」は
 アルティマニアあたりがコンプリートしてくれるかなァとか勝手に期待。ちなみに12月28日発売らしい。ハヤイ。



2016年11月19日

FF15体験版『JUDGMENT DISC』プレイレポート

 発売直前のサプライズという形での新たな体験版が配信。
 ネット上ではバグがいろいろと報告されているが、自分のプレイではバグには一切遭遇しなかった。
 うーむ、世間的にはマイナーな Xbox One 版だったからか?
 まあ、発売延期してからの期間でゲーム進行に関わる致命的なバグを徹底的に潰したらしいし、
 発売後もパッチ当てていくらしいので、バグに関してはそこまで心配する必要はないだろう。

 ただ、ネット上を見ていると「オープンワールドのゲームだから、バグを潰すのは尋常じゃない労力」
 と擁護している意見も見受けられるが、仮にもプロなのだから、作るのが大変なことは早い段階で分かっていたはずで、
 バグ取りに相当な時間を費やす必要があることも分かっていたはず。
 そこも含めてスケジュールを管理すべきなので、ここは叩かれても仕方ない部分。
 そもそもこのゲーム、"ヴェルサス13" として発表された頃から11年が経過しているので、
 いくらオープンワールドでも、さすがにいかがなものかと思う。

 ネット上の意見では、画質の低さも挙げられている。



(※クリックすると1920×1080のデカい画像になります。
 重いですが、今回の記事ではすべての画面写真をあえてフルサイズにしています)


 たしかに、1920×1080の解像度の割には、なんだかぼやけているような感じなのは否めない。
 1280×720のゲームを1920×1080に拡大したみたいな感じ。

 ……と言っていたら、PS4版で体験版をプレイしていた知人がスクリーンショットを上げてくれて、
 比較してみてエラい差が出ていることに気付いた。



PS4版。


 キャラクターの距離や位置もまったく同じというわけではないので、パッと見では分かりにくいと思うが、
 ほぼ同じ距離・位置にある主人公のグローブのディテールを見てみると、随分違う。
 画面右下の名前が出ている部分は両者ともクッキリしているのが分かると思う。決して画像自体の質が落ちているわけではない。

 というわけで、PS4でも体験版をダウンロードして、できるだけ同じ条件で写真撮影してみた。


 


 左が Xbox One、右がPS4。
 FF15は時間帯によって光の加減が微妙に変わってくるので、色味の微妙な違いは無視してほしいが、
 それを抜きにしても一目瞭然の結果。実際にプレイしている際はそこまで気にならなかったのだが、
 静止画として抜き出すと、かなりの差が出る。少しでも画質を追い求める人はPS4版がオススメだろう。
 俺はエックスボクサーなので、やるなら Xbox One 版を購入するつもりだったが、この結果を見て
「とりあえずPS4版にしようかな……」と日和っているところ。安くなった頃に Xbox One 版で実績がんばる……。


 
 一方、イベントシーンなどでは、両機種版とも有無を言わせぬ超絶画質。
 もはや実写さながらで、映像主義のFFも「ついにここまで来たか」という感じ。


 ここの比較を見る限りではPS4 Proでもそこまで画質に大差はついていないが、
 これはおそらく、4k環境をキャプチャーできる機器がまだないからってのもあるだろう。
 あくまで4kをHD環境でプレイしての比較と思われる。

 24日に発売が迫っている<Xbox One Sだとどうなるのかが良く分からなかったのだが、
 Xbox One S はHDRには対応するが、4k対応はあくまで映像(ゲームではなく、映画や動画など)のみっぽい。
 つまり、こういうことだろう。

ハード4k(ゲーム)HDR(ゲーム)4k(映像)HDR(映像)
PS4 ××××
PS4 Pro
Xbox One ××××
Xbox One S ×

 4kは、現在主流の1920×1080という解像度を単純に倍の3840×2160にして、その面積でもぼやけない高画質……と認識している。
 間違ってたらスマン。そしてHDRは最近勉強したのだが、画面の輝度に関わる最新技術で、
 ひとことで言うと「よりリアルな光の表現ができるもの」という感じらしい。

 4kとHDRは別物であり、今後の映画などは4k+HDRが標準になっていくだろう、ということだとかなんとか。
 ただし、HDRはそもそもHDR対応のテレビがないと効果がないらしいので、現時点ではそこまで考える必要もなさそう。
 4kのほうは、現在のHDテレビやモニタでも多少の画質向上はするらしい。
 同じ画像を縮小したとき、より高精細なほうが綺麗に見える……ということだろう、タブン。
 重ねて言うが、間違ってたらスマン。

 こうして見ると Xbox One S の利点がゼロだが、Ultra HD Blu-rayの再生が可能らしい。
 Ultra HD Blu-rayを観るには専用のプレイヤーがないとダメなのだが、ゲーム兼プレイヤーとしての選択なら安価。
 ゲームとは関係ないが、Ultra HD Blu-rayの映画を楽しみたい人には……といったところだろうか。
 むしろPS4 ProがUltra HD Blu-rayに対応していないことが不思議な感じ。
 Xbox 陣営は、来年以降に発売予定しているProject Scorpioが4kとVRに対応するマシンのようなので、現時点では少々遅れをとっている。

 そして、以上の点は別にして、FF15に限って言えば、PS4版と Xbox One 版ではPS4版のほうが微妙に画質が上ということ。
 単純にハード性能が上か下かという問題でもなさそうだが、少なくとも体験版で判断する限りではこうなる。
 ちなみに Xbox One のゲームが全て必ずこうなるわけではないので、ご注意を。
 Xbox One 版ダークソウル2とか、60fpsヌルヌルでスゲー綺麗だったよ。

 ・ ・ ・

 ……というわけで話が脱線したが、体験版のレビューに戻ろう。
 2015年3月発売の『ファイナルファンタジー零式 HD』に付いていた体験版をプレイしたときは
「これは……ちょっと今回は発売日に買うのやめとこうかな」と感じる不安さがあった。
 とにかくあらゆる点が説明不足で、 カメラはグワングワン揺れるし、操作も洗練されていなかった。

 あれから1年8か月経ったわけだが、正直、かなり良くなっている。唯一心配なのは、
「オープンワールドにしたのはいいが、その広さに見合った何かがちゃんと用意されているのか?」という点。
 体験版は結構長く遊べるうえ、寄り道もできるようになっているのだが、思い返してみると
「特に何もない場所をダッシュで走っていた」という記憶が大半を占めている。

 実際、世界の広さをリアルに表現するとこうなるんだろうなというものは感じるのだが、
 そういうリアルな部分を意図的に省略して、ゲームとして退屈な場面が極力ないようにプレイヤーを楽しませることに徹してきたのが
 今までのRPGであり、積み上げてきた "省略の美学" とでも言うべきもの。
 この点は体験版だけでは判断できないのでまだ何とも言えないが、製品版ではどう料理しているのか気になるところ。

 このオープンワールドとダッシュにしてもそうだが、FF15は、これまでのRPGがゲームであるがゆえに目をつむってきた点を
 1から総点検し、「全部リアルにしていこう」という意気込み、そして執念が見える。


●リアル1:戦闘と魔法

 戦闘については、FF12で「フィールド画面からのシームレス移行」「キャラが自由に動ける」といった
 新しい方向性を示せたにも関わらず、FF13は「エンカウント方式」「キャラが自由に動けない」に戻ってしまった。
 個人的にはFF12の戦闘システムは恐ろしい完成度だと思っていたのだが、戻った理由としては、
「戦闘にはエンカウントで突入して、カッコいい戦闘の曲がかかって……」というオールドタイプを好む人が多かった……
 ……とかかなー、と勝手に想像している。

 FF15はFF12に近くなり、フィールドから戦闘へシームレスに移行。ATBゲージはなし、コマンド式ですらなくなった。
 ボタンに割り当てられた行動を覚えておけば、直感的に戦うことができる。
 Xbox Oneのボタン配置で言うと、X……ガード、B……通常攻撃、A……ジャンプみたいな感じ。
 十字キーの4方向で、装備している4つの武器を切り替えられるのだが、魔法もこの内のひとつにセットする。
 HPやMPは物陰でしゃがんでいると自然回復していくので、上手く戦えば回復アイテムを使わずに凌げる。


 
 画像じゃワカランだろうけど、ATBゲージがなくなったことにより、
 スピーディーかつノンストレスな戦いになっている。アクションRPGに近いかも。


 今回の魔法は対象となる敵だけでなく周囲のフィールドにも影響を及ぼすため、
 敵と仲間が近距離に居るときに魔法で攻撃すると、仲間も巻き込んでしまう。
 今までのように気軽にぶっ放すわけにもいかなさそうだし、魔法もMP制ではなく、
 エレメントが宿る石などを見つけてそこから吸収してチャージしておく……というシステムで使用回数に限りがあるので、無駄遣いも禁物。
 ここぞというときのために取っておく手段になりそう。
 エレメント吸収は、FF8のドローを思い出させる。


 
 フィールドに点在するポイントからエレメントを吸収する。
 これを元に、魔法を精製する。


 
 ブリザドを使った直後。
 シヴァでも来たのかというくらいの氷雪っぷり。


 
 戦闘後も氷まみれ。
 仲間がしばらくずっと「ゲホッ、ゲホッ」って言ってて、なんか罪悪感が……。


「ATBゲージがなくなった」と書いたが、魔法にのみ、使用後一定時間はチャージタイムが発生する。
 これは写真を見ても分かるように、魔法攻撃が今までのFFより強力な存在であるのが理由だろう。
 以前の体験版ではラムウ召喚を見ることができたのだが、小さい村なら消し飛ぶくらいの大災害だったので、
 終盤に出てくるであろう召喚獣の演出には期待がかかる。


●リアル2:仲間の存在感

 フィールドを走っているときなどにおもむろに剣を振り回すと、横を走っていた仲間が
「っとオイ、あぶねぇだろ!」とか言いながら、焦った様子で剣の軌道から避ける。主人公も、ちゃんと「ご、ごめん」と返す。

 戦闘中も、仲間に指示を出すコマンドがあるのだが、それを使わずにひとりで戦い続けていると
「オイ、ひとりでやってんなよ!」とツッコミが入るし、正直、忘れてることもあるので、
「おっと、そうだった」と気付かせてくれる良いアクセントになっている。
 タイミング良く連携が決まると、仲間と背中合わせでポーズを決めたりするが、
 なにぶん男4人パーティなので、どこかホモォ……な匂いは絶えない。

 店の中に入ると、

 プロンプト「おっ。ノクト、これ見てよ」
 ノクト「どうした?」

 といった会話も自然に入り、仲間の見ている方向を見ると、珍しい商品の紹介があったり。
 プレイヤーもこの瞬間はノクトの気持ちで「ん、何だ? どこだ?」とキョロキョロすることになるので、
 初めて入る店の中などでは、今までのRPGにはないレベルで「仲間と旅をしている」という臨場感がありそう。


 
 仲間の挙動を見る限り、キャラクターの当たり判定にはかなり気を遣われているのが分かるが、
 海岸で水のかけ合いっこをしているバカップルはすり抜けてしまって、ちょっと残念。
 楽しそうにしているところへ邪魔に入ると、急にブスッとした表情で睨み付けたりしてほしかった。


●リアル3:宿泊と写真

「レベルアップは宿に泊まったとき」という、まさかのウィザードリィ形式を採用。
 HPやMPは自然回復するので、無理にしょっちゅう宿泊する必要はないのだが、
 食事をとるためや、時間を夜から朝にするためにも宿泊は必要。
 ずっと待っていても朝にはなるが、夜は危険しかないため、やれることがほとんどなく、ほぼ寝るしかない。
 高級宿は取得経験値の倍率が上がるので、お金がタップリある状況なら高級宿に泊まるようになっていくのだろう。
 個人的には、ゲーム中、ちょうどいいタイミングで宿泊が必要になるので、一息つく時間というか、一区切りにいい要素だと感じた。


 
 妙に気合の入った料理の数々。レストランでも食べられるが、かなり高額。
 野外キャンプ時は、持っている食材を使って仲間のひとりが作ってくれる。
 料理によって、HPや攻撃力アップなど、翌日以降にいろんな効果が発生する。



 仲間たちとの様子を眺めつつ、レベルアップ具合の確認。
 ここの様子も、いろんなパターンが用意されていて飽きない。


 今回の目玉ともいえるのがこの宿泊で、前回の宿泊から今までの間の冒険を、「仲間が撮った写真」という要素で振り返ることができる。


 
「オイオイ、お前あのときカメラ目線だったのかよ」みたいな写真も結構あり、気に入った写真は保存していくことができる。
 RPGでの冒険の記憶をこういう形で残していけるのはおもしろいし、
 今までのRPGではパーティーを全快させるための作業でしかなかった「宿泊」という要素を、
 冒険の一区切り・レベルアップ・食事・冒険を振り返るという盛りだくさんの内容に仕上げた点も素晴らしい。


 今まで、男4人旅という点がどうもむさ苦しく感じていたが、この辺りの要素を見ていくにつれ、
「たしかにこれは、男ばかりじゃないとダメだな」と感じるようになった。
 野外キャンプをする機会の多いゲームだが、もし女が居ると、同じテントの中で寝るのはマズい。
 そっちはまだテント2つ張ればなんとかなりそうだが、宿泊施設のほうは、ちゃんとした宿ではなく
 格安のトレーラーハウス型の宿もあるため、部屋を分けるということができない。

 それに、仮にメインパーティーに女がひとり混ざっていたら、こういう旅の感じは出ない。
 必ず男の誰かひとりと仲良くなって、残りの男は蚊帳の外……みたいになりそうだし、
「3人の男全員と仲が良い女」なんて恐ろしく不自然だし、逆に気持ち悪い。
 全員が対等な感じで、仲の良い男仲間たちで気兼ねなくワイワイやってるムードを出すには、
 パーティー全員が同性同士であることが必要だったのだろう。

 普通のRPGならそこまで考えないが、FF15は特に「リアルであること」を目指しているようなので、この辺りも考えての "男4人" だと思いたい。
 ……でもまあ、男嫌いの女性キャラとかがストーリー上、仕方なく加入してもいいのよ?

 あと、「ホスト臭い」と言われ続けていた主人公たちの格好だが、これは王都警護隊の戦闘服らしい。
 たしかにそれなら、レザーという丈夫な素材や、黒というステルス色も理解できる。
 ……ただ、それならそれで、ひとりだけノースリーブでカジュアルなアレンジがされてるのは謎だけど。


 
 服装はいろいろあるようで、体験版の段階でもカジュアルな服装は用意されていた。
 カジュアルにすると最大HPが下がる代わりに素早さが上がるなどの微妙な変化も。


●リアル4:オープンワールドと探索と金策

 体験版をクリアーするまでは大して寄り道する必要はないのだが、あえてウロウロしてみた感じだと、序盤は特にお金が貴重になりそうな感じ。
 敵を倒しても素材しか入手できないので、素材を売ってお金にするわけだが、これはホントに雀の涙なので、モブハントの報酬が頼り。


 
 FF12でお馴染みのモブハント。
 終盤は、『12』でのヤズマットみたいなのも居るんかなぁ……。


 そこそこ強いのを倒しても報奨金は1000ギル未満とかなので、常に宿代と食事代を念頭に置かなければいけない今回は、
 今まで以上に財布のヒモを締めていかなくてはいけない。
 ちなみに主人公の趣味は釣りで、各キャラに固有の成長アビリティがある中、主人公のスキルは「釣り」。
「オイオイいいのかそれで」と思っていたら、他の3人はそれぞれ「料理」「サバイバル」「写真」だった。めっちゃ趣味だった。


 
 釣りのシステム自体は多くのゲームにあるような無難な感じだが、
 なんといっても食材にもお金にもなる魚が釣れたときの達成感は大きい。切実。


 
 ちなみに主人公は何もない空間から剣を召喚する謎の技能持ちだが、釣り竿も召喚する。
 世界一抱かれたい釣り竿の取り出し方。


 なお、モンスターは車道から離れた荒野に居るのがほとんど。
 必然的に探索は車を降りて奥地へ走っていくことになるが、いつでも車の位置に瞬間移動できるので、
「車から遠く離れてしまった……歩いて戻るのめんどいなあ」というときも大丈夫。

 一定距離ごとの道沿いには宿泊施設&レストランがあり、周辺地域の情報収集やモブハントの討伐依頼はレストランで行う。
「車道が長距離続き、ポツンポツンと宿泊施設&お食事処」……というのは日本ではあまりなじみがないが、
 洋画を見ていると「あるある」な作り。この宿泊施設&レストランが、いわゆるRPGの町の役割を果たしていて、
 現代風の世界観をRPGに落とし込むにあたって、おもしろいアプローチだと感じた。


 
 男4人、車に乗って音楽をかけながらの移動。アイテムショップでサントラが売っていて、歴代FFの音楽をかけることもできる。
 マニュアル運転もできるが、基本的には仲間がオートで運転してくれる。
 今回は旅をしながら風景を眺めるのもRPGの1要素として重視されている感が強く、RPGで風景を眺めるのが好きな自分にとっては嬉しい。


  
 
 乗車中の視点は、こんな感じでいろいろと変更できる。ここから右スティックで視点移動も可能。


 で、製品版でもこの調子だとすると、お金に困るのは目に見えているので、
 予習のつもりで、ちょっとでも売れるアイテムはないかと探索してみることに。

 夜間に車を出そうとすると「夜はやめたほうがいい」と仲間に止められるのだが、「どうせ大したことないっぺ?」と思い、
 ナイトドライブを決行したところ、まさかの鉄巨人登場。


 
 暗くて分かりづらいと思うが、矢印のところに鉄巨人が居る。


 近くに敵が居るときは強制的に車から降ろされるらしく、車に乗って逃げることもできない。
 とりあえず死にかけながらその場を離れたのだが、鉄巨人がいつまでも車の近くをウロウロしていて、戻るに戻れない。
 仕方なく「最後に泊まった宿泊施設に戻る」コマンドで戻り、「車を呼ぶ(有料)」コマンドで車を呼び寄せることに。


 
 レッカー移動される愛車。
 夜はダメって言われたのに、すいませんでした……。


●総括

 FF13のときはFFブランドの終焉すら感じさせたが、あれを反面教師として、見事な軌道修正を果たした感がある。
 序盤からある程度の自由度があるし、現代風の世界観を上手くRPGとして機能させている。
 体験版で遊べるのは序盤も序盤なので、ストーリーが今後どうなっていくかはまだ不明だが、
 少なくともFF13のような、変に厨二方向へ舵を切ったような感じはなさそう。
 仲間たちとの会話も自然で、FF10のティーダのテイストを感じさせる。

 最初のほうでも少し触れたが、とにかく走っている時間が長いので、早い段階でオフロードバイクでも出てくれるといいなーと思う。
 剣や釣り竿をを召喚できるならいけるやろー。
 そこはチョコボだろう、ということになってしまいそうだが、チョコボは好きなときに呼び出し・引っ込めができなさそうで……。

 何はともあれ、1プレイヤーとして11月29日を楽しみに待ちたい。
 なお、このプレイレポートの画面写真は Xbox One 版で撮影したもので、PS4版だともうちょいキレイなハズ。
 画質云々は書き終わってから気付いて書き加えたので、撮り直す気力はない……。



2016年11月17日

PS Vita『かまいたちの夜 輪廻彩声』発表

『かまいたちの夜 輪廻彩声』名作サウンドノベルを挑戦的にアレンジした意欲作(ファミ通.com)

 ついにチュンソフトは自社でやるのではなく、5pb.に作らせて安全にロイヤリティをゲットする方向に行ったのだろうか。
 でも正直、『真』もアレだったし、『2』『×3』と「大好評」とは言いがたい結果が続いたシリーズだけに、
 ここらで一発、文章を読ませるゲーム・ジャンルに愛があり、『シュタインズ・ゲート』を生み出し、
『YU-NO』の版権までゲットして復刻しようとしている5pb.に任せてみようということなのかもしれん。

『輪廻彩声』の「彩」はおそらく実写撮り込みの背景やキャラ絵のことで、「声」は声優が付くということだろう。
 まあ今の時代、このテのゲームでボイスがないというのは逆に珍しいので、そこは仕方ないとしても、
 シルエット→萌え絵はスゲェ嫌な予感。「シナリオの重さと絵柄が伴わないリメイク」の悪例として
 PSPの『EVE The 1st. burst error』があるが、あそこまでひどいことにはならないにしても、
「絵が付くことによるメリット」がひとつも想像できない。今回は背景グラフィックが完全に実写撮り込みの美麗画面となったが、
「実写の背景の上に、萌え絵で描かれたキャラクターを乗せる」って、違和感スゴいぞ。
 この違和感はドリームキャストの『北へ。』以来。


●シルエットはメリットしかない

 公式ファンブック内のインタビューによると、『かまいたちの夜』のシルエットは

「談話室でたくさんの人が話をしているときに空っぽの椅子が写っていたんでは、間が抜けているでしょ。
それで、『影でも描いたらどうですか』と言ったんです。」

 という、我孫子武丸氏の提案で導入されたものだった。
『弟切草』は基本的に主人公とヒロインのみで話が進むのでシルエットなしでもなんとかなったが、
『かまいたちの夜』は複数の人物が会話することもある殺人事件の話。
 もしシルエットも何もなかったら相当分かりづらかっただろうし、
 さらにこれがキャラ絵や実写だと、内容無関係に毛嫌いする人が出ていたと思われるので、
『かまいたちの夜』はここまでのヒットにはならなかっただろうとすら思える。
 シルエットは『かまいたちの夜』の、影の立役者だ。影だけに。

 小説のように、人物像を完全に頭の中で想像するのもそれはそれでいいものだが、
 やはりシルエットのような "想像の取っ掛かり" があると、取っ付きの良さ・分かりやすさは段違い。
 シルエットというのは、プレイヤーが各々の想像力で作り上げた人物像・イメージを壊さずに、
 身長や髪型といった外枠の情報だけを正確に伝える、ほぼ完璧な落としどころだったともいえる。

 そこを絵にしてしまうと、その "絵柄" は重大責任になる。
 イメージが固定されることに加え、絵柄は人によって好き嫌いが生じるものだからだ。
 さらに、発表されているものはどちらかというと萌え絵寄りの、可愛らしい絵。
 もしこれが、殺人事件なんか起こらない、冬の山荘でドキドキ☆なラブコメノベルだったら何の問題もないが、
 正直言って、この絵柄でサバイバルゲーム時の可奈子がストック持って半狂乱で襲い掛かってくるシーンとか、
 ちゃんと恐怖を演出できるのだろうか? と思ってしまう。人が人を本気で殺しに来る迫力を表現できるのか? と。

 他にも、真犯人と対峙したときに徐々に迫ってくるあの姿とか、ああいった恐怖シーンは、
 シルエットで表情が分からないからこそ、プレイヤーが表情を想像することで怖さが倍増していた。
 これらを全部、"絵" で描いてしまうことになるわけで、その仕上がりには不安しかない。
 恐怖というのは人の心が生み出す幻影のようなもので、人の想像力こそが最大の恐怖演出装置でもある。
 ホラーではよく、白い服に長髪の女性が出てくるが、長髪で顔が隠れて見えないからこそ怖いのだ。
『かまいたちの夜』のシルエットは、最小限の労力で最大限の効果をもたらすものだったということを分かったうえで絵にしたのなら、
 大した自信だといえる。


 ファミ通.comにてキャラ絵の一部も公開されているが、みどりさんが単なる美少女になっていた。
 ゲーム中で「時々高校生みたいに見えるし、おばさんに見えることもある」という絶妙な表現をされていたみどりさん。
 俊夫もそうだが、原作では「顔も髪もすっかり雪焼けして、サーファーのようだ」と評される場面があり、
 ビーチバレーの女性選手などを見ても分かるように、日焼けしまくった女性は若い人でもおばさんのように見える瞬間がある。
 そういう女性の健康的な魅力を伝えようとしていたのだと思うが、今回のこれは、どう見てもおばさんには見えない。
 文章ごと変更される可能性もあるが、文章まで変えるならもう新作作れよという気もしてくるし、
 とりあえずこの絵、俊夫だけ日焼けしてて、みどりは色白ってマズいんじゃないか?
 ふたりは恋仲で、時間があればゲレンデ行ってスキーしてるという設定だったはずなんだが……。

 こういう萌え絵のイラストレーターにありがちなこととして、「男性の絵がヘタ」「年齢の描き分けができていない」
 といったことが多い。すでに発表されている絵の時点でその不安はあるのだが、香山とか春子は大丈夫なんだろうな?
 萌え絵に、ほうれい線だけ付け加えたような絵は勘弁してくれよ?

 あと、Amazonで見つけてしまったが、やっぱりあのシーンも絵で全部描いちゃうのね……。
 ここも、血に濡れた髪の毛が広がる様だけをモノクロで描くことで凄惨さと恐怖が増していたと思うのだが……。


●新規シナリオ追加、ライターは竜騎士07氏

 単なるリメイクに留まらず、新規シナリオが追加されるのは嬉しいところ……だが、ライターが竜騎士07氏というのは、ちょっと嫌な予感。
 竜騎士07氏の文章力に不安があるわけではなくて、『かまいたちの夜』の追加シナリオの執筆、と考えたとき、
「他人の作品に自分を合わせる」ということに全く向いていない人な気がするからだ。良くも悪くも個性派というか。

『真』では各シナリオの担当作家がそれぞれ好き勝手に書いていて、全体としてのまとまりに欠けていて唖然としたものだが、
 今回も、竜騎士07氏が担当したシナリオだけが異様に浮くような気がしてならない。
 正直、竜騎士07氏を起用するなら、『~の夜』というタイトルで新作サウンドノベルを作ったほうがいい気さえする。
 でも『うみねこ』で相当炎上した人なので、それはそれでバクチだけど……。

 ライトノベル作家×チュンソフト、といえば、以前に『428 ~封鎖された渋谷で~』でもTYPE-MOONが担当したおまけシナリオがあったが、
「『428』というゲームに必要なシナリオかこれ?」と思えるほど勝手に突っ走ってる感があって、どうにも好きになれなかった。
 挙句、おまけシナリオがアニメ化とかワケが分からない。最初からよそでやれ、という。
 さすがに今回の『かまいたち』は、そんなことにはならないと思いたいが……。

 個人的には『2』の進化版シルエットでリメイク+我孫子氏による追加シナリオ大量投入……
 ……とかだったら即予約コースだったのだが、多分これは従来のシリーズファンや「久々にもう一度やってみたい」という層向けではなく、
 そもそも『かまいたちの夜』を遊んだことがない若年層に向けて、ライトノベル感覚で触れてもらおうという企画だと思うので、
 その仕上がりとユーザー評価は、良い意味でも悪い意味でも気になる。

 俺は『かまいたちの夜』をキッカケに推理小説をいろいろと読むようになったので、
 若い人たちもこれをキッカケに推理ものや、文章を読むこと自体に興味を持ってくれるといいなァとは思うが、
 あの頃と違って『金田一少年の事件簿』『名探偵コナン』に始まる推理ブームが起こった後なので、
 スゴい地味に感じられる可能性が高い。もしこれをプレイした若い層が
「『かまいたちの夜』やったけど、あれ大したことなかったね。事件も地味だし、絵が可愛いから全然怖くないw」とか言い出したら、
 俺は血涙を流しながらワイングラスを一気に空けて「畜生……違うんだ……畜生……」とか呟くことになる。


 ……そういや、ちょっと気になったのは、新たな背景写真。
 今回はモデルとなった実際のペンション "クヌルプ" 内の写真をそのまま使っていくぽいのだが、
 すでに発表されてる写真のひとつ……これはクヌルプのカウンター付近の写真だが、
 本来なら裏口や小林さんの部屋に続く廊下に、いろんな品物が並べられているため、「この廊下、通れるの?」感がスゴい。
『かまいたちの夜』はAndroid版やiOS版も出ているので、画像はそこからの流用なのかもしれないが、このへんどうなってたのか気になる。


 最後に……今週のファミ通の記事に載っていた我孫子氏のコメント。


サウンドノベルを作ると決まって、人物グラフィックをどうするか話し合っていたときのこと。
実写か、イラストか? 当然すぎる2択だったが、どちらも皆しっくり来ていない様子。
「……影でよくないですか?」。僕のやや無責任なそのひと言で、『かまいたちの夜』の大きな方向性が決まった。
いまや、『かまいたち』といえば "影" だし、似たような映像を見ると「『かまいたち』っぽい」と言われたりさえする。
それがいま、時を経てあえて現代的な萌え絵でリメイクしてくれるという。
きっと、同じテキストでありながら、まったく違う何かに変わるのではないか。
いまの読者、ゲーマーに、またオールドゲーマーにも、もう一度楽しんでもらえるとうれしいです。


 ……俺は知ってるぞ。
 この「実は全然納得していないけど、仕方ないから社交辞令的に無理矢理ポジティブっぽく見せるコメント」……
 ドラマ版『かまいたちの夜』についてコメントしていたときの我孫子氏だ。
 前半で『かまいたちの夜』とシルエットの関係がどれだけ大事かということを語って、
「そんな大事な部分をゴッソリ削り取っての新作、逆に期待してます!」という皮肉に見えないこともない。
 我孫子氏は追加シナリオ書いてくれないぽいし、完全にノータッチなんだなぁ……。

 発売日は意外と早く、2月16日だそうな。
『かまいたちの夜』スキーとしてはフクザツな1本となりそうだが、ある意味、"怖い" もの見たさで買うことになりそうだ。




 
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