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2016年12月12日
FF15 をクリアーして……
「えらいことやらかしてくれたなぁ」というひとことに尽きる。FF15 を 100 ページの小説とすると、「50 ~ 90 ページの原稿をゴッソリ紛失してしまったけど、それらしき原稿用紙が数枚だけ見つかったので挟んでおきますね」といった感じ。 「説明不足」という言葉では足りないほどの説明不足と、描く予定だった部分をバッサリカットして恐ろしいほど切り詰めた感のある、謎の駆け足展開。映画を観ている途中で寝てしまって、終盤でハッと目覚めたら全然意味が分からない感じに似ている。起きてたのに。 単純に「ストーリーがクソ」なのではなく、当初の予定を何かの事情で大幅に変更・短縮しなくてはならなくなって、しかもその規模が尋常ではない印象を受ける。事実、ストーリーもそうだが、ゲームのボリュームもおかしい。 中盤までは文句のない完成度で、水の都・オルティシアでのリヴァイアサン戦を体験したときは、「FF15 は、この世の全 RPG の中でもトップクラスに位置することになるんじゃないか」という鳥肌感覚すらあった。 JRPG は長年不作続きで、RPG というジャンルが進化していくにつれて、巨大な開発力がないと作れないシロモノになりつつあったこともあり、「もう日本の開発力ではリスクが高すぎるジャンルなのだろう」と個人的には諦めている部分もあった。 邪推だが、オルティシエまでを作ったところで、上から 「もうそのへんでいいから発売できるようにしろ」 ……みたいなやり取りがあったんじゃないかとすら思う。 オルティシエまでの作りはホントにスゴく丁寧で、「世界よ、これが JRPG だ(キリッ)」って感じだったのだが、まさかあそこの段階からいきなり話を畳みに来るとは思わなかった。まだこれから広げていく段階だったのに。「世界よ、これが JRPG だ(震え声)」になってしまった。 FF13 のときは、ストーリーやキャラクターの言動には序盤から不安があったので、急にどうこうというわけではなく、順調におかしくなっていった感が強かった。 終盤からエンディングにかけては特に意味不明なのだが、もう少し「何が起きたのか」の説明を間に入れていきさえすれば、名シーンになり得そうなムービーはある。それゆえに、どうしても「惜しい、もったいない、なぜ」という感想が出てくる。 唯一の救いは、オープンワールド RPG としての基礎部分はよくできていることと、中盤からはいつでも過去に戻ることができ、オープンワールドの探索・サブクエスト・討伐依頼がいつでも楽しめるということ。この2つのおかげで、ストーリーはもう見なかったことにして、そっちだけを楽しむことができる。トロフィー対象になっている強敵・アダマンタイマイの討伐や隠しダンジョン攻略、主人公たちの愛車・レガリアが改造を重ねて最終的に空を飛ぶなど、触れずには終われない要素がまだまだある。 特にレガリアの飛行は「さまざまな冒険の果てにこうなるんだろうな」と期待していたので、まさか本編とまったく無関係だとは思わなかった。この映像美ならば、かつて FF6 のセッツァーがファルコン号を海の中から疾駆させた、あのときの感動を超えてくれると信じていたのだが……。ちなみに本編のレガリアは、ドタバタの駆け足展開の中でブッ壊れて、そのまま終わりである。 昔、RPG の終盤といえば空飛ぶ乗り物がつきものだったが、映像の進化……特に 2D から 3D 主体になったことと、当時のハード性能での CD-ROM、DVD-ROM という媒体からの読み込みという点で限界があり、「世界の上空を乗り物で飛び回る」ということが技術的にかなり難しくなった時期があった。 FF8 の飛空艇は飛行先のエリアデータの先読みが満足にできなかったためか異常な鈍足だったし、FF10 ではもう無理と判断されたのか、飛空艇自体はあるが自由な操作はできず、行き先はマップからの指定式になった。 しかし↑の動画を見ると分かるように、世界をオープンワールド化しただけでなく、こんなにもリアルに飛び回ることを実現している。これを見たときは感動だった。RPG の終盤で、またあの万能感を味わえるのかと。欲を言えば、ストーリー上、ピンチのときにこの変形を経てパーティーを救ったら、どんなに感動的だったろうか……。 ・ ・ ・ 先日の発表によると、新たな強敵やトロフィーの追加、プレイアブルキャラの追加なども行われるらしいので、RPG としての FF15 が好きな自分としては、まだこの先も遊べそうで、そこの部分については期待している。とりあえず、自動車整備工のシドニーや女竜騎士アラネアは来るだろう! 武器のカテゴリに「槍」と「マシンナリィ」という、専用キャラが居ない武器種があるから、どう見てもこの2キャラが怪しい。 なお、イベントシーンが説明不足すぎる点は開発も認識しているようで、今後のアップデートで異例のイベントシーン追加も予定されているが、正直、絶対補完しきれないと思う。現状が歯抜けすぎるため、これを全部埋めて完璧な RPG にするには、ちょっとしたゲーム1本分以上の労力がかかるはず。 あと、ここまで書いて、オルティシエ前までについてほめすぎな気もしてきたので、これもあえて書いておこう。主人公・ノクトが、誰に対してもタメ口すぎ。仲間内は全然OKだし、歳が近そうなシドニーあたりにもタメ口なのは別にいい。しかし、その祖父にあたるシドや、旅先で会う明らかに年上&ベテランの釣り好きのオッサンに対してもタメ口なのは閉口。 微ネタバレになるが、前王である父がゲーム中で亡くなっているため、このときのノクトはルシス国の新王として対応している状態。仮にも国のトップ同士の会話なんだから、王らしい口調……はまだ無理にしても、せめて礼儀正しい口調で頼むよ……。 さ、さささ3名? オルティシエ、めちゃめちゃデカい街ですけど、3名?
急に「首相もおかしい説」が浮上し始めたが、この後、選択肢を選んでいくと…… さ、最高の信頼を勝ち得たー! あんな失礼な態度で! しかもこの握手の様子が、この日の宿泊時のプロンプトの写真にあるという。これ、室内で2人だけで会話していて、しかも話の内容的に国のトップシークレットレベルだったんだけど、プロンプト、お前、見事にパパラッチしたの? 首相周りのセキュリティ、ガバガバやんけ……。 ・ ・ ・ ……というわけで、ノクトのタメ口なんとかしてくれのコーナーでした。こういう細かいツッコミをし始めたらキリがないのだが、こういう部分全部に目をつむっても、ひどいストーリーだったと思ってほしい。 28 日にはアルティマニア しかし、前半部分のデキが良い分、体験版には見事にだまされた形となったわけだが、一度、FFシリーズの完全復活を夢見させられた後のこれは……。この画面写真(※微ネタバレ)のセリフを借りて、このセリフでシメよう。 ……悪い、やっぱ辛えわ。 ■関連記事 ![]() |
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