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2025年1月 3日

映画『リング/らせん』サウンドトラック

 昨年中に更新するはずだったネタを正月中に急いでアップしてしまう系記事の第 3 弾。

映画『リング/らせん』サウンドトラック


 映画『リング』で貞子が迫ってくるときの BGM が久々に聴きたくて、サントラを探したらお手頃価格だったので購入。あんな怖い曲を聴きたいなんて頭おかしいんじゃないのと思われるかもしれないが、この曲はスゴいんだ。昔、映画を観ているときは単に「怖い曲」という印象しかなかったが、改めて聴いてみると、そのスゴさがよく分かる。

 サントラの 4 曲目にある「遺伝子」という曲なのだが、この曲は、真田広之が演じる高山竜司と、松嶋菜々子が演じる浅川玲子の 2 人が呪いのビデオの最後に映る井戸の位置を突き止め、呪いのビデオのタイムリミットに追われているシーンから、その後の高山に迫るクライマックスまでのシーンで流れる複数の曲が組み合わさった形になっている。

 聴きたかったのは、この曲の 2 分 37 秒からの、貞子が “出て” くる例のシーンに流れる曲。高山竜司の心臓が停止するまでの間に流れる BGM なのだが、特徴的な ドンデンデンデン、 ドンデンデンデン……という低音の繰り返しによる「何かが迫ってくる」感にあふれたパートが続き、間にキィィ……という擦過音、そして高山の心臓停止直前には、まるで振り子時計のような音も入ってくる。

 個人的なうろ覚えなうえ、大昔の伝承の類だが、「幽霊の出現時には擦過音が鳴る」と言われていた。後年、「ラップ音」という表現が多くなったように思うが、これは擦過音に限らず、何かを叩くような、いろんなタイプの音も含む。
 ……まあ、ラップ音は聴いたことがないのでなんとも言えないのだが、この話を知っていたので、『リング』の劇中に時々流れる「キィィ」という音が余計に怖かった覚えがある。

 振り子時計のような音はラップ音のようにも聴こえるし、高山が死ぬ間際にのみ聴こえるため、これは高山の死まで残り数秒であるという意味のカウントダウンも表しているのだろう。聴けば聴くほど、あのシーンに強烈にマッチした内容の曲で、「完璧」としか言いようがない。「恐ろしいものが徐々に迫ってきて、最後には心臓を止められるシーンでかかる曲をお願いします」と発注して、こんな完璧な曲が納品されてきたらどうするよ。俺が発注する側だったら「誰がここまでやれって言ったよ!」って逆ギレするかもしれん。

 ・ ・ ・

 ちなみに、確実に影響を受けているというか、あえて意識したオマージュだと思うが、ゲームの『パラサイト・イヴ』のラスボスを倒した後の逃げるシーンで流れる曲が、非常にこれと似ている。

 ただ、映画『リング』の公開は 1998 年 1 月末で、『パラサイト・イヴ』は同年 3 月末発売。時期的にちょっとギリギリすぎるか……? という気もする。発売のだいたい 1 か月前には、ソフトはもう完成しているはず。マスターアップまであと約 1 か月という段階で、まだできていない曲があるというのはちょっと考えにくい気もする。ただ、スゴく短い曲だし、予定にはなかったけど後から頼まれて追加制作したと考えるなら可能性はあるのか……? 逆に、まったくの偶然で似たのだとしたら、それはそれで怖すぎるけども……。

 このサントラには「きっと来る~」で有名な例の主題歌「feels like “HEAVEN”」も収録されているので、久々に聴きたい人にはオススメ。元の「feels like “HEAVEN”」は明るい曲なのだが、「この曲のイメージを逆に暗くアレンジして、クソ怖い映画のエンディングスタッフロールに流そう」と考えた人は紛れもなく天才だと思う。

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