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2025年1月 1日
攻略同人誌『かまいたちの夜 超完全攻略本』
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年中に更新しきれなかったネタが溜まっているので、正月中に急いでアップしてしまいたい。
サークル「魔剣道」による同人攻略誌『かまいたちの夜 超完全攻略本』。60 ページの本で、スーパーファミコン版発売当時、おそらくこういう媒体で唯一、金のしおりに関する攻略を解明した本……だと思う。
以前からその存在を知ってはいたのだが、いかんせんレアアイテムすぎて長年入手が叶わなかった一品。駿河屋の入荷通知に賭けるしかなく、何年も待ち続けた結果、一度入荷したことがあったのだが、そのときは購入手続中にタッチの差で他の人に買われて悶絶。今回はなんとか間に合って購入できた。4,800 円もしたぞ。
あの頃は今ほど同人誌が当たり前の存在ではなかったし、ゲーム攻略同人誌となると、地方だとそんなものを取り扱っている店など見当たらず、ほぼ完全に「東京のもの」だった。そもそも、当時はこんな本があることすら知らなかった。知ったのはインターネット普及以降だ。
知った後も入手困難すぎて、この本が手に入らなかったから結局自力で解明することになったようなものだが、それでもこれを手に入れたのは、自身が到達した金のしおりまでの道に何かミスがないか、まだ知らないことが何かあるのではないかと最後のチェックをしたかったから。
この本が作られた当時と今で決定的に違うのは「PS1 版『かまいたちの夜』の発売」で、俺がスーパーファミコン版の金のしおりに到達できたのは、PS1 版のフローチャートがあったからこそ。この本はそれ以前に作られているので、正真正銘、スーパーファミコン版のみで到達している。すげえよ。
この本をザッと読んでみて気付いたのは、以下の 3 点。
・「すべてのエンディングを見る」、「すべての選択肢を選ぶ」は厳密には違う
・金のしおり到達までの最短回数
・ミステリー編の犯人入力
●「すべてのエンディングを見る」、「すべての選択肢を選ぶ」は厳密には違う
まず、金のしおりに到達する条件である「すべてのエンディングを見る」「すべての選択肢を選ぶ」だが、厳密には宝探し編のハッピーエンドは見る必要がないらしく、雪中迷路編の一部の選択肢も選ぶ必要はないとのこと。まあ例外中の例外みたいなものではあるが、これがあるゆえに、「“ほぼ” すべてのエンディングを見る」「“ほぼ” すべての選択肢を選ぶ」が、表現としては正しいことになる。
●金のしおり到達までの最短回数
この本によると、金のしおりにするまでの最短回数は 70 回で、それ以下で金色にするのは不可能とある。
この情報が正しいかどうかの検証は、かなり難しい。まず、できるだけ少ない回数で全選択肢を選んでいくルートの構築が尋常でなく面倒臭い。一昔前、ネット上で 69 回で達成したという人や、それ以下の 60 数回台で達成したという人も見かけたのだが、この本では断言されているので、ネット情報の信憑性は微妙なところ。もちろん、本が間違っている可能性もあるが……。
●ミステリー編の犯人入力
3 回の犯人入力画面でどういう名前を入れるべきかも解明されているのだが、俺は PS1 版のフローチャートがあってこそ解明できたことだったので、あれなしでここまで迫ったのはスゴい。改めて、スーパーファミコン版のみでここまで解明したことは驚愕に値する。
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その他、読めば読むほど自分が辿ってきた足跡を見ているかのようで、謎の感動があった。
この本を作った人は最初、よく通っていたファミコンショップの客から金のしおりの存在を聞いたそうで、「どうやって出したのか」と尋ねると、「全選択肢の画面をプリントアウトして、片っ端から選択肢を潰していった」という。それを聞いて「そこまでやらんとダメなのか~」と思ったらしいが、結局、金のしおりを出すにはその道を通る必要があるわけで、皆、やっぱり最初は「それはやりたくねぇなぁ」と思いつつ、最終的には結局そこに着手せざるを得ないんだなぁと。俺もまったく同じ思考だったもの。「それだけはやりたくねぇなぁ、もっとラクな方法ないかな」→「やるしかないか……」っていう。
あと、当時は変な噂がいろいろあったらしく、検証の過程でそれらがただの噂であることも分かっていったらしいのだが、「プレイ回数が数百回以上にならないと金にはならない」みたいな噂を確かめるためにプレイ回数 999 までやったら、999 からカウントが増えなくなったという興味深い話も。あの数字の上限、999 なのか……。
これ以前に「必勝攻略本」というのも作られていたらしいが、この「超完全攻略本」は後から作られただけあって上位互換的な存在っぽいので、内容的に今更「必勝攻略本」のほうを探す必要性はなさそう。
……と言っても、「必勝攻略本」のほうはネット上で表紙画像を見たことすらない。完全に幻の存在。
『弟切草』の攻略同人誌も作られていたらしいのだが、こちらも謎。
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──というわけで、この本を手に入れた意義はあったし、偉大なる先人が書き残した貴重な内容を実際に読むことができて感無量。昨年の 11 月 25 日は『かまいたちの夜』30 周年だったのだが、この本が手に入ったのは 30 周年の日から少し手前だったので、何か運命的なものを感じずにはいられない。昨年の 11 月 25 日にこの記事をアップできていればもっと良かったんだけど……。
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