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2011年8月16日

平林久和「ゲームの未来を語る」第21回

言論の自由はどこまで言論の自由を許すか?・・・平林久和「ゲームの未来を語る」第21回

 素晴らしい記事。おそらく、ゲーム業界に関わる人、ゲームが好きな人のほとんどが思っているであろう事を、丁寧に分かりやすく代弁してくれている。

 本来なら旧態依然としたゲームメディアに対しての、ネットの個人ニュースサイトという新風の巻き上げという図式で論じられるべき話なのだろうけど、この2サイトは度重なる事実誤認と曲解、意図的に過剰なハード戦争を演出している。それらはもはや嘘・憶測・悪質の域に達しており、平林氏も言われている通り、いつ訴訟が起こっても驚かないレベル。

 既存のゲームメディアにも問題は多い。ゲームや雑誌を実際にお金を出して買ってくれるユーザーよりも、メーカーとの関係を尊重することが多いからだ。この2サイトは、その真逆を行っている。実際、スタイルとしてはこちらのほうが正しい。皆、本音が聞きたいのだ。

 ただ、今の2サイトにとって問題とされているのはその部分ではない。「そんな書き方をして、一体、誰が得をするのか?」という不必要なまでの煽り部分。2ch に書き込んだ多数の人たちの意見を恣意的に抽出して、事実とは違う結論へと導こうとすること。曲解し、曲解させる記事タイトルのつけ方。この行為はゲーム業界にとって、ゲームが好きな人にとって、100 %、害にしかならない。今回の平林氏の記事は、そういった点に対する、誰もが抱く危機感と嫌悪感を口に出したものだ。あまりにも偏重した煽り記事によってネガティブなイメージを植えつけられたメーカーは、今までは黙認していたけれど腰を上げる……という可能性も出てくる。それは両サイトにとっても得にはならないんじゃないか、という提言にもなっている。

 この2サイトに対して何か論ずること自体ナンセンス、見ない触れない関わらない、というのが多くの人のスタンスじゃないかと思うのだけど、あえて、これだけ丁寧に文章に起こした平林氏には敬服する。

 そしてその一方で、今回の平林氏の記事はこの2サイトにとって「宣伝」というメリットにしかならないのだろう、という徒労感も感じている。

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| コメント (2)

コメント

長文失礼します。
ちょっと話題になっているこの記事ですが個人的には業界よりの意見のように感じました。

・「私が知る広報マン、プロデューサー、ディレクターの何人ものが、両サイトで自社のソフトが悪口を叩かれていないか、毎日チェックをしています。
本来の業務の時間を削ってまでして、両サイトをひやひやした思いで見ているのです。」

この一文はちょっと理解できませんでした。
事実と違うことが記事になったのならそれこそ素早くフォローすればいいのではないでしょうか。
歪曲されたならここはこういう意味ですよと言ってほしい。
そういう訂正が面倒だから取り上げてほしくないというのならどうしようもありませんが、
メーカー側の情報の少なさ、訂正のなさ、発表の遅さ、そしてそれらを行う場所の欠如も問題ではないでしょうか。

そもそもこういったゴシップに飛びつく理由はメーカー側の情報が信頼されていないのではと思います。
よくネガティブな記事が話題になりますが、ネガティブなことはたとえ事実でも発表はされないわけです。
例えばマルチ展開しているゲームの片方の不具合だったり、明らかに追加コンテンツで儲けようとしている姿勢だったり、
追加要素ありでの移植予定だったり。不完全移植だったり。
こういったことをメーカー側が発表はしてくれるのかと言う話です。
疑心暗鬼に陥らせるのはメーカー側ではないのでしょうか?


こういったブログを擁護する気はないのですが、メーカー側に煮え湯を飲まされたことも多い人間には
そうだそうだとはいえない部分もあると伝えたかったのです。


投稿者 助手子ファン : 2011年8月17日 11:50

>事実と違うことが記事になったのならそれこそ素早くフォローすればいいのでは

これはその通りですし、実際、ツイッターなどの発言を
本来の意味とは異なる捉え方で記事にされた後、
「なんであんな風に書かれるかなあ……あれはこういう意味で」的に、後から発言している人も居ますね。

ただ、あのアクセス数が膨大なサイトに、歪曲して書かれた時点でもう手遅れ、
というのが実際のところです。両サイトがその後の訂正まで載せないケースもあるでしょうし、
最初の歪曲記事を見た人が、その後の訂正の情報まで必ず追ってくれるとは限らないからです。

もちろん、ちゃんと訂正して「なあんだ」で終わった事もあると思いますが、
じゃあ話題になる前の状態にキレイに戻ったかというと、そんなことはありません。
その人は今後、肩の力を抜いて何か気軽に発言することはできなくなるでしょう。
発言できる立場にある人間が、どんどん萎縮する。
言葉を発する度に、両サイトに曲解してとられないかビクビクする。
そんな思いをするなら、と、ツイッターなどで情報を出すのをやめてしまう。
ツイッターによってクリエイターの何気ない発言が聞ける時代になったと思いきや、
以前より閉鎖的に状況になる。

曲解されるような書き方さえなければ、何も問題はないのです。
ただ、「まさかそんな風に」という取り上げられ方をすることがある。
それが時に悪質で、怖くて、誰も得をしない。
平林氏は、おそらくこの点を指摘しています。

どう見てもそんな風に取るのはおかしい、というケースでも、
アクセス数を集めるため、より過激に誇張した表現を使っている場合もあります。
これが非常に下衆なやり方なのです。

ただ「自社のソフトが悪口を叩かれていないか」という部分は、ちょっと変ですね。
実際は「自社に関することで何かとんでもない書かれ方をしていないか」が正解でしょう。
中途半端なデキのゲームを発売して、そのデキを指摘されたとして、
「評判や売上に響くから困る」とヒヤヒヤして見ているのだとしたら、それは自業自得だとしか言えません。


>こういったことをメーカー側が発表はしてくれるのか、
>疑心暗鬼に陥らせるのはメーカー側ではないのか

これもまた、その通りです。
私が「既存のゲームメディアにも問題は多い」と書いたのは、この部分に近いところです。

ハッキリ言って、かなりのメーカーがユーザーを軽視しています。
仰っている不具合関連など特にそうですよね。
明らかに致命的なバグなのに、仕様と言い切って、話題が風化するのを待ったり。
そういった対応、ソフトのデキをとことん追及するのは大歓迎です。
なので、両サイトは別に完全悪ではない。むしろ、もっとどんどんやってほしい。

ただ、「ええ!? なんでそんな風に」というレベルの曲解と、
2chのレスを利用しての、特定方向への煽動。
これだけが、百害あって一利なし、なのです。


実は、その後の平林氏のツイッターで重要な発言がありました。

「あと、これも言っておこうかな。いわゆるゲームメーカーね。その広報担当者が、専門誌の批評を細かくチェッ​クし、本来、筆者の自由な意志・表現まで、修正を要求することもあると聞く。なのに法律違反すれすれ​をやっているサイトを黙認しているのは、論理矛盾だと思う。両サイトを「叩いた」と趣意に反した誤解されるくらいならば、平林がゲーム会社の広報を叩いた‥‥と読んでもらったほうがいいくらいだな。」

これは正直、なんとかして最初の記事に内容を盛り込んで欲しかったくらい大事なことです。
私も過去に経験がありますが、メーカーのこの辺りの意識が変われば、
今回の平林氏の記事は大いに意味があったと言えるのですが……
さて、どうなるでしょうか。


投稿者 夢崎 : 2011年8月17日 18:12

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