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2011年4月27日

やりこみじいさんの謎

パッケージ

 4月 20 日に配信となったゲームアーカイブス版『ファイナルファンタジー6(以下、FF6)』。中身は PS1 の FF6 そのままだし、読み込み速度も速くなっているわけではないので、PS1 版をまだ持っている人には特に恩恵はない。強いて言えば、ディスクレスで起動できるくらい。PS1 版の FF6 の中古価格は高値維持していたので、持っていない人や、「FF は『7』からしか知らん」という世代にとってはいいのかもしれん……けど、戦闘前後とメニュー開閉の遅さくらいは改善してほしかった。残念ながら、PS1 版そのまま。実際に買って試した。

 当時のセーブデータが入ったメモリーカードを持っている人は、メモリーカードアダプターで PS3 にセーブデータを移動すれば昔のデータがそのまま使えるし、メモリーカードのブロック数 15 に悩むことがなくなる。飛空艇ファルコンが大空に舞い上がるシーンをいつでも見るためのデータとか確保しまくれる。つくづく、PS3 は PS1 のゲームを遊ぶには最高のハードだよ。

 PS1 の FF6 というと、ずっと気になっていたことがあった。やりこみじいさんの存在だ。FF5 では「ものしりじいさん」というのが宝箱回収率を教えてくれたが、あれを発展させた感じで、各キャラのやりこみ度を教えてくれるというもの。これは PS1 版の FF6 にしかない要素。

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やりこみ度の画面。
ゲームをクリアするごとに記録が更新され、過去の最高・最低記録が保存されていく。
ステータス 99 だとこの程度で、128 にすると 99 %になる。


 やりこみ度は1回のプレイでどうこうできるものではなく、レベルアップ時にボーナスがつく魔石を利用することによるステータス強化が主。当時、100 %にしようと頑張ったものだが、緻密なレベルアップ調整を行いながら最初から最後まで4回以上はプレイする必要があるので、「これはやってられん」と諦めた記憶がある。

 月日は流れ、あるとき「今ならネットのどこかでやりこみ度 100 %にした猛者が居るんじゃないだろうか」と検索してみたところ、ここがヒットした。この検証により、モグ・ガウ・ゴゴ・ウーマロ以外は絶対に 100 %にならない疑惑が出てきた。まだ解明されていない、やりこみ度に関わる要素があるのなら話は別だが、このサイトを読む限りでは、それも怪しい。

 そこで、長年の疑問に決着をつけるべく、内部データに踏み込んでみることにした。と言っても、そんな大層なことはできないので、気になっていた点だけをピンポイントで調査。やりこみ度に関係のある項目の中から、上限なのでこれ以上どうしようもない「レベル」「最大HP」「最大MP」を除外し、「ちから」「すばやさ」「まりょく」に絞って、データをいじって数値を変化させてみた。

 それで分かった事実は以下のとおり。Lv 99、最大HP 9999(※ゴゴは 9784、ウーマロは 9808 が限界)、最大MP 999、修得魔法54種コンプリート、固有技コンプリートの状態であることが前提。


・ティナ、ロック、シャドウ、エドガー、セリス、リルム、セッツァー

「ちから」「すばやさ」「まりょく」の合計値が 390 を越えた場合に 100 %となる。通常、どうあがいても合計値 384 が限界のため、上記7キャラは 99 %止まり。一部キャラは 384 にすら届かない。


・カイエン、マッシュ

「ちから」「すばやさ」「まりょく」の合計値が 420 を越えた場合に 100 %となる。カイエンは合計値 376、マッシュは 384 が限界のため、100 %どころか 99 %にすら及ばない。


・ストラゴス

「ちから」「すばやさ」「まりょく」の合計値が 400 を越えた場合に 100 %となる。合計値 372 が限界なので、カイエン・マッシュ同様、遠く及ばない。


・モグ

「ちから」「すばやさ」「まりょく」の合計値が 360 を越えた場合に 100 %となる。なぜかコイツだけ必要値が低いので、コツコツとステータスを更新していけば、普通に 100 %達成が可能。

※ガウ、ゴゴ、ウーマロについては 100 %達成が可能なので除外。


 カイエン、マッシュ、ストラゴス、モグについては、それぞれ「ひっさつけん」「ひっさつわざ」「あおまほう」「おどり」の全修得もやりこみ度に換算されているため、必要値が高く設定されているのだと思われる。でも、ちょっとテストプレイすれば分かるのに……。


 そもそものキッカケは、前述の「スクウェアメモリーカードコレクション」のデータだった。

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この画面写真は「スクウェアメモリーカードコレクション」という本に付属のセーブデータを利用したもの。
全キャラの Lv 99、HP 9999、MP 999、ステータス99でラスボス前などのブッチギリデータがいくつか収録されている。
今は亡きデジキューブが出していた本だけに、唯一のスクウェア公認改造データと言えなくもない。

 本の制作に関わった人は特に何も考えずに全ステータス 99 のデータを作って「これで最強データのできあがりだぜー」とか思っていたのかもしれないが、FF6 の最高ステータスは 128 である。「こんな凡ミスを…… FF6 を普通にやってれば分かるだろうに」と思ったのだが、ここで矢木に電流走る──!

 PS1 版 FF6 の開発に携わった人……つまり、スーファミ版を移植して、おまけ要素を追加した人も同じような勘違いをしていたのではないか……? つまり、ステータスが 128 で止まってしまうことを知らなかったのでは……?

 キャラのステータスは初期値が 30 前後。最初はレベル3か4だから、それからレベルが 95 回は上がるとして、そのすべてに魔石による上方修正を加えると 130 前後になる。こんな適当な考え方をしていたとするなら、有り得る。「全ステータス 128 にしたのにやりこみ度が 99 %のまま」ということに説明がつかなくもない。事実、やりこみ度に関係のある「ちから」「すばやさ」「まりょく」を 130 にすれば、大半のキャラが 100 %になるのだ。

 それでも不可解な点はいくつかある。

・100 %達成不可能なのがひとりだけならまだしも、14 人中、10 人ものキャラが 100 %にすることができない点。
 いくらなんでも、こんなミスをするものだろうか?

・キャラによって、100 %までの達成値に微妙に変化をつけている点。
 上記の「ひっさつけん」などを持つキャラは、それらの全修得もやりこみ度に換算される。つまり、各キャラ、何らかのチェックはした上で設定されている。


 これらを調べた上で、「ゲーム中、どんなバグでもいい……ステータスを 129 以上に上げる技はないものか」と頭をひねったが、無理だった。武器やアクセサリで 128 は突破するが、やりこみ度は「素の状態」でのみ判定される。

 余談だが、データをいじってレベルを 99 から 100 にしてみたところ、やりこみ度が上昇した。やりこみ度に関わっている項目の数値が上がれば、本来ならどんな無理な項目でも上がるようだ。修得魔法数は 54 / 54 と明記されている以上、レベル、ちから、すばやさ、まりょくの4項目しかなく、やはりステータスしかない、という結論になる。

 PS1 の FF6 発売から 12 年が経ったが、やりこみじいさんの謎は謎のままだった。ゲームアーカイブスで配信と聞いて「もしかして、コッソリ直してくるか……?」と期待したが、全然そんなことはなかった。嗚呼、これはミスなのか、それともまだ不明な、ステータス以外にやりこみ度に関わる何かがあるのか……。もしそれを発見すれば、貴方はヒーローだ。少なくとも俺の中では。

■後日追記:
 
このサイトによると、最大 HP と最大 MP も、やりこみ度に関係がある模様。これにより、記事を少し修正しました。

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| コメント (2)

コメント

懐かしい話だ…。
当時、考えうる最低LVで仲間全員を揃えて、レベルアップの回数を一回たりとも無駄にせずに魔石でドーピングしたりして頑張ったりしたが99%止まりのキャラ多数だったな。
99%にも届かないとか「これ何かの間違いでは…」と思ったもんだ。
今となっては、各ステータスの為にLV5くらからLv99まで上げる「作業」を複数回やってたのが信じられんぜ…。
ていうか「たいりょく」無関係かよ…。
一回分無駄な俺の「たいりょく」を使ったわ…。


投稿者 友人K : 2011年5月 9日 05:40

当時これに振り回された人って結構多いんじゃないかと思うな……。
FFタクティクスの攻略本「小数点以下の確率で源氏装備は盗める(キリッ)」
と並んで、ゲーム史上、許されざる時間浪費罪だな。

でも……もしかしたらまだ何か、やりこみ度に関する、
明かされていない秘密が……
あるのかも……しれない……わけないか……。

>ていうか「たいりょく」無関係かよ…。

俺も驚いた……というか、これが換算されてないのが
全ての原因じゃないかという気もしてくるな。
ちなみにHPとMPも無関係らしいぞ。

>一回分無駄な俺の「たいりょく」を使ったわ…。

だれうま


投稿者 夢崎 : 2011年5月11日 19:26

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