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2020年3月19日

『PCエンジンmini』所感

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 Amazon 専売という販売形態と収録タイトルの偏りが原因か、ミニハード系の中ではイマイチ盛り上がっていないまま発売を迎えた感のある PCエンジンmini。早めに予約していたおかげか、普通に本日発売日に届いたので、所感を書いておきたい。ちなみにターボパッドも予約していたのだが、以前に報じられていたとおり、発送が遅れる様子。メールも来ていたが、4月30日頃になるとかなんとか。え、えらい遅れるなオイ。その頃、俺はスーパーリアル麻雀で忙しいよ。

 まず、メガドライブミニと同じくエムツーが手掛けているので、ベースの作りはしっかりしていて何の不安もない。同日発売の書籍「電撃PCエンジンmini」によると、液晶モニタに HDMI 接続で映すと当時とは違う表示になったりすることがあるらしく、タイトルの動作には実際にアナログテレビを使ってチェックし、全タイトルに何らかの修正を入れているらしい。エミュ乗っけてハイ終わり、ではないこだわりが嬉しい。

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背景画像は、白エンジンとコアグラを切り替えられる。タイトル名の表示欄も当時のケース側面を模していて、芸が細かい。
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起動時の、あの画面も再現。画像では分からないが、起動時にはシーク音も再現されている。

 どこでもセーブ機能は各タイトルごとに4箇所ずつ。画面設定も、4:3やドットバイドットといった定番に CRT フィルター等、各種取り揃えられているが、特に、PCエンジンGTを模したモードはおもしろい。フレームが PCエンジンGT 風になるだけじゃなくて、ゲーム画面部分そのものにも、それっぽいフィルターがかかる。

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こんな感じ。ちなみに、Huカードのタイトルだけでなく、CD-ROM2 タイトルも、このフレームで起動が可能。

 こだわってんなぁ……と感心するけど、GT モードはさすがに画面小さいし見づらいしで、1回試したら満足する系のやつ。あと、ミニハード系では毎回書いている「コントローラのケーブルの長さ」だが、多分、今回のは最長。もう測る気も起きないくらいに長いので安心。

 システムカードをあえてダウングレードして起動することも可能(SELECT+I ボタンでゲームをスタート)で、警告画面を見たり、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』で「あくまぢょおどらきゅら×(ぺけ)」をプレイすることもできる。

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やっぱり、これがないとね……。

 また、ちょっとしたサプライズとしてすでに報じられているが、『ソルジャーブレイド』を SELECT+I ボタンで起動すると、非売品だった『ソルジャーブレイド』のスペシャルバージョンが起動できる。これはマジで嬉しい。あと、『ときめきメモリアル』内のゲーム内ゲーム、『フォースギア』と『ツインビーりた~んず』もメニュー画面から即起動できるようになっている。

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実物のスペシャルバージョンは、プレミアソフトと化している。
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『ときめきメモリアル』にカーソルを合わせた状態で、『フォースギア』は SELECT を2回押してから RUN or I ボタン、『ツインビーりた~んず』は SELECT を3回押してから RUN or I ボタンで起動する。

 あと、忘れがちだが各タイトルの説明書も公式サイトで配信されている。他のミニハード系もそうだったけど、当時の説明書が PDF 形式で読めるってのは、やっぱりありがたい。


 せっかくなので、収録されている中で個人的なオススメタイトルを軽くご紹介。

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『ソルジャーブレイド』と『スーパースターソルジャー』

 個人的に弾幕シューティングにはついていけないが、この頃のシューティングは好きだった。どちらの作品も、1面の BGM がカッコ良すぎるんだ。『ソルジャーブレイド』は海外版での収録になるが、ゲーム中に日本語が出る場面がないし、多分、中身はほとんど一緒だろうから、問題ないだろう。


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『邪聖剣ネクロマンサー』

 王道から少し外れた、ダークな雰囲気が魅力の RPG。クトゥルフに影響を受けている不気味な敵モンスターや、敵を倒した後の血しぶきなど、おどろおどろしい要素が魅力。H・R・ギーガーのパッケージ絵が最高だったのだが、権利関係なのか、PC エンジン mini ではタイトルロゴのみになっている。

 冒頭で仲間を選択し、選んだ仲間の性能によって難度が大きく変わってくるあたりもおもしろいが、昔の RPG あるあるとして、全体的なゲームスピードというかテンポが遅いため、今やるとキツく感じる。ゲームバランス的には難しめなので、今プレイしてもやり応えはあると思うのだが……。倍速機能があればなぁ。

 ちなみに、2016 年になってから、とある洞窟の隠し宝箱が判明したりしている(邪聖剣ネクロマンサー マニアックデータ)。


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『忍者龍剣伝』

 PCエンジン版は何気に初の移植じゃなかろうか。なぜか他機種版とはいくつかの BGM が違っていて、2017 年に発売された『忍者龍剣伝 オリジナルサウンドトラック コンプリートコレクション』にも収録されていない。微妙に歌謡曲っぽいフレーズが混ざる BGM が多くて好き。


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『スナッチャー』

 今やっても全然おもしろいし、遊びにくさも感じない SF アドベンチャー。人間と見分けがつかないアンドロイドが普通に存在する近未来の話で、露骨なまでに映画『ブレードランナー』の影響が強い。しかし、『ブレードランナー』が「アンドロイドの苦悩と悲しみ」を強く描いているのに対し、『スナッチャー』は「誰が人間に成りすましているのか」という点をよりゲーム的なミステリー風サスペンスに昇華している……ように思う。何話してもネタバレになるからあんまり言えないけど、やったことない人にはゼヒやってほしい。

 PS1 版は大昔にプレイ済みだったのだが、「PCエンジン版は結末がだいぶ異なるらしいので、こっちもやっておきたいな」と思って2~3年ほど前に趣味でプレイしたところなので、正直「しまった」と思っている。温存しておけば良かった。歳をとると、2~3年前なんて、ついこの前だ。ちなみに PCエンジン版は、終盤の敵キャラの会話がボイス付きでリアル 40 分ほどあってビビる。


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『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』

 今更オススメするまでもないけれど。2018 年に PS4『悪魔城ドラキュラX セレクション』に収録されたので、今回収録されたことのインパクトはちょっと弱め。以前に攻略ページを作っているので、プレイする人は参考にドウゾー


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『源平討魔伝』

『ネクロマンサー』に負けず劣らず、おどろおどろしい雰囲気の和風ダークホラーアクション。ステージによって「ミニキャラ横スクロール」「デカキャラ横スクロール」「見下ろし型」と、見せ方そのものが変わるのが特徴。うろ覚え脳だと『月風魔伝』とごっちゃになりがち。ゲームオーバー時の「完」は何度見てもすがすがしい。

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『ワルキューレの伝説』

 アーケード版が元ではあるけど、俺の中では PCエンジンの代表的なアクションゲームとして頭に刻み込まれている。当時はファミコンしか知らなかったので、キャラが大きめでナナメ移動できてキャラクターも世界観も可愛いというゲームは新鮮だった。

 ワルキューレは剣を持っているものの、剣から出る謎の光で攻撃するので、殺伐感がないのが良い。ピョコンと両足を揃えてジャンプする姿も可愛い。剣から出る光の音すらミョンミョンと可愛らしく、全然強そうじゃない。とにかくほのぼのとしていて、「いいなぁ……」とホッコリしていると、案外難しく、ゲームオーバーになって我に返る。気を取り直してもう一度スタートし、雲の上からグルグル回転しながら下界に落ちていくワルキューレを見て「やっぱり可愛い……」とホッコリする。

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岩の下敷きになったときのデフォルメ姿も、古き良き 80~90 年代……


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『スプラッターハウス』

 B 級ホラーが好物な大人になってから良さが分かってきたタイトルの1つ。主人公は『13日の金曜日』ありきみたいなもんだけど、とにかく敵クリーチャーがどれもいい味出してる。Nintendo Switch の『ナムコミュージアム』にアーケード版が収録されていて、PCエンジン版もゲームアーカイブスで配信されているので、ありがたみは若干薄いか。

 ドットで描かれる各クリーチャーの不気味さを見ていると、こういうシンプルなホラーアクションって最近ないなァと思う。これを見てると、『エイリアンストーム』がやりたくなってくる。


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『銀河婦警伝説サファイア』

 有名なプレミアソフト。PSP 時代に出た『銀河お嬢様コレクション』にも収録されていたのだが、今や、そっちもプレミアに。ようやくお手軽に遊べるようになった。

 未来的なステージ演出のために、技術的に結構スゴいことをしているように見えるソフト。何気にギャル×シューティングのハシリなのではと思うのだが、敵弾の弾速(特にレーザー系)が地味に速いので、意外と難しい。キャラクターはジャスミンがオススメ。コイツだけ、自機の移動速度が速い。


 ・ ・ ・

 ハードとしての作りに不満はないが、残念だったことといえば、やはり収録タイトルだろう。『エメラルドドラゴン』……は権利関係が面倒なことになっていたような気がするので仕方ないにしても、『改造町人シュビビンマン』が入っていないのは不思議。『イース I・II』が収録されているなら日本ファルコムの協力は得られていると思うのだが、こちらも、なぜ『風の伝説ザナドゥ』を入れなかったのか不思議でならない。あと、実機だとメモリーの使用量が異常に多かったので遊びにくかった『ウィザードリィ』系もやりたいが、『ウィザードリィ』関連はただでさえ権利関係がアレなので……。

『イース』シリーズなら、個人的には『I・II』よりは PC エンジンの象徴ともいえる素晴らしい出来だった『IV』を入れて欲しかったなァとか、『リンダキューブ』『超絶倫人ベラボーマン』『ヴァリス』『フォーセットアムール』『女神天国』あたりも……とか言い出したらキリがないけど、「電撃PCエンジンmini」のインタビューで、「売れたら次を作ってみたい」という話があり、PCエンジンmini が売れさえすれば、PCエンジンDUO mini とかありえるのか……!? と夢を見てしまう。わりとマジで、売れて、さらに次を作ってほしい。

 我々ユーザーから見れば「あのタイトルが入ってない」とブーブー言ってしまいがちだが、「電撃PCエンジンmini」のインタビューを読む限りでは、やるべきことはちゃんとやったと言えるだけの手間をかけている。このあたりはメガドライブミニと同様の執念を感じる。それでも収録タイトルに物足りなさを感じるのは、収録されているタイトルのメーカーがほぼコナミ(ハドソン)とナムコだからだろうか。しかも最初はナムコタイトルなかったしな。

「電撃PCエンジンmini」には各タイトルごとに、コナミ側とエムツー側からのコメントが載っていて、そのほとんどが技術的な話や収録に際して大変だった話なので、異様に読み応えがある。『スナッチャー』のタイトル画面は実は左が1ドット欠けていて、今回それを直したとか。総合的に見て、この本は PCエンジンmini に同梱するべきだったのではというくらいに濃い内容なので、「PCエンジンは好きだけど、PCエンジンmini は買ってない」という人も、この本だけはとりあえず買っておいて損はないんじゃないか……と思ったら、現在 Amazon では在庫切れらしい。売れてるのかな……。というわけで、本屋で見かけたらゼヒ。

 俺はとりあえず、疲れたときの現実逃避用にこのセーブデータを作っておいた。何も考えたくないとき、頭カラッポにしてこれをやるんだ……。

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| コメント (2)

コメント

先ほど、PCエンジンミニが届いたので、地の輪廻をしました。
どうやら、輪廻はPCエンジン版(NOTPSP版)のようですね。冒頭のナレーター音声や狼男で確信しました。
自分も、連射パッド買う予定です。


投稿者 ゼア : 2020年3月21日 17:04

『血の輪廻』に関しては、ようやく 初代PCエンジン版を現代で遊ぶ手段が登場したという感じですね。
Wii バーチャルコンソールは画面がだいぶぼやけますし……。


投稿者 夢崎(管理人) : 2020年3月22日 02:21

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