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2011年12月20日

PS3/PS Vita『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』レビュー

PS3パッケージ VITAパッケージ

 シリーズの再起を賭け、長い開発期間を投じて作られた渾身の一作……だと思っていたのだが、どうやらそうではなかったようだ。フタを開けてみれば『2』と同じく、我孫子氏が「監修」というハンドルを操作しきれなかった印象。『2』のホラー一色ほど特殊ではなくなったが、じゃあ『真』のほうが一般性はあるかと言われると、それもどうかなと思う。『2』のサブシナリオはとにかく不気味で気持ち悪かったが、読ませる文章、文章力という意味では圧倒的に上だった。

 我孫子氏としては自分以外のカラーをより多く取り入れて新しいものを作りたいと思っているのかもしれないが、文章を読み進めていくゲームにおいて、「複数の作家を使ってひとつの作品を作る」ということは並大抵の難しさではない。本で言うならアンソロジーなわけで、そこに「まとまり」を求めるのは不可能に近い。

 初代『かまいたち』のバラエティ豊かなシナリオ群がウケた理由は、各シナリオ、まったく毛色が違うものでありながらも、作者がひとりであることで文体に統一感があったことと、殺人事件の話が主ではないサブシナリオでも終盤には必ず、何かしら隠されていた真実が明らかになったりして、根底にあるのは常にミステリーだったからだと思うのだ。

『真』は、各シナリオの作者が好き放題に書いた印象が強く、結末も「え? これで終わり?」というようなものが多かった。結果的には、我孫子氏以外の作家による『かまいたち』の威を借る同人サウンドノベル集……と、ファンとしてはあまり口に出したくない結論になってしまいそうだ。


●ミステリーとしての、本編のデキ

『1』の事件は、緻密な計画ではなかったが、状況に応じた機転と冷徹さを持っていれば実際に犯行が可能な事件であり、そのリアリティが恐怖と説得力を生んでいた。ペンションの人間も、ただどんどん殺されていくのではなく、「なぜこの場面でこの人を殺したのか?」という、犯人の焦りや思惑を推理する面白さがあった。

『2』は計画的犯行だったが、あまりにも偶然の要素が重なりすぎていたため、ゲームとはいえ、フィクションすぎる事件だった。どうやって犯行に及んだかのトリックは面白かったのだが、それ以外の部分に無理が生じすぎていて、リアリティがない分、説得力に欠けていた。

 それでは『真』はどうなのか──というと、『1』の「計画的ではない」部分と『2』の偶発性が同居しており、『2』のような大トリックがない分、シリーズ史上もっとも地味で、都合の良いだけの事件になってしまっている。
 

ミステリー編
死体の第一発見者、雪乃。彼女はこの日、体調が悪かったため、
ラウンジに居た全員に「風呂に死体がある」ことを伝えると気絶してしまうが……
※以下、微ネタバレ(文字反転)↓
彼女がここで気絶していなければ、この事件は成立しない。


「これはゲームだ」と完全に割り切るなら、「計画的ではない」ことと「偶然」によって推理しづらい状況が作り出されているため、「一体これはどういうことなのか」という「謎についてあれこれ想像すること」自体は楽しめるかもしれない。

 だが、『1』にあれだけスリルがあった理由は、何だろうか。序盤から漂う疑心暗鬼ムード。ひとり、またひとりと殺されていくことによって絞られる犯人像と、追い詰められていく恐怖。死体は増えるが、それに伴って得られるヒント。登場人物たちと一緒に推理しながら少しずつ真実に近付いてゆく感覚は、まるでプレイヤーもペンションに宿泊したひとりとなって殺人鬼の居るペンションに閉じ込められてしまったかのような臨場感があった。

 しかし『真』は、最初の死体発見からムードがあまり変わらず、今ひとつ、殺人事件が発生したのだという緊張感がない。次々と死体は増えるが、ひとりひとりの死に対する反応が軽く、事の深刻さが伝わってこない。推理中も、ロジックと言えるようなものはほとんどなく、考え、推理する楽しみは薄い。殺されるペースも早く、作品世界にドップリと没入する前に終わってしまったような、全体的に短い印象を受けた。

 ほかにも「回収しきれていないのでは?」と思われる妙な伏線があり、詰め切れていない感じもした。(※やってる人にしか分からないが、序盤で池谷がオーナーを急いで探してたのは何だったのか? など。)


●サブシナリオのデキ

 まず、数あるしおりの中からピンクのしおりが真っ先に登場するのに、肝心のピンクシナリオは後日 DLC 配信という意味不明さは、どうにかならなかったものかと思う。

 中古対策や単なる商法としてこうしたのなら、もうゲームを作ることを辞めたほうがいいレベルだが、厳しくなっているというウワサのコンシューマエロ規制上、思う存分エロシナリオをやるにはこうするしかなかったのだと思いたい。ソフトとしては CERO D だしな、これ。……DLC だと CERO 審査がどうなるのか知らんけども。

 それ以外には、6つのサブシナリオが存在する。その内のひとつ、「犯人当て編」は問題編と解決編に分かれており、解決編は DLC 配信なのだが、これはあえて真相を遅らせて発表することで、配信までの間にユーザー間で議論を交わさせるためのものかもしれない。でも、これをやるなら何か景品でも用意して、配信日までに犯人の名前をチュンソフトに送信するとかして、真相と正解者は公式サイトで後日発表にしたほうが良かったんじゃないだろうか。当てようが外れようが何の意味もなく、単にひとつのシナリオを楽しむのに時間がかかるだけというのは……。

 サブシナリオの存在は、ある意味では本編よりも重要といえる。初代『かまいたち』の評価は、舞台と登場人物はそのままに、文章の変化だけであれだけ違うストーリーを描いたという点によるところが大きい。

『2』では、このサブシナリオ群のほとんどがホラー色の強いものになっていたため、初代にあったような「読み終わった後のカタルシス」が消え失せ、後味の悪いものばかり、という印象に埋もれてしまった。

 さあ、それでは『真』では……というと、冒頭でも少し触れたが、『2』の特殊性は消えたものの、文章力ではシリーズのすべてに劣っている。

 まず、全サブシナリオに言えることだが、起承転結が上手く構築されていない。 やたらダラダラと「承」が続いた後、「転」なしで「結」だったり、「転」が「転」としての役割を果たしていないまま「結」に行ったりする感じ。「プロの仕事」を感じないデキだった。

 それが特に顕著だったのは「妖怪編」。妖怪編は『真』におけるギャグ担当ともいえるシナリオだが、個人的にこのシナリオはキツかった。いかにもライトノベル風……というとライトノベル作家に失礼な気もするが、素人目に見ても文章力が拙く、作者の「どうだ、面白いだろ!? さあ、笑え!」という不気味な圧力のような、薄ら寒いものを感じた。

 このシナリオでは、今風な喋り方をするキャラ・沙都美がツッコミ役になるが、他のシナリオに比べ、このシナリオだけ変にボイスが豊富でフルボイスに近い。本編ですらフルボイスではなかったことを考えると、力の入れ方を間違っている気もする。

 後半のツッコミはわざとだらけた雰囲気になってくるが、「33分探偵」の水川あさみのようなツッコミを声優が演技たっぷりでやってる感じで、どうにも「わざとらしさ」が鼻につく。「33分探偵」は面白かったが、あれを見てからこれをやると、余計にキツい。

妖怪編
文章で読むとそうでもないものも、声つきで読まれるとなんだかなぁ、と感じるものが多い。声優がわざわざ「やる気のない演技」で「へー、そうなんだー」「すんごーいー。かっこボーヨミー」と言っているのを聞くと、オタクのわざとらしい会話のような気持ち悪さがある


妖怪編
地の文のやる気のなさがライトノベルっぽさを助長している。「比喩だよ」は地の文だと思うが、主人公のツッコミだとしても不要だし、会話文の後は改行すべきだろう


 なんで沙都美がそんな役回りをするかも分からないまま話は続くが、ひょんなことから大量の妖怪の封印が解けてしまい、「これから山場か!」というシーンで、ものすごい唐突に終わる。スタッフロールでは、沙都美の「え!? これで終わり!? こんな話書くなんて、作者、頭おかしいんじゃないの」というボイスが流れる中、スタッフロール中の文章で作者が「うるせー」とか「沙都美ちゃん可愛いよね」と会話し始める始末。「お前、肝心のシナリオをちゃんと作らないで、何ふざけてんだよ……」という思いと、マンガの中で作者とキャラが毒にも薬にもならない会話してるのをムリヤリ見せられてる感があって、さすがに、ちょっとヤなものがあった。

 すべてのツッコミを沙都美にこなさせていることからも、作者の沙都美びいきは分かるが、シナリオとしてのデキを重視するならば、登場人物をまんべんなく面白く見せることを重視すべきだったろう。ヒロイン・京香はこのシナリオにおいては居ても居なくてもどっちでも同じくらいの存在感になってしまっているし、オタク色を前面に出しまくるキャラ・オーモリは単にウザい。そんなウザさを作者も分かっているのか、他のキャラに殴る蹴るをさせているが、いくらウザいとはいえ、ボコボコにすればスッキリするってもんじゃない。そもそもウザいことをさせずに、どのキャラにも面白味を感じられるように描くべき。

 キャラ萌えを語りたいんだったら、このゲームを遊んだ人が共感できる相応の理由と、狂気すら感じさせる、その人独特の偏った視点が不可欠だし、そもそも、小説を書く人間は極力、作品中で自分の姿を感じさせてはイカンと思う。

 特にこれは複数の作家のシナリオをまとめて『真かまいたちの夜』というひとつの作品にしたものなのだから、ひとりではしゃぐのではなく、複数の作家が合体して、その人がひとりで書いているかのような統一感が必要。アンソロジーに参加した同人作家のようなノリは頂けない。

 エロゲーや同人ゲームの会話ならこういうのもアリかもしれないが、『かまいたち』シリーズとしてこういうのをやられると「これは違う」感がスゴい。サブシナリオは本編と同じくらいの気合と覚悟で作らなければダメだ。『かまいたち』の持つ魅力は、サブシナリオも含めたすべてにあるのだから。


●追いきれなかった『1』の残り香

 舞台がペンションであることに始まり、登場人物に熟年夫婦が居ること、体格のいいイケメンが居ること、今風の若い女の子が居ること、ミステリー編で犯人を指摘できなかった場合は皆殺しルートになること、犯人の名前入力シーンが複数回あり、後のほうではハッピーエンドにできないこと、犯人が分かっていても、ハッピーエンドに導くための犯人名前入力シーンを見つけるほうが難しいなどなど、『1』の形式を踏襲している部分が見受けられる。
 
 ただ、『1』は皆殺し寸前になっても2回目の犯人入力シーンで当てれば犯人自体は分かるようになっていたが、『真』では2回目の犯人入力では何を入力しようが犯人は明確にならず、むしろ余計に推理しづらくなっている。

 後半の犯人入力は「事態としては手遅れだが、次回プレイへの大いなるヒント」か、「犯人は判明したが、犠牲者が多く出すぎた……」系のバッドエンドの窓口としてあるべきだと思うが、どの選択肢を選んでも、誰の名前を入力しても犯人は分からないまま全部バッドエンドになるのは如何なものかと思った。

 あと、『1』で好評だったから今回も使ったのか、単なるファンサービスなのかは分からないが、サブシナリオのひとつに「スパイ編」を持ってきたのは、まさに『1』の栄光を追い求めるかのようだった。だが、デキとしては、かなりひどい。

 ペンションを舞台にテロリストたちと戦う話だが、似たような話は『1』で見ているし、比較されるのは当然なのに、『1』のスパイ編と比べてあまりにも面白くない。盛り上がりもなければ、やたら多いバッドエンドも、ただただ銃殺されるだけ。『1』のスパイ編ってスゴかったんだな……と思い知らされた。

 なお、読了率を 100 %にする上で、このスパイ編はかなりややこしい作りになっており、バッドエンドと未読部分をしらみ潰しにしていく作業感がすさまじい。そういった、コンプリートへの無駄な障害として立ち塞がるという意味でも、このスパイ編の戦犯度は高い。

 音楽面でも『1』の遺産は大きい。『かまいたち』シリーズはすべてプレイしているが、記憶に残っている音楽は、全部『1』の曲だ。「サウンドノベル」というくらいだから、場面に合わせたBGMの威力を効果的に使ってほしいものだが、今回は特にサウンドが弱い。サントラも発売されるようだが、サントラを発売できるだけの曲数があったことに驚くほど。それくらい印象が薄い。

犯人入力
犯人入力シーンで流れる BGM は、『1』からおなじみの緊迫感あふれる名曲「ひとつの推理」。良く言えば「これぞ『かまいたち』」という感覚の訪れを漂わせ、悪く言えば、音楽面でもいまだに『1』の持つ力に頼っている


●選択肢とバッドエンドの価値

 バッドエンドは、単に「ああ、主人公が殺されちゃった。やり直し」というだけのものではない。なぜここで、この状況だと殺されたのかを推理するための重要なヒントでもある。もしくは、ちょっとふざけた選択肢から発生する、「なんでこんなことに!?」といった、プレイヤーを楽しませるための、お笑い系エンド。
 ……のはずが、今回は本当に何の面白味もない「ただのバッドエンド」だらけ。選択肢についても、意味のある選択肢は少なく、いろいろ分岐しているように見えて特に何の意味もないものがほとんどだった。

 サウンドノベルでプレイヤーができることは選択肢を選ぶことだけ、といっても過言ではない。ただ選ぶだけ、されど、選ぶだけ。それだけ重要なものなのだということを、作り手側が理解していない。バッドエンドの質に関しては、今回のは子供が作ったゲームブックの域。


 今回、新しい仕掛けとして「1WAY選択肢」「SECRET選択肢」「おさわり選択肢」などがあるが、これらも、入れる必要があったのかと疑問に思う。

 A、B、C と選択肢があったとして、一度Bにカーソルを動かすとAに戻れなくなる「1WAY選択肢」、一定時間が経過すると選択肢が変化する「SECRET選択肢」、アドベンチャーゲームのように周囲を調べることができる「おさわり選択肢」。

 ぶっちゃけて言えばすでに他のゲームで採用されているシステムばかりで、新鮮味はない。問題なのは、それらがまったく効果的に機能していないことだ。

 まず、「1WAY選択肢」はフローチャートシステムがある以上、ほとんど意味がない。チャートで戻って選び直せば、普通の選択肢と同じだ。

「SECRET選択肢」は 15 秒というカウントが妙に長く、カウントが0になる過程で変化するのは選択肢が「消える」ことだけ。0 になると新たな選択肢が出現するが、要するに選択肢が A、B、C とある場合、「15 秒経ったら D も選べるよ」と同義であり、コンプリートを目指す際に単に面倒くさい選択肢と化している。だいたい、画面に「SECRET選択肢」って堂々と表示するのもどうなんだ。全然シークレットじゃない。


スパイ編 スパイ編
時間経過で写真のように選択肢が消え、今までなかった C が現れる。要するに C を選ぶには 15 秒待たなくてはいけないだけ。

おさわり
ラウンジを「おさわり」で調べる際の画面。実は一枚絵ではなく 360 度グルグルまわせるようになっているのだが、あまり大した発見もなく、意味はなかったように思う


「おさわり選択肢」は名称こそ選択肢だが、マウスで画面を調べるアドベンチャーゲームと同じことができるわけで、色々と可能性がある……はずが、「ここを調べたらこんなものが!」ということは皆無に近く、わざわざ調べさせる意味はあったのか? というものが大半を占める結果に。

 そんなわけで残念な感じの「おさわり選択肢」だが、今後配信されるピンクシナリオで真価を発揮すると見ている。わかるだろ?


 その他、背景やキャラが動きまくって進化していた『2』の良いところはどこへやら、全体的にほとんど動かない。PS3 や PS Vita というハードでの発売は単に現行機だからという理由であり、ゲームとしてはそれらのハード性能を用いるまでもない、恐ろしく低技術で手間をかけていないものとなっているのが残念だ。


スパイ編
スパイ編にて、暗闇の中、テロリストを麻酔銃で狙撃するシーン。「おさわり選択肢」システムの流用で、
敵はまったく動かないし、時間制限もないので、狙撃を外す要素がない


 元々、サウンドノベルは高いハード性能を必要としないジャンルだし、ハード性能を使った派手でゼイタクな演出は必要ないが、プレイヤーに現状を分かりやすく把握させたり、建物の作りを理解させたり、臨場感を高めるための動き、プレイヤーをより楽しませるための演出といった最低限の手間は、ちゃんとかけてほしいと思う。


●最後の "隠し"

『2』『×3』と、クリア後に長期間「何かある」「いや、もうない」とプレイヤーを惑わせた隠し要素。今回は『×3』にはなかった「チュンソフ党の陰謀編」が復活し、隠し方もなかなか上手い。犯人入力画面で「あさの」と入れると、初代ディレクターの麻野氏がテロリストの格好で登場してヒントを言うことと、黒のしおり開放直後にもヒントがあるので、そこまで難しくはない。

 しかし「チュンソフ党の陰謀編」も定番化しているので、「まだ最後に何かあるだろう」と勘繰るのは当たり前。トロフィーリストを見ると、1つだけ隠しトロフィーになったままのものがあり、トロフィーサイトでそれが「プラチナのしおり」だということは判明していた。「金のしおりの上がある!」という事実と、表示される読了率が 100 %になってもプラチナのしおりが表示されないということで、「どんな隠し方をしているのか」とワクワクしたが、意外にもスンナリと解決してしまった。

「金のしおり」の後にミステリー編をプレイしていると、『2』の電波文のような不気味な文章がランダムで出てくることがある。これら自体には何の意味もなく、気味悪さを感じさせるにしてはデキもひどいものだが、これらを全種類見るとプラチナのしおり取得となる。

 電波文の登場箇所はネット上の情報交換ですぐに突き止められるが、出現そのものがランダムなので、同じ場所を何度も読んでは戻り……の繰り返しになる。スパイ編のバッドエンド埋めもひどかったが、これもひどい。ゲームとして、何の面白さもない。フローチャートはスクロールすると結構空欄があるので、その辺に何か仕込まれてると思ってたんだけどなぁ……。まだ何かあると期待したい……って、また『2』『×3』と同じだな、これは。


●何が『真』だったのか?

『×3』は『3』ではなく、『1』と『2』の本編も同時収録してるから『かまいたちの夜×3』なんだ、ということだった気がするが、別にあれを『3』ということにして今回が『4』でも良かったんじゃないか。それとも、ホテルやマンションのルームナンバーが「4」や「13」を嫌うように、『4』を避けたのだろうか。何にしろ、『真』の名に応えたとは言えないデキであることは確かだと思う。

 発売前に公式サイトで毎週更新されていた「ちょっとおかしなかまいたちの夜」で、「真という字は分解すると『十一人目』にならないだろうか」といった話があり、「おお、なるほど」と思ったものだが、プラチナのしおりや「100 %クリア」のプラチナトロフィーまで明らかになった今、別に隠し要素に絡むこともなく、意味はなかったようだ。

 妖怪「かまいたち」に関するネタも限界に来ていると思うので、「かまいたちの」にこだわらず、「~の夜」シリーズとして発展させたほうがいいんじゃないかとも思う。また妖怪の名前にすることで統一感を出してもいいし。

 ただ、ひとつ言えるのは、我孫子氏はすべてのシナリオを自分ひとりで書いたほうがいい、ということだ。ひとりで書くのは大変かもしれないが、もう、作家の質の問題と、統一感の重要性が如実に出てきてしまっている。

『かまいたちの夜』、ひいてはサウンドノベルというジャンルは、文章が好きな人によって、文章が好きな人に向けて、文章の可能性を追求して丁寧に作られた結果、完成したもの。もし次回作を作るつもりがあるならば、初代の丁寧さを思い出して、一文、一文を吟味し、ひとつひとつを大事に、画面に表示していってほしいと思う。

 こんなにほめてないレビューをわざわざ書くのも、文章が好きだから、『かまいたち』が好きだからなんだ。ホ、ホントよ。


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[真かまいたちの夜 11人目の来訪者] | コメント (6)

コメント

のっけからぶっちゃけですねw 最初の一文を読んだだけで、このソフトの評価が分かりました。 ただ、ファミ通の評価ではプラチナ殿堂入りとのこと。 ちなみに、今でも名作と名高い初代スーファミ版の平均評価は7ぐらいだったかと。 ポケモンといい、ICOの後のワンダといい、見事なまでの手の平返しを披露といったところでしょうか。  

まあ何はともあれ、非常に良質なレビューありがとうございました。 余談ですが、今回の“体面を意識した評価と本質を見抜いた評価の違い”という点で、開高健の「裸の王様」を思い出しましたね。 こちらは、ある児童画に対する評価ですが、権威の下で評価せざるをえない者とそうでない者との違いという点で通じるものがあると思いました。 自分の中では短編の傑作中の傑作だと思いますので、もし機会があれば是非ご一読を。


投稿者 toshi : 2011年12月22日 14:03

>ファミ通の評価ではプラチナ殿堂入りとのこと

クロスレビューが1週遅れだったのか、今週のに載ってましたが、
1時間やったかどうかの、なんとも当たり障りのないレビューでした。
ゲームを全くやってなくても書けるレベルです。
そもそも本編だけでもちゃんとクリアしたんだろうか? という……。

>初代スーファミ版の平均評価は7ぐらいだったかと。
>ポケモンといい、ICOの後のワンダといい、
>見事なまでの手の平返しを披露といったところでしょうか。

手のひら返しというか、時間がないのか、
大してゲームをやらずに書いてるとしか思えないことが多いので、8~9点は一番要注意です。
6~7点くらいのレビューが一番信用できるんですよ。しかも良ゲーが多い。

>開高健の「裸の王様」

不勉強なもので、初耳の作者、著書でした。面白そうなので探してみます。

レビューに関してはもう少し分かりやすく、程良い長さで的確に書きたいものですが、
こうしたサイトでのレビューは基本的にボランティアのような作業であることと、
速報性を考えると、ある程度まとまったところでサッサと発表してしまわないと
価値はどんどん薄れていくので、難しいところです。

特に、ほめないレビューというのはアフィリエイト経由で買おうと思ってくれていた人すら
「これなら、買うのやめるか……」と思わせるようなものですから、なんとも得のないものです。
そりゃ誰もやらんよな、という。


投稿者 夢崎 : 2011年12月23日 04:54

はじめまして。夢崎さんの「かまいたち」レビューはいつも興味深く拝見しています。
自分も初代のスーファミ版からの「かまいたち」のファンですが、夢崎さんの今回のレビューはまさに
自分の中でモヤモヤしていた苛立ちを明確化したもので、読んでいて溜飲が下がる思いでした。

できたらでいいのですが、DLCなど「真」に関する要素が出し尽くされて落ち着いた頃に、もう一度
「日本一遅い真かまいたちの夜レビュー」として、夢崎さんの今回の作品、引いては「かまいたち」シリーズ
に対する総括的なレビューを読んでみたいです。


投稿者 MOS : 2011年12月29日 20:09

>DLCなど「真」に関する要素が出し尽くされて落ち着いた頃に、もう一度
>「日本一遅い真かまいたちの夜レビュー」として

読んで頂き、ありがとうございます。
DLCに関しては気になっているので、そこまで出切ってからもう一度追加で書いてみようかなとは思います。
次回、最後のDLCが2月でしたっけ……。引っ張りますなぁ。


投稿者 夢崎 : 2012年1月 1日 23:41

先日DLCの第2弾が発売になったみたいですね。夢崎さんがどんなレビューをされるのか楽しみです。

ところでこのレビューを読み返して思ったのですが、
>ただ、『1』は皆殺し寸前になっても2回目の犯人入力シーンで当てれば犯人自体は分かるようになっていたが
とありますが、『1』で皆殺し寸前にある犯人入力シーンというのは「3回目」ですよね。
1回目が被害者は一人しか出ていない時点、2回目が二人目の被害者が出てしまった時点、そして3回目が皆殺し直前の時点。
つまり、『1』には犯人入力チャンスが3回あるが、『真』には2回しかないということになります。このあたりも『真』の劣化ぶりがうかがえます。


投稿者 MOS : 2012年1月27日 09:37

>先日DLCの第2弾が発売になったみたいですね。
>夢崎さんがどんなレビューをされるのか楽しみです

oh もう出ていたのですね……やってみよう。
レビューは2月入ってからになるかもしれません。

>『1』で皆殺し寸前にある犯人入力シーンというのは「3回目」ですよね

ああ、そうでした。
1回目の入力に入るには、もう犯人も仕掛けも完璧に理解してないとダメなくらいの
選択肢チョイスが求められるので、
2回目の入力と3回目の入力で「2回」と思ってしまいがちでした。
今度、直しておきます……。


投稿者 夢崎 : 2012年1月27日 23:39

コメントしてくれるのかい?