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2011年9月10日

Xbox360『シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん』レビュー

比翼恋理

 気付けばもう9月だし、前回の更新から2週間が過ぎている。ヤバい。「歳をとると時の流れが早い」とは言うけれど、これ絶対、何かしらの科学的な根拠があると思う。単に、まだ解明されていないだけで。

 そしてこの「年齢に比例する時間加速」理論は、後のタイムマシン開発に大きな役割を果たすことになるのだ……ってとこまでいくと、先日再プレイした『シュタインズ・ゲート』の影響になってしまうのだけど、その外伝作品と言ってもいい『比翼恋理のだーりん』を遅ればせながらプレイ。

 プレイ前は「俺は、あのストーリーが好きだったのであって、こんなギャルゲギャルゲした外伝作品など認めんッ! 何が『だーりん』だッ! うる星やつらか、クソッ!」って感じだったのだが、プレイ後は「グスッ……オアッ……ええ話やん……。」と完全に涙もろくなった、ただのオッサンがいた。

 もちろん「人気があるうちにもう一儲けだぜウッシッシ」という思惑が8割9割は占める作品だとは思うが、たとえそうだとしても嫌味に感じないとでも言えばいいのだろうか。なんというか、自然なのだ。

 過去に干渉することで未来が変化し、その結果、無数に枝分かれした世界が存在することになる────『シュタインズ・ゲート』本編でも語られた「世界線」という概念が、本作のような外伝作品を違和感なく存在させることに成功している。商品展開する上で、こんなにもやりやすい設定を持った作品も珍しい。単なるファンディスク、というよりは、『かまいたちの夜』に色々なエンドがあるように、本編にこういうエンドがあってもいいんじゃないか……という、“if” の世界を見ているような感じ。

 ただ、主観で言うと、メインヒロインの位置に居る紅莉栖とまゆりのストーリーは力が入っているが、それ以外のキャラはあと一歩、という印象。るかルートはキャラの性質上、今回も「すまない、ホモ以外は帰ってくれないか!」状態だし。いっそ、ふたなりにしろよ! 紅莉栖ルートは見ててムズムズするというか、顔がニヤケてくるという意味でラブコメとしては完璧に近いクオリティだったが、全キャラに、もっと「ドキドキ急接近……!?」的な要素を入れちゃっても良かったんじゃないかと思う。

 雪山でスキーをしていたら吹雪で遭難して運良く山小屋を見つけて「今夜はここに泊まって、夜が明けて吹雪が止んでからじゃないと危ないな」という流れになって、雪でズブ濡れになった服を脱いで暖炉の火で乾かしながら「は、恥ずかしいからこっち見ないでよ」「す、すまん」とか言いながら焚き火の前で背中合わせの状態で無言が続き、いざ寝る段になって寝袋がひとつしかないことに気付き……

「じゃ、じゃあ俺は起きとくよ」
「何言ってんの、ダメだよ。……ホラ、この寝袋結構大きいから、2人入れるよ」
「えっ……」
「か、勘違いしないでよね。こんなとこで風邪でもひかれたら、私にまでうつる危険があるし……それに、体も冷え切ってるでしょ。こういう時は暖め合うのがセオリーよ」
「あ、暖め合う……」
「なっ、何を想像してんのよ。寝袋の中に2人入ってれば、体温がこもって暖かいでしょ。そ、そんだけよ」
「分かったよ。んじゃ、お邪魔して……」
「……もっと、くっつきなさいよ」
「え、いや、でも……」
「いくら小屋の中とはいえ、凍え死ぬかどうかの瀬戸際に何、照れてんのよ……だ、抱きしめなさいよ」
「だっ……!?」
「ホントに寒いのよ……イヤかもしれないけど、お願い」
「イ、イヤじゃないよ」
「えっ、それって……」

(トクン……)

 この後、唇と唇が触れ合う直前にバーンと扉が開いて「ここに居たか、心配したぜ! おや、お邪魔だったか? でも、この小屋、ロッジの真裏だぜ」「えー!?」とかいう流れで、みんなに冷やかされて恥ずかしい思いはするわ、体は冷え切って風邪ひくわで散々だったけど、遭難じゃなくて良かったとホッと胸を撫で下ろしたわけで……。そして、冷え切った体とは裏腹に2人の心もホットになったわけで……と春日恭介ばりのモノローグを入れてしまうベッタベタのラブコメシチュエーションとかさぁ! もう、シュタインズ・ゲートである必要性が何もないけど!

 ・ ・ ・

 タイトルの元になっている「比翼連理」は一見、数学的な単語に聞こえるが、男女の仲睦まじい様子を指す言葉。「比翼」は、雌雄それぞれ目と翼がひとつずつで、常に一体となって飛ぶという想像上の鳥で、「連理」は、連理の枝のことで、根元は別の木同士の幹や枝が途中でくっついたものを指す。

 本作にとって『シュタインズ・ゲート』本編はなくてならないものだし、本編をプレイ済みだからこそ味わえる部分がある。本編と本作は、そういう意味でも比翼連理の関係といえるだろうか。

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| コメント (4)

コメント

時間経過に関しては、
成長するにつれ、時間を過ごす事に慣れるから。
って理屈を何処かで見たような。


投稿者 Anonymous : 2011年9月13日 12:30

こないだM氏宅に遊びに行って、ふと一昨日気付いたんだが、遊び行った日から1週間経っててワラタ。
途中の6日間のうち4日くらい記憶が無いんだが…。
絶対プッチ神父いるわ…。


投稿者 友人K : 2011年9月15日 15:29

>成長するにつれ、時間を過ごす事に慣れるから

それもあるとは思うんですが、もっと別の何かも、ある気がしてならないのです……。

>絶対プッチ神父いるわ…。

夕飯時にテレビつけると、別に続きを楽しみにしてたわけじゃないけど
見たことのあるドラマだということに気付いて、
「え、ってことはあれから1週間経ったってこと? ないわー」って感じに。


投稿者 夢崎 : 2011年9月15日 23:42

「歳をとると時の流れが早い」のは、ジャネの法則ってシュタゲのTIPSに書いてた。


投稿者 Numatafu : 2011年9月22日 18:02

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