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2006年6月18日

『かまいたち3』に課せられた3つの条件

 今週のファミ通に、今度はチュンソフトの落合ディレクターへのインタビュー記事。我孫子氏同様、ユーザーの不満点をほぼ完璧に理解してるカンジで、『3』への期待は高まるんですが、『3』制作を決定する際にチュンソフト社長である中村氏から出された三つの条件というのがナカナカ厳しくてオモロイです。『3』という作品を知る上でスゴく重要なことだと思うので、公式サイトにコラムのページでも作って載せてほしいくらいですコレ。

1,『2』の舞台・登場人物、開発資産を使うこと

2,シナリオを我孫子氏に戻し、1作目のユーザーに喜ばれるような連続殺人のミステリーにすること

3,インターネット上で犯人がバレても楽しめるようにすること

 条件1は分かりやすいですね。素人目に見ても『2』はお金がかかりすぎてた。それも、割と余計な方向に。それらを回収するためにも、せめて『2』のために作ったプログラムやグラフィックエンジンなどを流用して開発費を抑える……ということでしょう、タブン。

『2』の評価のせいで、『3』を出すとしたらユーザーの食いつきが悪くなるだろうことは明白ですし、確実に売れるかどうかも分からないものにそんなに開発費は出せませんよ、と。現在発表されている『3』の画面写真から受ける印象が『2』と非常に似ているのも、この条件1のせいでしょうね。ただ「舞台も同じものを使うように」という条件が、我孫子氏がシナリオを考える際の足枷になっていなければいいのですが……。

 条件2は、ほぼ必須課題でした。というのも『2』の最大の失敗ともいえるのが「我孫子氏メインのシナリオではなかった」という点だから。文章というものは思った以上に執筆者のテイストが色濃く出るもので、人によって「合う、合わない」が結構激しいものです。表現が好きだったり、不思議と読みやすかったり、キャラクターの描写が上手かったりと書く人それぞれですが、初代『かまいたち』が売れた理由は、何より「我孫子テイスト」だったと思うのです。

 そして条件3ですが、「中村社長、またそんな無茶な」という社員の声が聞こえてくるかのようなお達し。宿命でもありますけど、「何らかの方法で事前に犯人が分かってしまうと全てが台無しになる」というのがミステリー最大の弱点です。もしこの点を克服できたなら、ミステリー史上に名を残す作品になると思います。

 記事を読む限りでは、カンタンにバラされない防御策として「犯人は○○」と明言しにくいカタチ、複数犯の可能性を示唆しています。複数主人公のシステムと相まって、複雑にはしているようですが、この程度では絶対ネット上でのバラシはあるだろうなぁ、と思います。発売日が近付いたら、そのテの掲示板は覗かない……いやむしろネットでサイトを見回るという行動自体を控える、という程度の自己防衛は必要になるでしょう。全くゲームとは関係のない掲示板のタイトル名でバラす、一体そんなことをして何が楽しいのか分からないような人も世の中にはいっぱいいますから。

『かまいたちの夜×3』(トリプル)の「3」という数字には、前2作の本編も同時収録したことと、公式サイトでも謳われている「三つの謎」「三つの疑惑」「三つの罠」と、様々な意味が込められているそうですが、中村社長が出した “3つ” の条件もまた、トリプルの一つなのでしょうか。チュンソフトというメーカーのファンとして、『かまいたちの夜』のファンとして、プレイ後のユーザーから “トリプル” アクセル級の評価を受ける作品になることを願います。なんつったりしてな。ガハハ。

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