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2012年4月30日

PS3/PS Vita『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』DLC「みゆきとサトミ編」レビュー

omori


 本編に登場するみゆきと沙都美の、看護学校時代の話。
『真かまいたちの夜』の各シナリオの執筆担当者は一部明らかにされていないが、
 このシナリオは我孫子氏によるものと明言されていたので、期待は高かった。しかし……。


 ■謎のシステム面

 まず、全編音声ドラマにする必要性が全く分からない。
 文章が表示されないため、常に耳に意識を持っていないと話が把握できなくなる。

 通常のサウンドノベルは、別にボイスを聞かなくてもいいし、ページが進む前にちょっと立ち止まって、
 内容を再確認してから自分のペースで次のページに行ける。
 適当にボタン押しすぎて次のページに行ってしまっても、ログの読み返しもできる。
 何か用事があれば、そこで止めといてしばらく放置もできる。

 しかし、みゆきとサトミ編では1章ずつがノンストップで読み返しができない。
 いや、正確にはできるのだが、選択肢表示中と、章の区切りだけ。
 選択肢か章の区切りまで進まないことには一時停止もかけられないのは心底参った。

 唯一、PSボタンを押すことでPS3の本体メニューは出せるが、音声は止まらず流れ続ける。
 しかもこの状態で選択肢の箇所まで進んでPSボタンを押してメニュー解除すると選択肢が表示されず、
 フリーズしたのと同様の状態になる。しばらく放置することで元には戻るが……。
 おそらく、PSボタンを押してからの時間をカウントしておらず、音声が流れていたのと同じ時間が経過すると進むのだろう。

 あえて音声ドラマにすることでプレイヤーからコントローラへの意識を離し、
「どこかで隠しコマンドでも入れたら何か起こるのか!?」と思ったが、何もなかった……。


 ■誰得ストーリー

 話のほうも、キャラの掘り下げをしたかったのかもしれないが、内容があまりにも生々しいというか、
 実写ドラマにありそうな雰囲気が目に見えるようで、
「『かまいたちの夜』シリーズのサブシナリオのひとつとして、こんな話をやる意義はあるのだろうか……」と思ってしまう。

 ゲーム中のみゆきと沙都美からは想像もできないほどシリアスな話で、
 どちらかというと「知りたくはなかった、あの人の素顔」みたいな印象。
 個々のキャラクターに関しても、あくまでゲームキャラとして受け止めていたみゆきと沙都美が
 嫌な意味でリアルに描写されているため、「こ、この掘り下げ方は違うのでは……」という違和感が拭えなかった。

 なんというか、みゆきと沙都美が親友となるまでのハートフルストーリーという印象を植え付けたいのかもしれないが、
 みゆき完全に利用されてないか、これ。あと、沙都美の窮地は何もかもが自業自得すぎる。
 出会った頃の沙都美が異様につっけんどんな態度なのも謎だ。


 終盤ではある事実が明らかになるが、その判明だけでこのシナリオを持たせようとしているのも残念だった。
 序盤から「夜間、沙都美は誰と話しているのか?」という謎が提起されるが、
 みゆきが「電話にしては、相手の言葉を待つときの無言時間がない」ということに早々に気付いてしまっているため、
 プレイヤーにも真相が想像しやすい。これは描写するべきじゃなかったんじゃないかな……。


 ■総評

 少なくとも、このシナリオを読み終えることで沙都美に良いイメージを持つ可能性があるのは女性だけだと思うし、
 女性でも全員が全員、そうは感じないだろう。
 看護学校時代に起こった別の殺人事件で、親しくもなかった2人がピンチをキッカケに親友となった……みたいな話のほうが、
 このゲーム的には良い作用を起こせたんじゃないかなと思う。
 ピンチの乗り越え方も、おとなしいけど頭脳明晰なみゆきと、派手で行動派の沙都美のいいとこが発揮できるような感じで。
 ……ベタだけどね。


 DLC商法については最後にまとめて書きたいが、これは正直タダでも見たくなかった話だった。
 制作時はすべてのシナリオを一気に作って、どれをDLCにするなどは明確に決めていなかったと思うが、
 DLC化することで、「金を出してこの話を買ったのだ」という意識がプレイヤー側に発生してしまい、
 このシナリオの負の印象が余計に増している。

 確か我孫子氏が自身のツイッターで「自分の書いたシナリオがDLC扱いになっているとは知らなかった」
 というようなことを書いていたので、どのシナリオをDLC化するかはチュンソフトが勝手に決めた可能性が高い。
 しかし、適当に決めたのではなく、話の内容を見て決めたのだとするなら、チュンソフトの判断は正しかったんじゃないかと思う。
 もしこのシナリオがソフトに入っていたら、『真かまいたちの夜』全体の評価にとってはマイナスにしかならなかった気がするから。


 ■関連記事

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[真かまいたちの夜 11人目の来訪者] | コメント (2)

コメント

早いもので新かまいたちの夜発売から1年以上たってしまいましたが、もうかまいたちの記事は書かれないのでしょうか…。
真かまの総まとめのレビューを読んでみたいのですが…。


投稿者 NOS : 2013年1月14日 19:33

申し訳ない限りです。なんやかんやしているうちに1年とか……。

当サイトのレビュー等は基本的に趣味に近いものなので、
仕事があるときは、そちらの作業を優先してしまいます。
やたら更新が滞っているときは「ああ、何か仕事に追われてんだな」と
優しい目で見つめてやってください。

かまいたち関連は、書かないというわけではないのですが、
やはり総合的には負の印象満載の内容になると思うので、
他のゲームも多くある中、優先順位は下になってしまいます。

ただ、昨年『真かま』が原因で初代『かまいたちの夜』をプレイし直したのですが、
そのときに作ったペンション・シュプールの見取り図がキッカケで
別の仕事に繋がったこともありましたので、
その恩返しの意味も込めて、仕上げたいですね。
……レビュー内容はきっと「どこが恩返しなんだよ」という内容になってしまいそうですが……。


投稿者 夢崎 : 2013年1月16日 02:56

コメントしてくれるのかい?


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