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2020年10月 6日

『ゲームギアミクロ』レビュー

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 レッドだけ買ったので、とりあえず簡易レビュー的なものを。

 ↑の写真だと大きさがよく分からんと思うけど、箱の大きさが、だいたいタバコの箱と同じくらい。画面写真を接写しようとしたけど、画面の小ささなのか液晶の発光具合なのか俺の部屋の薄暗さなのか、スマホのカメラ程度ではどうやってもぼやけてしまい、キレイな写真が撮れなかった……ので、ひたすら文章のみの記事に。

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 触ってみた感じ、当初の懸念通りというか「小さくするにしても、ここまで小さくする必要あった?」感は否めない。元のゲームギアから、やや小さめにする程度に留めて、価格は 10,000~15,000 円前後にして収録タイトルをもう少し増やしたほうが良かったのでは……と思う。ここまで小さくしたことによるメリットが1つも見つからない。

●まずは、画面の小ささ。実寸で、横 2.5 センチ、縦2センチといったところ。画面の小ささから、文字を読むのが最もキツいんじゃないかと思っていたが、文字はそうでもなく、意外にも「コラムス」の色識別のほうが困難。液晶自体はキレイで見やすい……と思うが、極端な画面の小ささによって、その良さもだいぶ相殺されてしまっている。

●次に操作感。ゲームギアの十字キーがどんな感覚だったかは正確に覚えていないし、実際それと同じとは思えないのだが、こんなにも十字キーを押している感覚がないとは思わなかった。これ、個体差で、俺のがたまたまヘボい作りになっているわけじゃないよな……? たとえるなら、十字キーのゴムが完全にヘタッたコントローラみたいな感触。前情報を見る限りでは画面の小ささがゲームプレイのネックになりそうだったが、実際はここが一番キツかった点。

●どこでもセーブ機能は搭載されていて、各タイトルごとに2か所まで。公式サイトでは今回発売された4つの本体に収録されたタイトルの説明書 PDF が配信されているので、ダウンロードしておきたい。

 あと、スタートボタンを1秒以上長押しでシステムメニューが出るのだが、ボタン系は全部イマイチなのか、強めに押さないと出ない。しかも2ボタンと距離が近いため、スタートボタンと同時に押してしまうミスが多発。同時押しになるとメニューは出ない。
 どこでもセーブ機能を使うにしろ、そのために一時ポーズをかけるにしろ、スタートボタンを押さないとどうしようもないので、押しづらいボタン位置が予想以上に足を引っ張っている。操作性だけを考えるなら、実機にはない L・R ボタンでも付けて、そこにスタートボタンの機能を割り当ててほしかった。

●動作は、単4電池2本か、USB 接続による給電(※本体への充電は不可能)。電池を入れていない本体だとメチャクチャ軽く、ゲームギアの、あの重量感はない。いや、軽いことは良いことなのだが、少々軽すぎるのか、USB ケーブルの太さ・硬さによっては、ゲーム中に USB ケーブルのしなりに本体が持っていかれる感覚すらある。操作性を重視するなら、電池が良いと思われる。ただ、電池の持ちは3時間ほどだそうで、小ささの割には意外と持たないんだなぁという印象。

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 総合的に見て、「一応ゲームもできる小型おもちゃ」の域は出ていない。元々不安な品だったが、十字キーの BAD な感覚が加わって、これはちょっと厳しい。ゲームの内容以前に、プレイする気力が奪われる。せっかく経験値倍増のイージータイプも入れてくれた『女神転生外伝ラストバイブル スペシャル』だったが……。

 メガドライブミニはおそらくあと 10 年経っても遊ばれていると思うが、これはコレクターが箱にしまって保存しておくか、飾っておくタイプのアイテムになりそう。制作を担当したエムツーの駒林氏はこの本体で『The GG 忍』をクリアしたらしいが、マジでスゲェと思う。この操作感とキーレスポンスでの高難度アクションは苦行でしかないよ。どこでもセーブ機能を駆使して「ちょっと進んだら、すぐにセーブ!」というプレイスタイルをやろうとしても、スタートボタンの位置がアレなので、それすらキツいんだもの。今からでも、USB 経由で外部出力を可能にしたりコントローラを接続できたりするユニットとかを発売してくれんものだろうか。構造的にムリなのかなぁ。

 外部出力に対応しない件については 4Gamer のインタビュー記事でも触れられていて、「現在のディスプレイに映すと,ドットが大きくなりすぎるから」とのことだが、ドットに関しては昔の携帯ゲームはどれもそうだろうし、それによってゲームに何か支障が出るわけでもないし……。やはり納得はしかねる。何か別の理由があって、それを隠すためにムリヤリ「やらない理由」をひねり出しているように見える。外部出力の需要は結構あるだろうし。

 上記の記事には「ゲームギアもTVに出力できる機器は出したことはないから」「PS2の「SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーンコンプリート・コレクション」を除くと,これまでゲームギアのソフトが(隠しゲームを除いて)テレビで遊ぶようにしていないのも同じ理由から」ともあり、このあたりは、ゲームボーイタイトルのバーチャルコンソールは Wii U では配信せず、頑なに 3DS でしかプレイできないようにしていた任天堂と似ている。何か事情があるのか、ただのポリシーなのか……。遊ぶ側としては、元は携帯機のゲームであろうと、ドットが大きく見えようと、ゆったりと大きい画面でプレイしたいんだけど……。

 記事内には「この筐体にHDMI端子を搭載するとなると,マイクロHDMIになってしまい,新しくケーブルを買い直さないといけなくなるでしょうね。」「筐体が小さいので,スペースが無いのですよ。」ともあるが、ケーブルくらい買うから! ていうかネオジオミニが micro HDMI で、そのときに買ってるから! 外部出力ユニットを別売りで出してくれるなら、それが本体以上に高くても買うから!

 筐体が小さい=中の基板が小さいから色々とムリなのであれば、サイズを大きくして、価格も上げていいから! なんか、大前提として「何を言われようと、この小ささは最初から動かせない事情がある」みたいな闇を感じる。たとえば、ガワだけ発注済みでもう動かせなくて、ミニオブジェとして出そうとしてたときに「ゲームできるようにしましょうよ!」「え、今からですか!? えーと、これに入るような基板は……」みたいな。そうでもないと、ここまでこのサイズに固執する理由が分からん。

 インタビュー記事を読んでみると、とにかく時間がなかったことと、小さい本体=小さい基板に苦戦したという内容に終始している印象なので、スケジュールありき、このサイズの仕様ありきで、やれる範囲でやれることをやった結果なのかなぁと思う。操作性を犠牲にしてまで本体を小さくしている以上、「ゲームの操作感」よりも「一応ゲームも遊べる、小型のゲームギアオブジェであること」の比重が大きいように見えるが、そういう品を作る意味がよく分からなかった。

 今となっては貴重なゲームギアタイトルを遊ぶ手段の誕生だったので、個人的にはとても惜しく感じるところだが、少し経ってから「ネオジオポケットカラーコレクション」みたいな感じで、「ゲームギアコレクション」として Nintendo Switch あたりでダウンロード配信しそうな気がしなくもない。というか、むしろそうしてほしい。
 ……いや、『スーパーリアル麻雀』の例を考えると、最初からそこまでが予定なのかも……。最初から分かりきっていたことを「反響にお応えして」ということにして2回買わせるスタイル。……ううん、ダメよ。こんな醜い考えに染まっちゃ……。そんなはず……そんなはずないもの……。

 しかしこうなると、気になるのが『アレスタコレクション』。「あっ、これならゲームギアミクロ同梱版は別にいいや……」という人が予約をキャンセルするかもしれん。いや、それならそれで、欲しい人に行き渡る可能性が増えるからいいのか。シューティングこそ、十字キーでの精密な自機移動が命だろうから、キツいと思うけどなぁ……。どうなんだろう。

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