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2017年1月18日

『レトロビットジェネレーション』レビュー

retrobitgene

 80 本のゲームが内蔵されているゲーム機『レトロビット ジェネレーション』。過去にもメガドラタイトルを何本か内蔵したものや、誰が作ったのか謎なゲームが多数内蔵された胡散臭いものもあったが、この製品はデータイースト、アイレム、ジャレコの公式ライセンスを受けているのが特徴……だろうか。ただ、80 本と銘打ってはいるが、公式サイトのリストをザッと見た感じでは、30 本くらいは有象無象の謎ゲーム。

 ファミコンミニの露骨な便乗商品……だけど、元々あった海外の製品をローカライズしただけっぽいから、ファミコンミニ発表前から存在してたのかも……と思ったら、海外版の発売日は 11 月 10 日だったらしい。まさかの同時発売とは。便乗根性がハンパない。

 この日本版は 12 月 28 日発売予定だったが、1月1日にずれ込んだとか。正直、すっかり忘れていたので、数日前に「そういやもう出てたんだった……どれどれ」と調べ始めたのだが、買った人のレビュー的なものが全然引っかからない なんとか引っかかったサイトによると、リアルタイムセーブが可能という情報が。こんな大事なこと、公式サイトに載せるべきだろう。これの有無で買うか買わないか決まるレベル。しかし、同時に「内部のエミュが非力」という情報も。各ゲームの再現度は結構ひどいものらしい。う、うーむ。

 しかしさらに、一体どういう知識なのか、SD カード内に自前の ROM ファイルを入れて起動する方法まで紹介されており、Amazon だと現在売り切れ&業者出品になってしまっているところ、近所のショップに普通に売っていたこともあり、買ってみることに。ダメだったら処分しよう……うん。

 箱を開けてみると、コントローラが2つ付属してるのは珍しいな……と思ったのも束の間、このコントローラ、L・R ボタンがない。オイオイ、スーファミソフトも収録されてるのに。6ボタンだから L・R を割り当てることはできるけど、操作感覚がだいぶ変わるだろう。試しにレトロフリークのコントローラを繋いでみたが、無反応。USB コントローラなら何でもいいというわけでもないらしい。

 赤白黄のコンポジットケーブルは同梱されているが、HDMI ケーブルや SD カードは付属していない。時代を考えると、むしろコンポジットケーブルのほうが要らない気もするが……。セーブは、通常のセーブ・リアルタイムセーブ共に本体にできるので、SD カードは必須ではない。セーブデータのバックアップや、前述の自前 ROM 起動をしたい人は用意するべし。

 というわけで収録タイトルの『バニシングレーサー』を起動してみると……

 ブフォッ……サムネイルだと分からんと思うけど、クリックして拡大したら、その破壊力が分かると思う。ゲーム始めたら、モニタいっぱいにこの画面が広がるんだぜ……。

 こんな感じで、初期状態だと「全画面表示」になっているが、これは「原寸」に設定し直したほうがいい。といっても、起動するたびに「全画面表示」に戻るのだが……。分かりにくいが、「再生設置」という項目が設定画面のようなもので、その中の「表示モデル」が、画面表示オプション。「スケール」「全画面」「原寸」の3種類しかなく、特にゲームボーイは、この黄色がかった画面でしか遊べない。


「原寸」


「スケール」

「スケール」は、いわゆる正方形に近い元の映像で、「原寸」が 4:3 表示。ゲームボーイは「スケール」、その他のハードのタイトルは「原寸」が、最も元のハードの映像に近いのでは……と思う。ただ、どちらにしても全タイトルぼやけており、『バニシングレーサー』はオープニングデモにバグが見られた。

 この天使みたいなキャラとスクラップ場はデモに出てくる映像データなのだが、本来出てくる場面ではないところで、サブリミナル気味にこれが表示される。エミュレーションの精度云々以前の問題だな……。

 んで、久々にクラリスの笑顔でも拝むか……と『シティコネクション』を起動してみたら……

 誰? ク、クラリスは?

 そしてステージクリアー後の画面では……

 マジで誰? 何だよ、この「クラリスなら俺の横で寝てるよ」みたいな……。クラリスを出せYO!

 調べたところ、ゲームカタログ@Wikiによると「NES 版では、クラリスが男性に差し替えられている。」との情報が。は、初めて知ったぜ……。ていうか収録されてる『シティコネクション』が海外版って、販売元も把握してないんじゃねぇの……。

『シティコネクション』はクラリスがイイ男を探し求めて世界を爆走するというストーリーだが、この海外版は、どういうストーリーになってるんだ。ゲーム画面は日本版と同じだから、大の男が軽自動車で大暴れした後にカッコつけてタバコふかしてることになるが、お前それでいいのか?

 俺は『シティコネクション』のパッケージイラストがスゴい好きなんだけど、あのコミカルでポップな感じは、運転手が女の子だからこそだと思うんだ。こんな、いかにも「ジョニー」って感じの男が、車からオイル缶を投げつけてパトカーに追突なんてしてたら、全然コミカルじゃないし、もはや単なる事件だぜ。

 あと、『シティコネクション』の情報を調べていたら、『Forza 2』でクラリス LOVE な車を作っている人が……。いい……いいねぇ。素晴らしい。

 ・ ・ ・

 んで、ほかのタイトルもイロイロとやってはみたのだけど……結論としては、どうにもオススメはできない、微妙なブツ。やはり、内部エミュのひどさは致命的。遅延がどうとかのレベルではなくて、本来のゲームの動きを再現できるだけの性能を持っていない感じ。微妙に重い。ファミコンとゲームボーイまでは、まあまあ普通に遊べる。

 録画した動画をアップしようとも思ったのだが、ウチの環境だと録画時のみ発生するカクつきや音の異変があり、実際の挙動とは異なる情報を流してしまう危険性を考え、断念。実はこの「録画時のみおかしくなる」というのは RetroN 5 でも発生したことがある。音楽が通常より速かったり、半音上がっていたり……。原因はよく分からぬ。

 80 本というラインナップも、大半がどこの馬の骨が作ったのか分からない謎ゲーなので、数の暴力。なかなか豪快にパクッたゲームもあるので、クオリティには期待してはいけない。


収録されている『Night Defender』というゲーム。全然隠す気のない『ドンキーコング』パクリ。地味に2面がオリジナリティー出してきてムカツク。

 ただ、『ファンタズム』や『バニシングレーサー』といったプレミアソフトが収録されているので、「それらを合法的に遊べるなら、多少の粗には目をつむる!」という人にはギリギリオススメ。『ファンタズム』は 3DS のバーチャルコンソールで遊んだほうがいいと思うけども。収録タイトルを見て、あとは個人の環境と好みだろうか。

 しかし、データイースト、アイレム、ジャレコの版権を持っいてるところは、コンテンツを提供するにあたって、最低限の確認はしたほうがいい。これは明らかにハードのほうがイマイチなんだけど、微妙な挙動の重さなどで巻き添え食って「昔のゲームはやっぱり微妙だね」みたいに言われかねない。『バニシングレーサー』のオープニングデモみたいに、本来とは異なる挙動をしているものもあるわけだし……。

 とりあえず、イケメン版『シティコネクション』を合法的に遊ぶには良いハードなのかもしれない。

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