2011年4月 5日
PS3 / Xbox360『Alone In The Dark』レビュー2008 年作品。過去にも同名のゲームがあり、主人公の名前も同じなのでシリーズ最新作ではあると思うが、話が直接繋がっているわけではない。 評価は芳しくなかったし、期待もしていなかったのだが、いざやってみるとここまでとは思わなかった。凄まじいストレス製造機。俺がこのメーカーの社長だったら、開発に携わった人間を横一列に並べて順番にチャランボしていくレベル。 悪意を込めてプレイヤーの邪魔をしようとしているとしか思えない操作性と、バグに遭遇しないチャプターがないという雑な作りには、「コイツにだけはゲームを作らせてはいけない」という致命的な才能を感じさせる。このゲームにストレスを一切感じず、ラストまでサクサク進めたという人はブッダだと思う。
随分と引っ張りまわしてくれた割にはストーリーもいい感じに意味不明で、独りよがりと言わざるを得ないデキ。最後の最後でエンディングが分岐する選択もあるが、どっちを選んでも別々にバッドエンドという、救いもカタルシスもない結末。このゲームを通じて何を伝えたかったのか、どこを楽しんでほしかったのかが全く分からず、開発者が「どうだい、時間の無駄だっただろう?」と意地悪そうに微笑む姿しか想像できない。
・いくらタイトルがアローン・イン・ザ・ダークと言ってもダークすぎ このゲームにとって “暗闇” が大事な要素だというのは分かるが、大して暗闇が重要でないシーンでも暗いため、単純に画面が見づらいことが多い。暗闇を照らす懐中電灯もバッテリー消費式という抜かりのなさで、懐中電灯の電池が切れた時に感じるのは恐怖ではなく、ストレス。
オプション設定の「マスターボリューム」は最大、実績解除音にビクッとするくらいスピーカーのボリュームを上げた状態でも会話が聞き取れるかどうかという、制作ミスとしか思えない音量調整。字幕もないので、ヘッドホンなしで会話を追うのは至難の業。さらに、海外ゲームのローカライズ作品なので、明らかに英語を訳しました的な不自然な表現も多く、ただでさえよく分からないストーリーに拍車をかけている。
車に乗っている状態で、遠くに敵が見えたとする。この状態から全速力で前進しようがバックしようが、敵が一定距離内に居る場合、確実に車に飛び乗ってくる。分かりやすく言うと、走ってる車に向かってジャンプした敵がホーミングしてくる。 乗られると、車の上から主人公にダメージを与え続けてくるので振り落とさねばならないが、蛇行した程度では振り落とせず、車をほぼクラッシュさせる必要がある。クラッシュすると、もちろん主人公にもダメージ。つまり、車に乗っている時に敵が一定距離に入った時点でダメージ確定。ウンザリ。
敵は全員、接触寸前にエグザイルみたいな動きで紙一重回避するスーパースキルの持ち主。 →じゃあ、車に乗らなければいいじゃない! ダッシュで敵の近くを通ると、主人公の 1.2 倍くらいの速度で併走してきた挙句、おもむろに真横からパンチをくらう。このとき、ご丁寧に視点も回転するため、方向感覚を見失いやすいオマケつき。あと、車でも移動が面倒に感じるくらいなので、走るなんてとんでもない。FF3 のノーチラスが欲しい。 ・暗闇と回転カメラアングルが織りなす発狂アミューズメント 上記のように敵に殴られた時に多いが、殴られた反動で壁や地面に叩きつけられると視点が振り回され、さっきまで把握していた感覚を失うことが多い。それが暗い場所だと尚更で、とりあえず起き上がって周囲を見回せば……と思っていると、側に立っていたらしい敵がもう一発殴ってくる。また分からなくなる。そうしてる内に敵が増えてくる。つまりリンチの始まりだが、こうなった場合のベストな対処法はゲームオーバーを待ってリトライすること。
・ロープをつかもうとしてるのに、落下中のモーションのまま動けなくなった。
ニューヨークのセントラルパークに封印された秘密を暴く……というゲームなのだが、後半に入ってから思い出したようにセントラルパークを車で走り回らされる。やたら広いので面倒だし、ゲーム的に全く必要がないと言ってもいいくらいの無駄。ストレスに耐えて6章までプレイしてきて、やっと終わりが近づいてきたと思ったら、突然、時間稼ぎが始まったようなもの。キツい。精神的に。 全体のプレイ時間を配分すると、1~6章が 40 %、7~8章が 60 %。
逆に、リトライが速くなかったら、間違いなく序盤でクリアを諦めてディスク真っ二つにしてたと思う。
たとえば、水たまりの真上から電流が流れているケーブルが垂れ下がっていて、そのまま進むと感電してしまう場所で、転がってるパイプを拾って前方に突き出してケーブルを引っ掛け、じりじりと横に移動しながら手すりにケーブルを引っ掛けることで水たまりからケーブルを取り除く、というアクションなど。昨今の親切すぎるゲームに慣れていると新鮮に感じる解法が多い……のだが、悪く言えば、かなり分かりづらいものもある。 難しいものや分かりづらいものに直面した場合、「ゲームで遊ぶ」ということ自体が新鮮で楽しかった昔は「なんとしても解いて先に進んでやろう」という人たちばかりだったが、今はもうカンタンに諦められてしまうと思っていい。それを防ぐには魅力的なストーリーで最後までグイグイ惹きつけるしかないと思うが、残念ながら、このゲームはそうではない。 『Alone In The Dark』といえば、2D 全盛の時代に 3D に挑むという革新性や理不尽なトラップによる即死が有名だが、そういったシリーズの特徴を、清濁関係なく見事に継承してしまっている。死んで覚えるタイプの初見即死ポイントは多いし、アイテムの所持可能数が少なく、持てないものは投げ捨てていくしかない部分も一緒。革新的なことに挑んでいる部分も多いが、結果として残念なデキになっている部分まで一緒。もしかしてファンサービスの一環で狙ってこんな風に作ったんじゃ……という気すらしてくるが、そんなものに金をかけられるほど今のゲーム業界は余裕がないはずなので、マジで作ってこれなんだろう。 個人的には実績 1,000 を取るためだけに頑張ったようなゲームだった。日本版と海外版では実績が別扱いになっていることと、実績が 1,000 取りやすいゲームらしいということで、プレイ前に日本・海外版の両方を確保しておいたのだが、デキがアレだったため、事前に確保したことが裏目に。仕方ないので2回クリアーしたけど。 このゲームの暗闇は恐怖ではなくストレスだと書いたが、暗闇=ストレスと称するならば、このゲームは、まさに Alone In The Dark だ。
後半で、木を燃やしまくる内のひとつ。車の外側にテープで火炎瓶をくっつけて着火→爆発する前に急いでジャンプ台に向かって加速→飛ぶ直前に車から飛び出して、離れた位置にある木に車だけをぶつける……という、かなりメンドイ手順が必要となる箇所があるが、ジャンプ台と反対方向の崖ギリギリのところから火炎瓶を投げ、最も木に接近したと思われる地点で銃撃して爆破すると、爆破の炎がギリギリ木に届いて燃やすことができる。これだと、かなりラク。
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