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2016年2月 3日

2015年総決算 後編

 それでは後編……の前に、前編でも少しお伝えした Steam 版『海腹川背』シリーズ3作が配信停止になっている模様。元旦の時点ではまだ買えたのを確認しているのだが、3日頃には買えなくなっていた。年始めから仕事早いッスねと思ったけど Steam は外国だから元旦もクソもないのか……。

「オイオイ、今頃おま国化するのかよ」と思ったら昨年12月にアガツマ・エンタテインメントが解散したことによるものらしい。ということは再配信の可能性は絶望的なわけで、なんで配信停止する前にひとこと、どっかで「○日に停止するよ!」って宣伝してくれないのか……。Xbox360 のときにも思ったことだけど、配信停止になると知って駆け込み購入する人は結構いるはず。「そんな大した額じゃないだろ」と言われたらそれまでだけど。

 Steam 版『海腹川背』シリーズ3作は昨年 10 月~11 月にかけて配信開始したものだから、なんと実質2か月未満の命だったということに。Steam って、ウィッシュリストに登録しておいてセール時に買うっていうスタイルの人が多いから、こんな短期間に結果出るモンじゃないだろう……とも思うけど、会社自体がなくなるなら、消滅はどうしようもないことなのか……。

 中でも残念だったのは、Steam 版『海腹川背・旬』の停止。『さよなら』は PS Vita 版があるし、中に初代も収録されてたり、Steam 実績の代わりにトロフィーもあるし、問題ない。でも「実績要素のある『海腹川背・旬』」って、Steam 版だけだったんだよなァ。これを書いている今はまだゲームアーカイブス版『海腹川背・旬』やVita版『さよなら』は PS store で買えるけど、これらは最悪、パッケージ版を探せばいい。ゲームアーカイブス版『海腹川背・旬』はアガツマじゃなくてデベロッパーの「スタジオ最前線」になってるから、すぐに消えるってことはなさそうだけど……。

■7月9日
大逆転裁判(3DS)

■7月 30 日
振リ返リマセン勝ツマデハ(PS4 / PS Vita)

■8月4日
デビルズサード(Wii U)
ぎゃるがんだぶるぴーす(PS4 / PS Vita)

■8月6日
レアリプレイ(Xbox One)

■8月 27 日
ドラゴンクエスト8(3DS)
UNTIL DAWN 惨劇の山荘(PS4)

■9月 10 日
スーパーマリオメーカー(Wii U)

■10 月1日
よるのないくに(PS4)

■10 月 29日
雷子(PS Vita)

■11 月 12 日
プロジェクトクロスゾーン2(3DS)

■11 月 19 日
エアシップQ(PS Vita)
オメガラビリンス(PS Vita)
シャンティ -海賊の呪い-(3DS)

■12 月3日
Bloodborne The Old Hunters Edition(PS4)

■12 月?日
FF7(PS4)

■12 月 10 日
GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動(PS4)

■12 月 23 日
セガアーカイブス2、ダブルパック(3DS)

 そして 2015 年後半。この中から購入したのは 10 本。つまり 2015 年は合計で 24 本のゲームを購入したことになるのだが、しゃぶり尽くせたのがやっぱり0本というのは由々しき事態。これらのゲームをしゃぶり尽くしている間に 2016 年が終わりそうだけど、2016 年中にもゲームは出るわけで、積みゲーというものがいつまで経っても消化されない理由が分かってもらえるかと思う……。


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スプラトゥーン(Wii U)

 前半戦で書き忘れてたけど、5月発売だったのねコレ……。発売直後に買ったんだけど、8月か9月くらいだと思っていた。もう時間の感覚がおかしい。

 正直、発売前までノーマークだったゲーム。TPS というジャンルの可能性に気付いた任天堂が、“銃での撃ち合い” という、任天堂カラー的に NG な要素をなんとかしてオブラートに包もうとした結果、「ペイントボール(※海外でよく行われている、サバイバルゲームの弾をペイント弾に変えたもの)」を選んだのかな、くらいにしか思っていなかった。

 しかし、いざやってみるとこれが見事に新感覚ゲームとして完成されている。たしかに TPS ではあるのだが、「銃(ペイントガンだけど)で相手チームを倒す」という部分は、そこまで大きくウェイトを占めていない。もちろん、TPS が上手ければ多少は有利になるとは思うが、「勝敗を分けるのは塗った陣地の広さ」であることが大きい。武器は銃だけではなく、地面を塗ることに特化したローラーなどもあり、逆に、敵を倒すことに特化したスナイパーライフルのようなものもある。ローラーは至近距離で殴ることしかできないし、スナイパーライフルで地面を塗ろうとしたら非効率極まりない。よくできている。

 従来の TPS において初心者と上級者を分けるのは、エイム(照準合わせ)の精密さと素早さ。より早く相手の急所を撃ったほうが勝ちなのだから、これがある程度上手くならないと、そもそも勝負にならない。「チームを組んで、物陰に隠れながら敵チームを射撃で倒していく」ことをやってみたい、という人がいたとしても、この壁を越えないことには、一緒になったチームの足を引っ張るだけ。上級者からすれば、戦力がひとり足りない状態で戦うハンデ戦を強いられているようなもので、初心者からすれば、敵を倒せない、何も気持ち良くない、さらにチームの足を引っ張っている、と、良いことなしだ。いくら野球が大好きな人でも、周りがプロ野球選手ばっかりの草野球に参加したら、壁が高すぎて、がんばる気も失せるだろう。

 しかし、ゲームの主目的を床塗り面積にしたことで、「自信のない初心者はとりあえず床塗りに専念する」という抜け道ができた。たとえ、ひとりも敵を倒さなくてもいいし、クリア後の戦績画面では、床塗りに専念していたほうがスコアが高いことだってある。キルデス(敵を倒した数と自分が死んだ回数)が記録として残らない、他人と比較できないという点も、このテのジャンルの初心者にはありがたいだろう。これだけで、だいぶ気がラクなはずだ。

 次に、自陣の色に塗った床は、その地中を高速で進むことができるという点。『キン肉マン』で、悪魔超人・ブラックホールが影の中を移動できるのを知っている人ならピンと来るかもしれない。

 通常、頭上には自分の名前が表示され、敵にもそれが見えているのだが、地中に潜ると、これも見えなくなる。つまり、パッと見で位置が分からなくなるのだ。もちろん、居る位置を撃たれたらやられるし、地中移動中は地面を見ればなんとなく分かるので、アタリをつけて撃ちまくることで、倒すことも可能だ。また、敵の色で塗られた床は、こちらにとって毒の沼地のようなもので、敵色の地面に居る間は恐ろしいほどの移動速度低下と、スリップダメージが体を蝕む。

 これにより、上級者と初心者が出くわしても、上級者が余裕勝ちとはいかなくなっている。床塗りによって逃走経路が完成されているほうが有利であり、たとえ上級者でも周囲を敵の色に塗り潰されていたら逃げ場がなく、初心者に余裕で狩られるわけだ。

 地中移動時は高速、というのもミソだ。数発撃たれた程度ではやられないので、敵に出くわしても、すぐ潜って逃げれば、上級者でも追いつけない。潜れるのは自陣の色に塗った場所だけなので、上級者が追いつこうとしても、カンタンに撒ける。

 これらの要素によって、床塗りは勝利目的以外にも戦略的に重要な位置を占める。TPS に自信のある人は積極的に敵チームを倒しに行けば、敵の床塗り速度を落とすことができるし、自信のない人でも、エイムとはまったく無関係の部分でチームに貢献できる。TPS ではあるが、TPS 上級者と初心者が同レベルの高さに立てる。これが『スプラトゥーン』の偉大な点だろう。

 FPS・TPS のプレイヤー層の偏り方は、格闘ゲームに似ている。突き詰めると、“ゲームを楽しむ” というよりは “プレイヤーの技術力競争” になっている点が、特にそうだ。実力が近い者同士でやらないと、「楽しむ」ことすらできない。『スプラトゥーン』は、TPS というジャンルの持つゲーム性をじっくり時間をかけて分析し、一旦ドロドロに溶かして再構成した、新生 TPS だ。いや、根底にあるのは TPS なのだが、対戦型パーティーアクションゲームに近い。常に万人が楽しめるモノを目指す任天堂の理念を体現したかのような作品だ。

 大抵のゲームは、遊んでいて改善点がチラホラ見えてくるものだが、『スプラトゥーン』には少なくともゲームシステムの面では改善点がこれといって見当たらない。完成されすぎている。強いて言えばゲームシステム外にあたる、やり込み要素や、ひとりプレイ用の要素が薄めということくらいか。基本的にオンライン対戦が主体なので、いつかは過疎りそうだし、そうなったときに、ひとりプレイでは今と同様の楽しさは味わえないだろう、という。
 
 しかしローラーで床を塗っていて、なんか既視感があるなと思っていたのだが、『ペインターモモピー』の逆バージョンだということに気付いた。『ペインターモモピー』は正確には『パックマン』の亜流なので、ゲームシステム面では全然違うのだが、ローラーで床を塗るという点で。

『ペインターモモピー』はいつの間にかプレミアソフトと化してしまったが、魔女がホウキじゃなくてローラー持って床を掃除するというワケの分からない設定は 90 年代の良さを感じる。ちなみにキャラデザは佐藤元。モモピーは、とてもカワイイ。ちなみに↓こんな販促用のパンフレットがあったらしい。スゲー欲しいぜ……。

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『スプラトゥーン』人気は持続し続けているので、そのうち、有名な TPS のキャラクターとコラボしたり、スマブラ的なお祭りゲームとして新作が出てきてもおもしろそう。任天堂ファミリーだけでも、銃を撃つキャラってかなりいるしなァ。


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大逆転裁判(3DS)

 前作『5』は、なんとかクリアはしたものの、おもしろさに引っ張られたというよりは「ちゃんとクリアしておかなくては……」という、半ば義務感で最後まで終わらせた感が強かった。クリア後の満足感もイマイチだったため、この『大逆転』も急いで買う必要もないのではと思いつつ、「いや、今回はおもしろいかも……」という悪魔のささやきによって購入。そして第2話で早々に頓挫。

 あらゆる説明がまわりクドすぎて、ボタン(or タッチペン)連打する手が疲れてくるとでも言えばいいのだろうか。裁判中の話の進まなさや、演出の冗長さが鼻につく。大したことでもないのに、2行まるまる使って「ああああああああっ!」(効果音:ズガシャアアアッッ!)とかやられる回数が多すぎて、見ていて疲れてくる。巧舟イズムをちょっと勘違いして継承している感が強い。演出のメリハリと、もうちょいテンポ良くお願いしたい。

 巧舟のスゴさは、証人喚問で証言台にオウム(鳥)が出てきたり、誘拐犯との会話が可能なトランシーバー相手に尋問したり、推理もの・殺人事件ものでは致命的になるはずの霊媒が出てきたりと、「たしかに逆転裁判って何でもアリ的な勢いはあるけど、さすがにそれはどうなの」という要素を神がかり的な手腕で上手く料理して、最終的には得体の知れない満足感を得られるところだろう。弁護士視点で進めるゲームではあるけど、裁判中に新事実が発覚しすぎるから、プレイヤーの立ち位置は限りなく傍聴人に近い。

 そして、第1話の引き込み方が上手いこと。長すぎず短すぎず、シンプルな事件でありながら程よく不可解で、"ムジュン" に気付いたときの「分かった!」感。今でも『1』の第1話はホントにクオリティ高いと思う。

 ……と、シリーズもので最初のほうの作品ばかり持ち上げて「最近のは……」と言っていると、懐古厨だと思われてしまうのだろうか。

 ちなみに、書こうと思ってそのままになってしまったが、『5』は第3話がおもしろかった。逆転裁判シリーズの第3話は必ず、トノサマンやら何やらイロモノが出てくるジンクスがあり、中だるみを感じるものが多かったのだが、『5』の第3話は逆転シリーズ初期の頃にあった「えー!?」という衝撃の事実が多く、真犯人の開き直りっぷりも相まって、久々に『逆転裁判』やってるなぁという充実感があった。


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デビルズサード(Wii U)

 3面で停止中。従来の TPS にありがちな「この状況で、なんで銃を撃つことしかできないんだ」ということに対して、しっかり取り組んだ TPS。格闘も可能なので、できることの幅が劇的に増えた……けど、その分、操作の複雑化が加速。チュートリアルで出てきた操作をすべて確実にマスターしておかないと、3面のボスで詰む。ストーリーやキャラクターを見るに、現時点ではどうも『メタルギア ソリッド』のようなものを感じざるを得ないのだが、とにかくまだクリアーしていないので、なんとも言えん……。

 あと、紆余曲折あって Wii U 専用になってしまったことや、『スプラトゥーン』の3か月後という発売時期は不運だった。Wii U でオンライン対戦をやりたい層というのは『スプラトゥーン』で満足しきっている最中で、「これもどうぞ」と提示されて、それなりに高いお金を払って両方手を出す層に期待するか、Wii U というハードごと購入するというレアな層に期待するしかないという。しかも『スプラトゥーン』は今なお多くの人にプレイされ続けている、オン対戦主体のゲームの中でも別格のロングラン作品。よりによって、何年に1度出るかという良作にぶつかってしまった。

 内容的にはモロに PS4 / Xbox One 層、あるいは Steam 的なゲームで、ターゲットは “大人” なはず。そこを Wii U 専用で出さざるを得なくなった背景というのが、ゲーム内容云々以前にとにかく不運と感じる。オンラインもちょっとだけやってみたが、『スプラトゥーン』とは違って完全にガチな殺し合いなので、既存の FPS / TPS に物足りなさを感じている熟練者向けの印象を受けた。オン対戦だけを抜き出した『デビルズサード オンライン』というのを PC 向けに展開するらしいので、そっちが本命なのだろう。

 しかし、これの開発に8年かかったと言われると、さすがに首を傾げる。小学1年生が中2になるんだぜ? 昔のドラクエは開発に4~5年かかるのは当たり前だったが、開発に5年以上かかるようなゲームはもう今の時代、厳しい気がする。その間に、別のゲームが別の楽しさを提示して、完成した頃には時代遅れになっていることも多い。この『デビルズサード』も、何かとお騒がせな板垣氏の独立1発目という絶好の宣伝材料があったにもかかわらず、8年という歳月の前には、その存在すら忘れ去られかけていたのが実際のところだろう。

 クリアーまで全部やって、オンラインモードもそこそこやったうえでレビューを書きたかったけど、時間ねぇ……。


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レアリプレイ(Xbox One)

 日本のマイクロソフトのやる気なさ全開のゲーム。もうちょい日本語化する努力を見せてくれんものだろうか。メニュー画面すら英語。需要もニッチなので、出ただけ奇跡的なことかもしれないが……。

 内容は、RARE 社のゲームが 30 作品入って 3,000 円を切るという、超お得なソフト。発売前は「総ゲーマースコア 10,000 超え」を謳っていたが、その内、以下のソフトは Xbox360 互換機能で Xbox360 でリリースされた既存の作品を遊ぶのと一緒。実績は Xbox360 のもの。『レアリプレイ』自体は、ゲーマースコア 4,000 のソフトとなる。

『Perfect Dark Zero(日本語なし)』
『Perfect Dark(Live arcade版。日本語化)』
『Banjo-Kazooie』
『Banjo-Kazooie: NUTS & BOLTS(バンジョーとカズーイの大冒険ガレージ大作戦)』
『Banjo-Tooie』
『Jetpac Refuelled』
『Kameo(日本語化)』
『Viva Pinata(あつまれ! ピニャータ)』
『Viva Pinata: TIP(あつまれ! ピニャータ2)』

 あと、パッケージ裏の説明では『パーフェクトダーク ゼロ』は日本語版であるかのように書いてあるが、発売直前で何か問題があったらしく、英語版での収録になっているので注意。

 しかし英語とはいえ『ブラストドーザー(『Blast Corps』)』や『スターツインズ(『Jet Force Gemini』)』といったニンテンドウ64 の名作が遊べる点も大きい。しかしその分、余計に「日本語化してくれれば……」という気持ちが募る。もしこれらも日本語化されて収録されていたら、とてつもない価値だったのだが……。このへんは任天堂も権利に関わってるだろうから、どうにもならんとは思うけども。

 Xbox 実績スキーとしては、どのゲームも初めてプレイするときに実績がひとつ解除されるので、とりあえず全ゲームを1回ずつ開始するだけで実績ウマー。メニューが全部英語なので分かりづらいが、各ゲームから大元のメニューに戻るには、メニューボタン?(“三” みたいなマークのボタン)長押し。Xbox360 の互換機能を使うゲームに関しては、『レアリプレイ』としてのゲームが一旦終了してそっちが起動するという仕様。

 ディスクを入れると、いきなり「6.2 GB のアップデートが必要」とか出てブッタマゲーションだったのだが、どうもこれ、大半のソフトはディスクからのインストールではなく、ダウンロードしているとかいう話も。これがもし本当なら、ディスク版の意味は何なんだ……。

 これを買うような人は永久保存版的な意味合いで買うと思うので、↑のようなこともあり、ディスク入れ替えも煩わしい分、ダウンロード版をオススメかなあ。


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ドラゴンクエスト8(3DS)

 各要素の見落としがないかチェックしながら進めていたのだが、いろいろ忙しくなってきたので中断。メタルキング祭りになる例の場所までは到達済。

 今回は戦闘の倍速化、シンボルエンカウントに変更、取得経験値とゴールドの調整、錬金釜の待ち時間撤廃といった細かい変更点が功を奏して、かなり遊びやすい、イイゲームになっている。

 ただ、後半は錬金によってゴールドの無限増殖が可能なことや、わりと序盤から敵シンボルを選別してはぐれメタルを狙い撃ちする方法が確立されてしまったので、恐ろしくヌルいゲームになっている感はある。けど、リメイクだし、歯応え求める人にはLv99でも苦戦する超強敵が新たに追加されているし、個人的にはこれでいいと感じる。リメイク作品なのに、2015 年第2位のゲームに推したい。1位はスプラトゥーン。「これって要するに他のゲームがダメだったということなんだろうか……」と、なんか複雑な気分。


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UNTIL DAWN 惨劇の山荘(PS4)

 個人的ガッカリ・オブ・ザ・イヤー第2弾。普通に、殺人鬼が徘徊する山荘を舞台にしたシンプルなサスペンスアドベンチャーにすれば良かったのに、あらゆる面で余計なものをゴテゴテつけた結果、面倒臭いゲームに仕上がっている。かなり期待していたゲームだったが、序盤でウンザリして放置。主役となるティーンエイジャーたちの人間関係の描写とかは後でいいから、まずゲームのおもしろさに引き込んでほしい。

 B級ホラー映画では、なかなかホラーとしての本題に入らず、こういう「お前らの恋愛感情とかホントどうでもいいんで」という要素をよく見かけるが、そういうバッドな部分までマネしてしまった感が強い。グラフィックは素晴らしいのだが、素晴らしいがゆえに、開発力の大半をここに注ぎ込んだ感を感じてしまい、余計に「それ以外の部分を大事にして欲しかったんだが……」という気持ちが強くなってくる。


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スーパーマリオメーカー(Wii U)

 作るのは確かに楽しいんだけど、ちゃんと作り込もうとすればするほど時間がかかることと、ある程度のセンスも要求されること、ゲーム内に「クリアー」などの分かりやすい目標がないことなどから、ある意味では『マインクラフト』と同じく、一定層を門前払いしているような間口の狭さを感じなくもないゲーム。

 とはいえ、エディット系のゲームは元々そういうものだし、そこはどうしようもないっちゃない。他人の作ったマリオコースを連続でクリアしていくモードもあるので、エディットセンスがない人や、そもそも作る気もない人などは、このモードをずっと遊び続けてくださいということだろう。常に新コースが供給され続けているので、遊ぶ側としては腹いっぱいどころか食い切れないレベル。

 おそらく、そのへんも考慮して、最初は使えるパーツを少なくして、徐々に開放されていくアンロック方式を採用したんだろうけど、発売直後からこの点に批判が集中。エディットやる気マンマンな人からは「時間稼ぎだ」と揶揄され、普通の人が普通にプレイすると、全パーツが出現する前に飽きると思われる。今では「いかに短時間で全パーツを出現させるか」といった方法も確立され、1時間もあれば全パーツ獲得できることが判明しているが、結局このアンロック方式は何のメリットも生まなかったと感じる。最初に、ちょっとずつ解説していくルートと、いきなり全パーツ開放ルートを選択できるようにするだけで良かったんじゃないだろうか。

 あと、自分が作ったコースに他人からの「いいね!」評価をもらうことでランキング上位に表示されていくという要素があるのだが、ランキング上位に表示されるコース以外は他人の目に触れる機会がなさすぎるため、「いいね!」をいっぱいもらった人はランキング上位に表示される→さらに多くの人にプレイされる→さらに「いいね!」獲得の機会が増える、という循環の良さに対して、それ以外の人のコースは他人の目に触れる機会がなさすぎる→いつまで経っても「いいね!」が増えない、という負の連鎖によって、格差がひどくなっている。

 ……と、なんだか微妙なことばかり書いたが、「自分だけのマリオを作れるゲーム」という点においては、ほぼ最高レベルのソフト。Wii U を持っていて、マリオが嫌いではないのなら、買わない理由はない。ほぼ永遠に遊べるので、コストパフォーマンスも高い。


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オメガラビリンス(PS Vita)

 タイトルの “オメガ” とは “ω” であり、つまりを表している。いや別に俺の頭がおかしくなったわけではなく、本当にそういうつもりでネーミングされている。公式サイトを見てきてほしい。タイトルロゴの “ω” の位置や、「胸膨らむ冒険へ─。」「胸囲驚異の乳(NEW)ローグライク RPG」というキャッチコピー。PS Vita のタッチ機能を生かしたスケベ要素、アイテム鑑定するのになぜか胸に挟んだりと、ここまで徹底してエロふざけに走ったゲームは久々だったので、敬意を表して購乳。『トルネコ3』を開発したところが手がけているということで、ローグライク RPG として期待していたのだが、少なくとも序盤~中盤に関しては、ローグライクとは言えないほどカンタン。死ぬほうが難しい。数日前に開封したところなのでまだあんまり進んでいないのだが、今のところ展開も平坦で困っているので、早くおもしろくなってほしい。

 初回特典の武器が「鳴剣エロンダイト」「鳴槍ヨガリューナク」という、伝説の武器スキーにとってはマニアックなチョイスにニヤついていたが、セクスカリバーやムラムラマサみたいなメジャーなものがないことに驚き。絶対、「正胸」とか出ると思ったのに。


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FINAL FANTASY 7(PS4)

 すでに PC 版で出ているものの移植。PC 版で登場した「オイオイ、いいのかこれ」ってレベルの公式チート機能は健在で、トロフィーもあるので、FF7 ファンはマストバイ。ただ、「ゴールドソーサーでバレットとデートする」というトロフィーがあるので、トロフィーコンプ的には下調べ必須の、油断ならないゲーム。しかし、3倍速が快適すぎる。

 すでに発売されている PC 版の FF8 や、最近発表された FF9 の移植なども、まとめて PS4 版も出してほしいところ。欲を言えば、iOS でしか出ていない FF4~6 もトロフィー付きで。さらに欲を言えば、iOS ですら実績/トロフィー要素のない FF1~3も。


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GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動(PS4)


 PS Vita 版の移植。当時 DLC として配信されていたものも全部収録されているっぽい。

 個人的に PS Vita を買うのが遅かったことと、ジャイロ機能や背面タッチ機能をフルに使っているためか、Vita TV に対応していないので敬遠していたゲーム。PS4 に移植されるなら、ということで買ったのだが、正直、PS3 でも移植できそうな感じはするものの、ゲームとしてはスゴくおもしろい。プレイ済の人からすれば「何を今更」って思われそうだけど。

「重力を操って、プレイヤーの足が着いた部分が地面となる」という要素だけなら、実は『DEAD SPACE』などで、すでにあるものだった。しかし、いかにも 3D アクションゲームにありそうなストレスを意外なほど感じずに遊べる感覚というか、重力操作というものをゲームに落とし込むにあたって、ほぼ文句のない形に仕上げてきた点をスゴく評価したい。あと、技術的には近未来のはずなのに、どこか古臭くて落ち着くスチームパンク的な世界観や、記憶喪失になってしまったのに悲壮感ゼロの褐色ヒロイン・キトゥン。もう最高やでホンマ……。

 苦言を呈すとしたら、ストーリー的な “目的” が弱く、スタートしてから早くも「キトゥンちゃんの日常」みたいなことがメインストーリーとして展開されるので、序盤以降のプレイヤーを引き込み続ける力は弱め。重力操作でできることをあらかたマスターした瞬間、「あとはこれを駆使しておつかいをやらされるんだな」というのが分かってしまう。人によっては、その辺りで他のゲームに目移りすることもあるんじゃないかな、と感じた。

 個人的には作業だったりおつかいだったりというのは結構好きなのでそこはいいのだが、メインストーリーの「この先、どうなるんだろう」的なワクワク感が全然ないので、一度中断してしまうと、よっぽど時間のあるときでないと再開のトリガーになりにくい。

 昔だったら文句なしのゲームだったと思うのだが、今の時代、娯楽の選択肢が増えすぎているので、パズルゲームなどの「ゲームシステムで引っ張るゲーム」はともかく、「ストーリーがあるゲーム」でストーリーの先が気にならなくなったら、その時点で終わりなのかもしれんなァと考えさせられてしまった。

 まあそれはそれとして、「記憶喪失で行くアテもないので仕方なく町の人から要らない家具とかもらって下水道に住み着くことにした」という、なかなか見ないレベルの境遇のヒロイン。ちょっとイケメンから「かわいい」と言われるだけで舞い上がる様子などから、ファンからは相当ちょろいヒロインとして人気を博している。しかもゲーム中、散らばった原稿を集めるシーンでは、性的な描写と思われる部分に食いついたり、褐色で性的なことに興味シンシンでちょろいなんて最高だぜ。GRAVITY DAZE。しかも下水道在住のせいか、ゲーム内で「なんか臭い」とか言われる。今まで下水臭いヒロインなんて居たか? 新境地すぎて戸惑いの連続だぜ? GRAVITY DAZE?


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シャンティ -海賊の呪い-(3DS)

 絶滅寸前の 2D ドット絵アクション。海外では人気のあるシリーズで、プレミアソフトと化しているのだが、日本ではそもそも知名度もなければ発売もしていないという……。

 内容は至極真っ当な 2D ドット絵アクションで、『メトロイド』『悪魔城ドラキュラ』系が好きなら問題なく楽しめる。開発会社がインティ・クリエイツなので、系統としては『ロックマン』のほうが近いのかもしれない。

 ただ、リトライポイントはやや不親切だったり、これはシリーズものの3作目なので、1作目から丁寧に日本で広めようということはできなかったものか……とは思うものの、1・2作目は公式イラストが日本ではウケなさそうな絵柄だったり、そもそも1作目はゲームボーイカラーだったりするので、仕方がなかったのかもしれない。

 バーチャルコンソール化される見込みもあるらしいのだが、なかなか実現していないとか。『パルテナの鏡』も、ゲームボーイで発売された2作目が海外オンリーだったけど国内でバーチャルコンソール化されているので、希望はないこともない……と思いたい。現在4作目も開発中らしいので、そのへんに合わせてがんばってもらいたい。紫色の長いポニーテールを振り回して攻撃するアラビア風の褐色ヒロインという点でも要注目。

 個人的にスパイク・チュンソフトは「日本でも確実に売れそうな海外作品」のローカライズの雄で、インターグローは「これはマニアしか喜ばないだろ。俺には全部ストライクだけど」という微妙なチョイスをしてくるローカライズの雄。『ファーミングシミュレーター』とか『デッドフォールアドベンチャーズ』とか『ペインキラー』とか。最近は『I am Bread』なども。今後も期待。

 あと、メーカー自らスマブラに参戦企画を立てていて「そんな無茶な」と思わなくもないが、キャラ的にはスマブラにピッタシなんだよな、これ……。この 3DS 版がジワジワ売れて人気も上がってきて、日本では発売されていない前作とかも移植されて知名度が上がっていけば、可能性はないこともないのかもしれない。

 ・ ・ ・

 2015 年を総括すると、前半にベタ褒めできるゲームがなかったので暗いスタートだったが、後半からは『スプラトゥーン』と、『グラビティデイズ』のキトゥンちゃんに救われた感じ。振り返ってみて分かるが、良いゲームだったなと感じるソフトは、それなりに時間も費やしている。2015 年発売ソフトをランク付けするなら、こんな感じだろうか。

 1位 スプラトゥーン
 2位 ドラゴンクエスト8
 3位 グラビティデイズ
 4位 シャンティ -海賊の呪い-

 正直、2位と3位はどっちがどっちでもいいや。

『スプラトゥーン』はその革新性と、まったく新規のタイトルをここまで高い完成度で送り出してきたことに対して。

『ドラゴンクエスト8』は「リメイク作品はこうあるべき」と感じる最高の遊びやすさを施したアレンジと、Lv 99 まで上げても楽しめる強敵の追加に。

『グラビティデイズ』は、重力というものをゲームと繋げるにあたって、ここまでセンス良く見せられるのかというオープニングと、重力を操ってゲーム内空間を飛び回ることの気持ち良さの仕上げ方、そしてキトゥンがこれからの褐色ゲームヒロインを率いるジャンヌ・ダルク的存在になることを期待して。

『シャンティ -海賊の呪い-』は、国内家庭用ゲームでは絶えようとしている “メトロイドヴァニア” 系列の最後の継承者……と、貴重な褐色ゲームヒロインのひとりとして名を上げることを期待して。

 それぞれ、拍手喝采を送りたい。

『スプラトゥーン』にはアオリちゃんとホタルちゃんという女の子キャラがいるし、ドラクエ8ではゲルダが仲間になるようになってるし、『グラビティデイズ』のキトゥン、シャンティなどと合わせると「お前、女キャラで選んだだろう」って感じの選択みたいだが、違うんです。ちゃんとゲーム内容で……。

 さて、2015 年発売の家庭用ゲームで俺がプレイしたものに関してはこれでだいたい全部なのだが、Steam で買ったゲームは入ってないし、2015 年以前に発売されたゲームだけど 2015年中にハマッていたものなどもある。次回はそれらをまとめて、2015 年の回想は完了ということにしたい。年度末の3月までにまとめられるといいなァ……。

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