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2003年8月29日

『新約 聖剣伝説』サントラレビュー

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 俺が特に好きな4曲に絞って、チョトだけ感想をば。

■「果てしなき戦場」

 フィールドの音楽「果てしなき戦場」は勇壮さが前面に出た行進曲的なアレンジになっており、初代の GB 音源を聴き直すと「勇壮さと同時に、どことなく淋しさも漂う」ようで、それがまたいいところだと感じるのだけれど、今回にはその「淋しさ」が薄れている感じ。しかし、その優れたメロディーラインは健在で、初代をやった人にとっては懐かしさがこみ上げてくる名曲には違いない。

■「戦闘2」

 ラスボス戦の曲と並んでカッコいい戦闘曲。しかし今回のアレンジ、メロディ的に昇りつめるところの、「チャー、チャララー、チャララー、チャララララララ……」ってところが「チャー、チャララー、チャララー、チャララッ!」になっており、昔の曲を知る者にとってはココがヒッジョーに気になった。違和感っつーか。でも、もしかしたらコレ、昔から「チャララッ!」で、単に音色が少なかったため、そう聞こえていただけなのかも。

 今回初めてプレイする方にとっては「?」な お話だと思いマス。

■「聖剣を求めて」

 後期のフィールド音楽「聖剣を求めて」は「果てしなき戦場」と並ぶ名曲。今回は前奏が長めのアレンジ。基本的には「果てしなき戦場」と似た印象だが、ドラム部分が派手で、だいぶ印象が違う。ちなみに GBA 版では、過去の GB 版と「この曲が、かかり始めるタイミングが違っている」ことで、旧ファンは大騒ぎさ。

■「最後の決戦」

 ラスボス戦の曲。いかにも最後っぽい曲調で、荘厳さが響くアレンジ。以上4曲の中では最も変わってない印象。まだラスボス戦までは行ってませんが、楽しみ。

 ただ、全体としては、タイトルに「新約」とつけるだけあって、ストーリーの細部もかなり変わっちゃってるんで、初代「聖剣」が大好きだった人ほど、軽い拒絶反応を示す気が。

 サントラのライナーノーツで、伊藤賢治氏が「ゲームボーイは3音しか出せず、どう頑張ってもオーケストラのような感じは出せなかったため、意識してメロディーラインを強調して作った」というようなことを書かれていたのだが、やはり当時の3音という限界の中、工夫を重ねた結果のメロディーラインが、名曲と呼ばれる所以なのだと感じた。そういった曲を今の音源で超えようと思う場合……しかもリメイクのため、原曲を大幅に変えるわけにもいかない場合、相当に難しいだろうなと。昔の、同時発音数が少なかった音源だったからこそ「必要な音」だけが残り、珠玉の1曲が完成していったようにも思う。

 しかし、サントラに「本作品は制作上の意図として、リアルにゲームのオリジナル音源を楽しんでいただけるよう、ゲーム音源の響きに忠実に収録を行っております。」と書かれているのだが、単にサンプリングレートが低くなった気がするだけのような気が無きにしもあらず。初回盤特典のボーナスディスクに付属の「果てしなき戦場」のオーケストラバージョンが、おそらく当時の聖剣で伊藤賢治氏がやりたかった理想の音なのだろう。こういうの聴くと、PS1 か PS2 でオール生音の聖剣がやってみたくもある。

 思えば、3音しか出ない音源とモノクロ画面、数メガしかないカートリッジで、よくぞあれだけのものが出来たな……と初代のスゴさを再確認。GBA 版のオマケで初代を付けてほしかった!

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