■日本一遅い『WILD ARMS the 4th Detonator』レビュー ゲームのレビューを書く時……。 それがオススメレビューなら特に深く悩む必要は無く、わざわざ読んでくれた人に「如何に興味を持ってもらうか」、 そのゲームに関して自分が「とにかくココが良いんだよ!」と思った部分を、多少、自分の好みが入り混じってても、 力技でオススメすれば大抵は伝わるし、そのゲームを作った人に対しても「グッジョブ!」といったリスペクトを兼ねることにもなり、 非常に楽なわけです。 しかし、オススメでない場合。 ただ単に「つまらなかった」という内容のものを書いたところで、それを読んだ人が得るものは少ないだろうし、 書く方と読む方の双方がガッカリという非常に非生産的な展開になってしまい、もはや何のために書いたのか分からなくなる始末。 以前、「批評と批判は どう違うか」みたいな話をどこかで見た気がするんですが、 個人的な解釈としては、 「批判」は、「ダメな点をただ挙げただけ」に留まり、どちらかというと「けなす」方向。 「批評」は、「ダメな部分も良い部分も全て挙げた」上で、「なぜダメだったのか」については 「より良い改善点」も提示し、「その作品が今後良い方向性へ向かうことを祈る」 ……といったところでしょうか。 さらに付け加えるならば、そのゲームをプレイしたことがある人の目に触れ、反感ではなく共感を得られれば幸いなのですが…… さて、どうなりますでしょうか。 このゲームをプレイする予定がある人、また、現在プレイ中の方などは、できれば、終わってから読んで頂きたいところです。 ほんの少しですが、ネタバレを含んでいます。 ■1:キャラクター 今回はメインキャラの年齢が13、15、18、19の4人という、しゃかりきコロンブスもバッチリまだ見えてそうなガラスの十代たち。 全員で壊れそうなものばかり集めてしまうのかと思いきや、弱気なヒロインが壊れそうなものを集めそうになったら 他のメンツが叱咤して島本和彦のマンガを読ませようとする感じ。 でも、その島本和彦のマンガも なんだか水に濡れちゃったような感じで……? 今回、主人公以外の3人……特にそのうち2人はラスボスと因縁があるとかそういったことは全く無く、1人は単に巻き込まれ、 1人は観光目的です。もちろん、中盤を過ぎたあたりから「巻き込まれたからこそ分かってきたこと」なんかもチラホラあるんですが、 基本的には偶然です。 ラスボスに対しても、「ここまで関わっちゃった以上、知らんぷりは出来ない」的なカンジであり、 個人的にはもっと「俺はッ! お前を倒すために、ここまで来たんだァーッ!」的な盛り上がり…… カッコ良く言うと、明確な「戦う理由」が全員に欲しかった気もします。最も因縁が深いはずの主人公でさえ、 自分の意思というよりも「それが母の遺志だから」という思いの方が強く見えました。 ●ジュード 主人公・13歳。 『3』のレビューで、主人公・ヴァージニアの言動が「世間を知らない子供すぎる」というような事を書いたのですが、 ヴァージニアは たしか18歳だったので、「その歳で そんな甘っちょろい事言ってんのかよッ!」と思ったものの、 ジュードは もっと、というか いかんせん実際に子供すぎるため、困った事が起きたら 「考えても分からない。でも、立ち止まっちゃダメだ!」の繰り返しで、あんまり突っ込む気も起きません。 ……13歳だしなァ。あまり大人びてる13歳も嫌だしなァ。でも、4人の中で一番元気だったにも関わらず、 一番キャラが立ってない気がしたのは俺だけでしょうか。 何かと「ユウリィ(ヒロイン)を守る!」と連発するんですが、そこまでして守らなければならない「理由」が希薄で、 「過去に似た幼馴染を守れなかったから……もうあんな思いは二度としたくないんだッ!」程度の理由は つけるべき。 閉鎖された村で育てられ、初めて見た同世代の異性がユウリィ、という設定があるんですが、 あんまり生かされてないですな。もっと、こうッ!「なんでだろう、君を見てるとドキがムネムネするんだ……」 とか真顔で言って「な、何、言ってるのよ、もう……」とヒロインを戸惑わせたり、不可抗力で胸に触ってしまってドキドキしたり、 ヒロインも そんな初々しい様子を見て ちょっとイジワルしたくなって「ね、キスしてみよっか……」とか言うべき! ●ユウリィ ヒロイン・15歳。 不思議な力を持っており、その力目当てに囚われたり実験されたりした過去アリ。おとなしめ。 でも正直、このタイプのヒロインは食傷気味。悪く言えば、キャラクターというものが氾濫しまくっている この世の中で、 「没個性」と言わざるを得ない! 主人公ジュードとともに、イマイチ、キャラが立ってない気がします。 しかもかなりのブラコンで、ユウリィ×兄の同人誌まで想定してるのかと思うほど。 たぶん俺が今感じているこのイライラは、主人公とヒロインが思春期真っ只中にありながら、 お互いを全く恋の対象として見ていなさすぎて、それでいてジュードは「ユウリィを助けるんだ!」とか言うからなんでしょうな。 もっとラブにコメっても良かったと思います! ●アルノー 優男・18歳。 ジュードを子供扱いするが、話が進むにつれて、自分もまだ子供だと思い知らされ、 ジュードの真っ直ぐさに、ちょっと憧れる。ジュードと比べるとまだキャラが立っていた気がするが、 「剃刀のように鋭い思考」「首から上には自信がある」といったセリフを連発する割には、 あまり驚きのある策が無かったような……。 ●ラクウェル おそらくキャラ人気1位・19歳。 歳の割に凄まじい剣の達人で、男口調。可愛げのない自分がちょっと嫌いであり、「もっと可愛げを出したい」と 密かに思っている。かなりの味音痴であり、旅をしながら気に入った場所を見つけては絵を描くことを趣味とするが、 絵心はカナリ無いようである……と、一見、完全無欠に見えながらも、萌え弱点が多彩であり、かなり狙って作られた感アリ。 昨今のマンガでは『武装錬金』の津村斗貴子の性格に似ているかもしれない。 ただ、プレイした人の誰もが感じることだと思うんですけど、ラクウェルの戦闘力は4人の中でもズバ抜けすぎており、 他の3人の弱さも相まって、彼女がいなければゲームが成立しないレベルの強さ。序盤から あまりにも強いため、 「ストーリー上、早い段階で離脱してしまうキャラなのでは?」と心配してしまうほど。 結局、ラストまで一度も抜けることなく居たんですが、戦闘開始時のランダム配置によるゲームバランスの悪さを ラクウェル一人でカバーしている感があり、元来、「最も時間をかけるべき部分」と言われるゲームバランスの調整が、 相当な大味になっている印象を受けました。戦闘開始と同時に、まだ何もしていないのに3人死亡していることもあれば、 ボス戦だというのに、開始早々ラクウェルの攻撃でHPの大半を奪って楽勝、なんていう場面も。 ●敵側の人たち いわゆる敵対する組織に、主人公たちと戦うのが萩尾望都ばりに11人いる! んですけど、今までだと 主人公側が一度、完膚なきまでに倒されるか、敵側が油断して「くッ……!? なかなかやるじゃねーか…… とりあえず今日のところはこれまで……また遊ぼうぜッ! ハハハハッ!」てな感じで撤退するかの どっちかだったんですが、今回は、誰か出てきたら9割方、その回で死にます。一人だけ再戦がありましたが、 正直、「えっ!? コイツ、これでもう退場!?」的な使い捨て状態で、特に強いはずはない主人公パーティが 不思議なほどに勝ち進んでいくため、実はこの組織、メチャンコ弱いんじゃねーのと思うことしきり。 今までのWAシリーズは、敵側の思惑というか、そのキャラクターの行動理念みたいなものが、 たとえそれが悪役であっても、ちゃんと表現されてたと思うんですが、今回はキャラ掘り下げる前に キンキンばりに「ハイ消えたー!」的な速度で どんどん頭数減っていくんで、それどころじゃなく。 11人ってのがそもそも多すぎたと思うんですが、掘り下げが出来ないなら、 数を減らしてでもやるべき大事な部分だったと思います。 あと、この人らの会話に使われている言葉というか単語が、非常に……なんというか…… 何かの劇でも見ているような、普段使わないような単語連発で大仰な感じを受けました。 下手すると、中学生が無理してカッコつけて書いた会話文みたいになってます。 いろいろありましたが、特に印象に残ったのは、涙を流したのを見て驚くシーンでのセリフ。 「――落涙ッ!? 」 「もしかしてここは笑うとこなのか?」と思いかねないので、せめて「(涙……!?)」とかにすればいいのに……。 ちょっと、普段使わない単語を使うことに酔っているようなフシがありました。 WAシリーズは、そういう独特の言い回しみたいなものがあるっちゃああるんですが、 今回のは やたら鼻につくというか、すごくわざとらしい感があってヒジョーに気になりました。 ■2:シナリオ WAシリーズ史上、最悪かもしれません。まだ『3』の方がモチベーション続いてたかも……。 演出にも問題があると思うんですが、今までポリゴンキャラを動かして演技させていたようなところは その大半がキャラの立ち絵による紙芝居になってしまっており、その部分だけ見ると同人ソフトスレスレの出来。 敵キャラのところでも少し書きましたが、会話に わざと難しい単語を選んで使っている感があり、 それが前述の「仰々しいセリフまわし」にも繋がっているのですが、ルビ振りまくりの固有名詞の乱発と 紙芝居で、なんだかもう恐ろしく安っぽくなっちゃってる気がして……。 会話は もっと自然な単語を選んだ方が違和感なく、「普段言わねえよ、こんなセリフ」的なものは、 ここぞというシーンでのみビシッ、と出した方が引き締まると思います! 感動は不意打ちであるというのが俺の持論なんですが、0を10にする感動よりも、 -10から10にした方が感動は大きく感じると思います。ここでいうマイナスとは、 主人公の境遇や、敵に対する怒りの度合いなど。これを、なんつーかもうヤバいくらいに 悲壮な状態にまで一旦、叩き落し、そこから一気に「救う」。この「落差」が感動を生む。 『3』もそうだったんですが、全体的にフラットな展開が多く、主人公とその仲間たちに、同情も感情移入も出来ない。 特別不幸というわけでもなければ、主人公たちが怒る、悲しむ、その矛先に 「うんうん、そうだよな」とプレイヤー側が鼻息を荒くしてブンブン首を縦に振れるシーンが無いのであります。 仲間内で最も不幸といえるのはユウリィ、もしくはラクウェルですが、不幸な体験をした、というだけであり、 外見は ごくごく普通の、どちらかというと美少女の部類。これが、過去に受けた実験のせいで 身体にすごいキズが残ったとか(ラクウェルは可能性アリ)、義手・義足だとかなら、 目に見えて「失ったもの」があり、説得力を生むのですが(マンガ『鋼の錬金術師』は、この「失ったもの」の表現が上手い)、 少なくともユウリィからは辛かった「体験談」しか見えてこない。 その体験談も、もっと鬼気迫る表情で語ったりするのならまだしも、伏し目がちに寂しそうに語るだけ。 「昨日まで話してた友達が次々と、「実験」に連れて行かれたまま戻らない…… 一人、また一人と減っていく。自分の番はいつだろう……そして「何をされる」のだろう……!」 そういった部分の「緊迫感」が全く無い。 『2』のカノンが、生き抜くために身体のあらゆる箇所を機械化していたことを考えると、 「ツラさ」の表現インパクトが全く足りないと感じました。 ジュードはオープニングでツラい目に遭うものの、逆にそれまでが幸せだったため、 もっと「なんてことだ!」と思わせる展開が必要。村の崩壊は当たり前、よく見知った村人たちが 兵士に皆殺しにされた上、目の前で実の母親も殺される、または覚醒したARMの力で誤って殺してしまう…… それくらいのことが起きないと、ゲーム上で「ツラさ」は表現できないし、 主人公、ひいてはプレイヤーも、以後のモチベーションが保ちにくくなる。 オープニングで主人公をこれ以上ないくらいのドン底に落としておけば、 それからの展開に期待できる。逆に、誰も死なず、今まで幸せに暮らしてたのに、 その平穏が壊された、程度ではハッキリ言って何の感動も生まない。 ■WA4が削り落としたものと、RPGの"快感"論 ドラクエ以降のRPGには「お約束」というか、基本フォーマットみたいなものが出来上がりました。 片っ端から挙げていくとキリがありませんが、例えば「船」と「空の乗り物」。 船は冒険の中盤くらい、空の乗り物は終盤の合図でもあり、この二つは、物語としても、また、ゲームとしても、大きな節目になります。 世界地図上を冒険するRPGでは、大海原や山などに阻まれて最初は理想的な進路を取れず、やむなく徒歩で目的地を目指すわけですが、 中盤で船を入手することによって今まで行けなかった場所へ、そして今まで訪れた町などへのショートカットも兼ねて、 ゲームの進行速度を加速させる役割を持ちます。終盤で空の乗り物を入手すると、もはや行けない場所は無くなると同時に、 ラスボスへ突入する前の「寄り道」が楽しくなる時期。ドラクエで言うなら「さいごのカギ」を入手した時の、 今までに開かなかった扉を思い出しながら世界中を復習するように飛び回る、あの時。 それはたしかに"快感"であり、RPGには そういった要素が不可欠だと感じます。 今回、フィールドマップを省略化してしまったWA4は、船や空の乗り物で世界を飛び回る楽しみを奪い、 それに代わるほどの"快感"を与えることは出来ていなかったように思います。毎度お馴染み隠しボスや、 「ラストダンジョンでしか取れない宝発見グッズ」を使わないと取れない宝箱が全ダンジョン中に散りばめられており、 先に挙げた「復習」を促してはいるのですが、今までほどのモチベーションがありません。 個人的に「なんでだろう」と色々考えてみたのですが、まず、全ての戦闘が割と楽勝なので 強い武器や防具を熱望するほどではないということと、やはりなんといってもシナリオに牽引力が無く、 このゲーム自体に魅力を感じられないことが最大の原因であるように感じます。 とにかくこのゲーム、ラストダンジョンまでマジで一本道なんで、物理的に寄り道ができません。 中盤、「追っ手から逃げる」という理由でダンジョンをいくつも通過するのですが、途中、シナリオ忘れかけました。 前作『3』と似ていて、シナリオとシナリオの間に無理矢理ダンジョンを挟み、時間稼ぎをされているような感じでした。 気分転換しようにも、先に言ったように「寄り道」遊びが出来ないものですから、次のダンジョンに進む「しか」ありません。 少々、苦痛でした。 フィールドマップの削除もですが、町中の「民家の中を歩きまわれなくなった」点も、悪い意味で「省略した」としか感じられなく、 また一つ楽しみを減らした気がします。あと、ロマサガシリーズ並に「開かない扉」多すぎ。 フィールドマップを簡易化してしまうくらいなら、ボタン一つで町のどこからでもすぐ外に出れる機能が欲しかった! 今回、カメラアングルの問題もあって町の作りが分かり辛く、真に省略すべきは「町での用事が済み、外へ出るまでの時間」だと思いました。 「エクソダスオーブ」という、ダンジョン・町から一瞬で外に出られるアイテムがあることはあるんですが、 これが入手できるのはラストダンジョンの奥。遅すぎる! 初期装備でもいいくらい。 今までに、フィールドマップを簡略化したRPGは総じて失敗している気がします。 たとえ特に意味はなくとも、空の乗り物で飛び回っていた経験はないでしょーか。その「飛び回る」ということができる、という、 ただそれだけのことにも、意味はあったのだと再認識させられました。 ■戦闘後の宝箱について 「ランダムに出現」「全員をバラけさせた方が入手しやすいが、1ヘクスに人が多い方が良いモノが出る」……。 問題なのは、圧倒的に入手率が悪い点。良いモノだったのに、そのヘクスにいなかったがために入手できない。 これは、プレイヤーのガッカリとイライラを募らせるだけ。ゲームで、こんなことしてどうする。 この点については、堂々と「開発のバカ」と言わせて頂きたい! ただ単に宝箱の出たヘクスに自分たちがいなかっただけでもガッカリなのに、 さらに宝箱をオープンにして「こんなイイものが入ってたのに……」と、ガッカリ度を加速させる。バカである。 せめて、このシステムを貫くのなら、宝箱を取り逃した時は箱をオープンすべきではない。 ゲームは、楽しみたいからプレイしている。決して、ストレスだけは感じさせてはならない。 誰が金を払って、さらに時間を失ってまでストレスを買うのだ。 金を払ってこのソフトを買い、最後までプレイした者として、堂々と言わせてもらう。 開発スタッフは、「ゲームをプレイすることによって快感を得る」ことについて、もっと勉強した方がいい。 プロなのだから、この点は本気で恥じるべき。 敵から逃げた時に金を落とす必要がどこにあるのだ。全ての敵から確実に逃げられて、 なおかつお金を絶対に落とさなくともゲームは成立しているし、逃げることによるデメリットを設けること自体、意味不明。 戦いたくないのにエンカウントした場合、「戦闘前の読み込み時間」として、すでにプレイヤーは足止めをくらい、 「時間」を損をしているのである。それで充分ではないか。 そこに制限をつけることによって、開発陣に何の得があるのか聞きたい。 ランダム要素というのは、作る側にとっては楽だが、 遊ぶ側にとっては全く楽しめないものであることを理解すべき。 ■テーマは反戦? 反戦が一つとしてあるとは思うんですが、それ以外の様々な出来事、主人公たちを取り巻く全てが テーマであるようにも思います。悪く解釈すると、テーマを明確に絞り込めなかった印象を受けました。 しかし何にしろ、正直、ちょっと説教くさすぎる。特にラムダとガウンのセリフは説教まみれ。 テーマというものは、後でふと考えてみると「ああ、テーマは○○だったんだな」と思わせたり、 少なくとも、できるだけ表面には出さずに潜めるものである、と思います。 「ドラえもん」の劇場映画シリーズは、毎回何かしらテーマを盛り込んであるのですが、 藤子F氏が生存していた頃のドラ映画の出来は見事で、子供の頃に見ると、子供心をくすぐる冒険活劇で、 説教くさいテーマは微塵も感じさせない。それでいて、確実に子供にテーマを伝えていました。 大人になってから再度見てみると、それがよく分かります。 「テーマを感じさせずに、見る者を楽しませる」。WA4は、それが出来ていません。 目につくのは子供の甘ちゃん思考と、勢いと情熱だけで、どうにかなってしまう展開。 どーにも納得できない部分が多々、残るのです。 ■ラスボスの主張 「戦争を無くすために、自己を犠牲にしてもいいとさえ思っていたが、一向に戦争は無くならない。 それは、結局のところ人々が戦争を望んでいるからだと考え、世界を平和にするために、人類を滅ぼすことにした。」 アホかと。 神様気取りもいい加減にしろというか、じゃあ滅ぼした後、お前一人でどーすんだよ、と。 RPGのラスボスの主張は、よく矛盾があったり、結局は「もはやどうでもいい、世界ごと滅ぼしてくれるッ!」みたいだったりで 萎えることが多いんですが、これは特にひどい。まだ単純に「世界征服」とかの方が、納得できる。 もっと俗な欲望のために動いていた方が、共感を得られるはず。 ■相変わらず、モンスターの挙動などに、重量感が全く感じられない。 逆に、よくぞここまで軽く表現できるものだと感心。 ドラゴン系などのモンスターだと、重量感がそのまま「迫力」に直結するわけで、 その面だけでいえば、「WA4」は、数年前にPS1で出た「FF7」にすら負けてます。 ■あの恒例のダッシュが無いのと、キャラクター別プロローグが無い。 これらが無いだけで、なんだか、ものすごく物足りない……。 ■街の人に話しかける時、ほんのわずかな読み込みと画面切り替えがあるが、 これが微妙にストレスに。二度三度と話しかける気にならない。 今までどおりの会話ウィンドウが良かった気が……。やたら難解な漢字や言い回しを好んで使うこのゲームでは、 「3」から始まった「漢字にルビを振る」仕様は良いと思います。 ■3の時に書いた日記を読んで頂くと分かると思うのですが、「バトルエフェクトの繰り返しによるイライラ」について。 これに関しては、やはり誰もが感じたのか、エフェクト全体が高速になっていて改善されていました。 ドラクエ8ですら「~に平均15のダメージ!」とかの方式に変更したのを見ると、 やはり誰もがイライラしていた部分だったのかなーと思ったり。 ■ダンジョンの仕掛けが、完全にストレスにしかならない。 今までの「謎解き」感は全く消え、とにかく「面倒」の一言。隣の部屋から何かを担いでくるとか、 しかも何かを担いでいる時は歩く速度も遅くなるし、やること分かってるのに、そういった作業の最中に 敵にエンカウントしたりするとホント、ストレス製造機。 ■カメラアングルが動かせないのは大きな減点材料。 ああ、この、ほんのちょっと向こうが見たいのに……ッ、という場面が、しょっちゅう。 このせいで、ダンジョンにあるスイッチに物を当てる時、距離感が全く掴めないことが多々あります。 これは、とんでもなく欠陥的な部分だと思いますッ! あと、戦闘で、ダメージ表示が画面外に切れて見えなかったり、画面右上にある「仲間のHP表示」に隠れて見えないことが。 今作のカメラアングル担当、出てこいッ! ■CMのキャッチコピーは「きっと、大人には分からないRPG」らしいですが、 もし、今感じている不満の理由が「大人だから」だとしたら、パッケージに 「このゲームは大人だと全く楽しめない可能性があります」と書いておいてくれッ! 迷惑だッ! 個人的には、良いRPGというのは子供だろうが大人だろうがクリア後に「良かった!」と感じることができると思うので、 「大人には分からない」なんてのは言い逃れにしか聞こえない。 子供には そのまま感動を、大人には「大人の子供心」へ感動を与えることができるはず! あと、WA4独特の「難解な単語連発」は、むしろ「子供には分からない」と思うのですが……。 ■戦闘 戦闘開始からまだ何もしてないのに、敵の攻撃によってユウリィが死亡させられたりすると なんだか、ものすごくやるせない。プレイヤーの努力では どうしようもないことだから。 できるのは、レベルを上げておくことのみ。今回の戦闘システムは、ダメージと被ダメージの量が随分と大胆で、 ザコの通常攻撃でいきなりHPの半分以上を持っていかれることなんてザラ。 せっかくバトルフィールドにヘクス制を導入したのだから、 もっと緻密に戦略を練られるような作りにしても良かったと思うのですが……。 先にも言いましたが、ゲームはプレイヤーに「快感」を与えることが先決のはずで、 バックアタックされたわけでもないのに戦闘始まっていきなり仲間が全員同じヘクスにいて 敵の先制攻撃でほぼ壊滅状態になった時は さすがに萎えました。こちらの行動力と敵の行動力を公平にする必要など 何処にも無い。本来、ゲームなんてものはプレイヤーに激しく有利でいいのです! 要は、「なんだこのゲーム、簡単すぎてツマンネ」「なんだこのゲーム、敵の攻撃激しすぎてやる気削がれる」 といったことをプレイヤーに絶対に感じさせないこと。うまくプレイヤーをおだてて進めさせる展開。 実はそんな大したことやってるわけでもないのに「お、俺って実は上手いじゃん?」と思わせるような展開こそが、 ゲームにおける最大のバランス調整なのだと、私は思います。 ■なるけみちこさんの曲は、今回も良い。 主題歌のインパクトは やはり『2』には敵わないものの、『3』は越えていると感じました。その他の曲も総じてクオリティ高し。 シリーズ特有の「荒野と口笛」「西部劇」感は薄れてますが、今作で納得の完成度を誇っているのは音楽だけです。 今回もラスボス戦にアレンジされた主題歌が流れますが、とってつけたような感があり、 『2』の時ほどの衝撃と感動は生んでいなかったように思います。でも、これは なるけみちこさんが悪いんじゃないから! ■総合 『3』は『1』を意識して作られた印象がありましたが、今回の『4』は『2』寄りの作りになっている気がします。 ……が、結果的には2をパワーダウンしまくったみたいな内容。 「『2』には敵わないが『3』は越えた」という意見もあるようですが、個人的には『3』すら越えてない気が……。 まとめると、「たかだか13歳の子供に言い負けるような大人たちが乱舞するヘッポコ大人社会RPG」。 良いゲームというものは「是非、子供たちの世代にプレイさせたい」と思うものですが、全体的に 大人から見た『今の子供たちってこんな感じ?』観みたいなものに溢れており、 大人というものが勘違いされそうなので、できれば子供にもやってほしくないというか……。 ああ、やっぱり激しくオススメできないレビューに……。 ■おまけのプチツッコミ ○ダンジョンで、水に落ちたりすると、その部屋に入ったところからやり直しになるが、 溶岩に落ちても「ようし、次こそは……」とか言うのはどうかと思う。 ○あらゆるダンジョンで唐突に食事の準備を始めるPT。 ダンジョンの先に進めず行き詰まっているシーンで「とりあえず食事にしようか」という流れになったのには ものすごい違和感。追っ手が、そこまで来てる時なのに! やってない人に分かりやすい例: 「! 後ろの扉が閉まった!?」 「俺たち、閉じ込められたのか!?」 「クソッ、どうすれば、ここから……それはともかく、食事にしようぜ」 「ああ、俺もう腹ペコだよ」 |