XYZ
さらに1年くらい経っちゃった気もするが……?

カホリ「『飼い殺し』って言葉考えた人、天才〜」

リョワ「ここまで放置されると生きてる意味とかヒステリックブルーの行き先とかその他諸々を見失うよな。」

カホリ「前回からまた1年くらい経ったかしら……? ねぇそろそろ作者殺さない? ジーマで。」

リョワ「おっ、『マジで』の業界読み来た〜。俺らの時間がいつ頃から止まってるか分かるな。
ああこの熟れきった肉体がもう火照って火照って……誰かー奪ってー。」

カホリ「ここぞとばかりに好き勝手叫んでるわね。」

リョワ「試してみる?」

カホリ「試さないわよ。お尻突き出さないで。」

リョワ「まあ、それはそうと依頼だ、カホリ」

カホリ「え? まだ伝言板見に行ってないけど……」

リョワ「伝言板? ププ、今、伝言板って言った? 言っちゃいました? 甘栗剥いちゃいました?」

カホリ「な、何よムカツク言い方ね。何なのよ。」

リョワ「駅前の伝言板は撤去されたんだよ。」

カホリ「えっ……」

リョワ「時代の流れ、ってヤツさ。携帯電話の普及によって、必要性が薄れてきたんだな。」

カホリ「し、知らなかった……。」

リョワ「まあ、北条司『Angel Heart』の受け売りなんだけどな。」

カホリ「アンタもマメね……。」

リョワ「とにかくそういうワケで、パソコンを導入してみた。」

カホリ「わっ。アンタ、使いこなせんの?」

リョワ「当たり前田のグラップラーよ。電・子・メ・ー・ルよ。電メ。電メ。」

カホリ「聞いたことない略し方な上、2回も言わないでよ。……で、これが依頼のメールね?」

ピッ



『マンションの向かいの部屋に住んでる奥さんが、毎日セクシーな下着を外に干して僕を誘います。
もう辛抱たまりません。たすけて!』



カホリ「……。」

リョワ「この奥さんがもっこり美人かどうかで、この依頼の成否が決まってくるわけだが……。」

カホリ「もう全然わけわかんないけど、久々の依頼だし、ここで動かないとまた年単位で放置されそうだから
サッサと行きましょう。マンションへ。」

リョワ「あン、ちょっと待ってよ、パンツ履きかえていくから。」



第8の依頼
『けだるい午後の誘惑ランジェリー!
 ターゲットは もっこり団地妻?』



リョワ「なるほど、けだるいな……」

カホリ「けだるいの意味分かって言ってる? ホラ、さっさと依頼人の部屋の前まで行くわよ」




リョワ「ふむ……あれか」

カホリ「まあ、たしかに派手な下着ねぇ……どう見ても普段使うようなモンじゃなさそうだけど……」

リョワ「依頼人の言う通り、誘ってるのさ。依頼人は若い男……そして、あの部屋に住んでるのは
今まさに旬の20代後半に差し掛かった人妻よ」

カホリ「……なんでそんな詳しく知ってんの?」

リョワ「調べたに決まってんだろ。」

カホリ「すごいアバウトだけど、多分アンタが言うんだから調べたんでしょうね。
スイーパーより興信所にでも勤めたら?」

リョワ「冗談言ってないで、さ、始めるぞ」

カホリ「始めるって……」

リョワ「実はもう、依頼人が人妻の部屋へ向かっている。」

カホリ「え! ちょ、ちょっとそれマズいんじゃ……」

リョワ「依頼人は宅配のバイトをしてるんだが……ちょうど先程、あの人妻の部屋への宅配を任されてしまったらしい」

カホリ「むむ……それは……仕方ないわね。で、どうするの? 私たちは」

リョワ「二人で行くと目立つ。俺は屋上からロープであの部屋へ降りるから、
カホリはこのトランシーバーを持って、部屋の前で待機しててくれ。
いいか、人妻の部屋付近に誰か来たら知らせるんだぞ。」




>リョワ「ジー ザザッ 聞こえるか? カホリ」

カホリ「ええ、感度良好よ」

>リョワ「感度がいいのか?」

カホリ「意味深に聞き返さないで。」

>リョワ「今、ベランダの真上にいるんだが……玄関のあたりで依頼人と人妻が何か話している。
宅配の品を届けに来たところみたいだな……そっちから見えるか?」

カホリ「ええ……何か、割と小さい箱ね」

>リョワ「多分、人妻が箱を落とすぞ。」

カホリ「え?」

ゴトッ

依頼人「あっ……!」

人妻「あらあら、ごめんなさい……」

カホリ「……落としたわ。なんで分かったの?」

>リョワ「人妻の作戦だ。多分、中身が壊れてないか調べるとか言ってフタを開けるから、
中身をチェックしろ」

カホリ「り……了解」

人妻「ちょっと、中身が壊れてないか調べるわね……」

依頼人「は、はい」

カホリ「……!」

>リョワ「どうだカホリ、中身はバイブレーターだったか?」

カホリ「え、ええ……ってアンタなんでそんなことが分か……」

>リョワ「双頭か?」

カホリ「そんなのどうでもいいじゃない。そんなことより、なんで分かるのよ。」

>リョワ「こんなの常套手段だろう。依頼人の仕事先を調べて、通販で買ったバイブを
依頼人に届けさせるよう仕組んだんだ。お前、少しはエロマンガ読め。」

カホリ「ま、まっぴらゴメンよ。」

>リョワ「さあショータイムだ……人妻が『ちゃんと動くか試してみなくっちゃ』
依頼人『え……?』人妻『ねえ、これを私のココに入れてみて……』」

カホリ「き、気持ち悪い声出さないでよ。」

人妻「ちゃんと動くか試してみなくっちゃ……ね?」

依頼人「え……?」

人妻「ねえ、これを私のココに入れてみて……」

カホリ「……。」

>リョワ「人妻『あうンッ……! イイ! スゴいわ……!』
依頼人『お、奥さん……』人妻『ハァッ……ン……ねえ、もう一本あるでしょ……?』」

カホリ「……。」

人妻「あうンッ……! イイ! スゴいわ……!」

依頼人「お、奥さん……」

人妻「ねえ、もう一本あるでしょ……?」

カホリ「アンタ、いつからジョセフ・ジョースターになったの?」

>リョワ「マズいな……人妻のフェロモンが予想以上だ。依頼人、我慢できるわけないぜ、あれは」

カホリ「え?」

依頼人『も、もう一本って……宅配の品はこれだけですが……』

人妻『んふ……何言ってるの……あるじゃない……ここに』

依頼人『あっ、そこは……ああっ……』

カホリ「……。」

>リョワ「投了だな。」

カホリ「ちょ、ちょっと、誘惑されっぱなしじゃないの。いいの? このまま放っておいて。」

>リョワ「計算通りだ。こっちもそろそろ終わる」

カホリ「何が?」

>リョワ「い、いやなんでもない……そっちは人の気配はないか?」

カホリ「ええ、今のところ誰も……ん、誰か来たわ。こっちへ来る」

>リョワ「よし……いくぜピンホールショット!」



バキューン!!



カホリ「キャッ! ちょ、ちょっと、トランシーバーの近くでぶっ放さないでよ。
鼓膜破れるかと思ったわよ」

>リョワ「膜が破れたのか?」

カホリ「意味深に聞き返さないでったら。で、なんで発砲したのよ。トチ狂ったの?」

>リョワ「オイオイご挨拶だな。……人妻と依頼人は部屋の中に入ったか?」

カホリ「え? ……ああ、いつの間にかドア閉まってるわね」

>リョワ「よし、今の銃声で、そろそろ他の住人どもが騒ぎ出してきた。引き上げるぞ ジー ザザッ」

カホリ「あ、ちょっと……もうっ。なんなのよ今回。」




カホリ「で……どういうことか説明してもらいましょうか」

リョワ「今回は依頼人が二人いた。一人が宅配バイト君、一人が人妻だ」

カホリ「え……」

リョワ「あの人妻は先月、夫を事故で亡くした。正確には未亡人なんだな。
で、あの歳で体が夜鳴きしないはずもあるまい? そこへ、向かいに住む宅配バイト君に目をつけた。」

カホリ「じゃ、じゃあ……」

リョワ「未亡人の依頼は、宅配バイト君の誘惑を成功させること。宅配に来て、
いきなりドアを閉めたら不審に思って逃げ出すかもしれないだろ? そこで、依頼人を
玄関前でその気にさせる必要があった。もし誘惑中に他の住人が通りかかりそうになったら、
俺が注意を引きつける予定だったというわけさ。通販バイブも俺の考えた作戦だ」

カホリ「銃声は合図だった……?」

リョワ「まあな。銃声が聞こえたら、即、部屋へ連れ込んで鍵を閉めろと言っておいた。
宅配バイト君も、銃声が聞こえたら外へ逃げようとは思うまい?」

カホリ「くっ……でもこれって、宅配バイト君の依頼を遂行してないんじゃ……」

リョワ「フ……果たしてそうかな?」




1週間後……


リョワ「カオリ、メール来たぞ。見てみろ」

カホリ「ん?」



『リョワさん、カホリさん、先日メールした者です。依頼はキャンセルということで
お願いしたいのですが、よろしいでしょうか……? もちろん、予定していた報酬額はお支払いします』



カホリ「これって……」

リョワ「な、上手くいっただろ?」

カホリ「あの未亡人と上手くやってるってこと?」

リョワ「正直、俺が相手したかったくらいだが、やっぱ若いのがいいらしくてなぁ。
リョワちゃん、フラれちった」

カホリ「二つの依頼が来た時に、一気にここまで考えたのね……」

リョワ「まあな。どうだ、報酬も二件分入って、依頼人二人ともハッピー。
俺ってゴイスー?」

カホリ「むむむ……シリーズ初めてオールハッピーなのが何か気にくわないけど……
まあ依頼人が喜んでるんだから、いっか……」

リョワ「さ、懐も潤ったし、メシでも食べに行くか」

カホリ「ちょっと待ってリョワ。アナタあの時、なんでベランダにいたの?」

リョワ「え。あ、ホ、ホラ、もしかしたらベランダから泥棒が入るかもしれないじゃん。」

カホリ「……怪しいわね。そういえばこの前、帰ってきた時にアンタ、このソファーに何か隠してなかった……?」

リョワ「え、な、何ソレ。」


ソファーのシートをめくるカホリ。溢れ出てくるランジェリーの山。


カホリ「リョワ……」

リョワ「ハ、ハハハ。ほ、報酬として貰ったんだよ。」

カホリ「報酬……? まさか、お金で貰うはずだった分を下着で貰ったんじゃ……
……いや、報酬として貰ったんなら、わざわざベランダから盗む必要もないし……
さては『貰った上に、さらに盗んだ』でしょ。」

リョワ「イヤン、カホリちゃんドイスル〜。あ。これって『鋭い〜』の業界読みね。ナハ、ナハ」

カホリ「……。」

リョワ「あ、な、なんか久々に見たな、そのハンマー。威力ありそうだよね〜ハハ、ハハハ。」

カホリ「試してみる?」



 -暗転-



(BGM『GET WILD』)


そこのキミも、ちょっと懐が潤った2人に依頼しよう!
掲示板に『XYZ』と依頼内容を書いてくれれば
2人がその依頼をこなします(多分)。メールでも可。
報酬は貴方の笑顔で十分です。
クサかったですか?
ただし、くだらない依頼限定。
心が震えるような依頼、待ってるゼ!!
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