2011年6月24日

DS『SIMPLE DSシリーズ Vol.42 THE 廃屋病棟 ~呪われた病院からの脱出~』レビュー

パッケージ


 2008年作品。

 半年前、4人の大学生がそれぞれ別の場所で不可解な死を遂げる。
 被害者が皆、自宅で心臓をえぐられるという凄惨な殺人事件であった。
 ジャーナリストである柏木 玲(かしわぎ れい)はこの事件の謎を追う過程で、
 20年前に起こった「坂の上病院連続殺人事件」の資料を入手する。
 大学生の凄惨な死と、坂の上病院連続殺人事件とのつながりとは?
 真相を求め、柏木は廃屋となった病院跡地へ足を踏み入れる……。


 DSで無性にホラーアドベンチャー的なものがやりたくなった時に調べてたら見つけたのがコレ。
 シンプルシリーズのひとつなので「そんなに面白いわけがない」という先入観があったのだが、なかなかどうして。
 この「なかなかどうして」っていう言い回し、なんかモヤモヤするよね。誰が考えたんだ。


■グラフィックがリアルでないことによる記号的な恐怖

「ホラーはリアルなグラフィックのほうが絶対怖い」という考えを持っていたのだが、そんな思考の壁にポコッと小さな穴を開けられた。
 DSだし、そんなリアルなグラフィックは期待できないだろうと思っていたら、映画『リング』の貞子みたいに「顔が見えないほうが怖い」こともあるわけで。
 このゲームにおける貞子みたいなキャラがいるのだが、「赤いワンピースに長髪を引きずる少女の霊」なんてのは、もうそれ自体がホラーの記号のようなもので、
 近づいてくるだけで結構ドキドキ。そういう意味ではDSでホラーもアリかもなァ……と思わされた。

 あと、半分くらい顔見えてるけど、これは思い切って見えなくして、鼻と口元だけ見せてたほうが怖かったかも。


■地味だけど結構怖い「隠れる」システム

 ゲーム中、上で書いた貞子みたいなキャラが出現するときに「隠れる」という要素があるのだが、これがちょっと新しかった。
 ロッカーの中に隠れて、内側から扉を押さえて音を立てずにジッとしてやり過ごす……という感じなのだが、プレイヤーに要求されるのは
「タッチペンで特定の場所をタッチしたまま "タッチペンを動かしてはならない" 」という操作。
 ちょっとでも動かしたり、画面からペンを離してしまうと即ゲームオーバーに。

 ドックンドックンという鼓動音が聞こえる中、上画面で確認できる、付近をさまよう霊。
 下画面でタッチペンを押さえてるわけなのだが、下画面の画像が時々動くのがいやらしい。
 まるで「あれ? タッチペン動かしちゃったかな?」と錯覚させるような。

「隠れる」という要素があったホラーゲームといえば『クロックタワー』だが、あれよりも「隠れてる時のドキドキ感」が強くて、いい感じ。
 もしDS本体に振動機能があったらもっと面白かったかもしれん。
 小さい丸の中をタッチペンで押さえて動かしちゃいけないんだけど、振動でちょっとずつズレていって慌てたりとか。


■アドベンチャーと3Dとタッチペンの親和性

「画面上に見えるものを調べていき、アイテムを入手する」という従来のアドベンチャーゲームのスタイルにタッチペンを加え、3Dにする。
 これ自体は他のDSのゲームにもあったと思うが、個人的に「これはいいな」と思ったのは、タッチペンで360度視点をグルグルまわせることと、その視点移動のスピードが結構速いこと。
 ※他のゲームですでに採用されてて俺が知らないだけだったらゴメンチャイ。

「360度まわせる」という点で3Dにする必要・意味があるし、タッチペンのスライド速度によって視点移動速度も変わるので、
 素早く後ろを見たり、ゆっくり見回したりといった操作の使い分けができる。
 視界の隅になんか変なものが見えたな、と思ってタッチペンでクイッと視点を上にしたら霊とモロに視線が合って「うおっ」とビビッタことも。

 ただ、棚と床の隙間にカギが落ちてることがあったのだが、これの発見が難易度高かった。
 そもそも、タッチペンで調べたら何かが起きそうとは思えない箇所で、棚には戸がついているため、隙間を調べようとすると棚の戸を調べたことになることも。
 せめてオープニングのあたりでチュートリアル的に「棚と床の隙間を調べたら何かを見つけた」みたいな事が1回でもあると、以後、そういった隙間に注意を払うようになると思うんだけども……。
 それか、「しゃがむ」などの行動が欲しかった。

 FPSの視点のように3D空間を自由に動き回って調べられるのではなく、棚をクリックしたらそこにカメラが寄っていくようなタイプなので、
 クリックポイントがシビアな場所だと詰まりやすいという弱点はある。


■攻略メモ

 ・2周目のラスボスについて

「ワームに人面が現れたときに懐中電灯の明かりを当て続けるとダメージ」

「何度か繰り返すとワームがイカダを飛び越え、鉄の棒が落ちてくる」

「次に人面が出てきたときに、鉄の棒を装備して人面を叩く」

クリア

 ……となるはずなのだが、いつまで経っても「イカダを飛び越える」が起きず、30分くらい延々と戦っていた。
「これは絶対おかしい」と思い、一度電源を切って再開した後、今度はカメラを装備した状態で同じことをしていると、イカダ飛び越えが発生。その後は無事にクリアできた。
 たまたま起きたバグなのか、カメラ装備が条件だったのか……。

 でも30分くらい戦ってたとき、「もしかしてカメラか?」と思って、カメラ装備にしてたときもあったのよね……。
 今後プレイする人で、もし同じ症状が出たら、一度電源切ってから再開してカメラ装備で挑んでみて下され。

・懐中電灯を持っていないと最後の扉の向こうへ行けず、ラスボスと戦えない。

 少年が出てくる部屋にある鏡の上の戸棚から入手しておくこと。


■総括

 グラフィックパワーに頼らないホラーという意味では掘り出し物だった。
 やや中だるみを感じさせる場所もあったが、廃屋となった病棟という舞台と殺人事件という魅力的な素材が持つ牽引力は、最後まで遊ばせるにはギリギリセーフ。
 殺人事件の謎をもうちょっと、少しずつ明かされていくように散りばめていれば良かったんじゃないかとは思う。
 寝る前に布団の中でちょっとずつ進めていって、腕が疲れたら寝るつもりで始めたゲームだったので、個人的には満足。
 逆に、「一気にクリアするぞ!」と意気込んでやると、中盤でダレると思う。


 殺人事件の謎で思い出したけど、坂の上病院の事件と大学生の事件のつながりは結局明かされない。
 い、意味がわからねえ……。続編を仄めかすとかいうレベルじゃねーぞ。

 でも、パッケージにはこう書いてある。
「亡者たちが徘徊する廃屋病棟に潜入し、連続殺人事件の真相に迫る!」


パッケージ

 確かに、解明はしていないけど真相に迫りはしたな。
 殺人事件にトリックはつきものだが、さしずめ本作は叙述トリックというところだろうか。


 でも、パッケージ裏を見てみると……


パッケージ

パッケージ


 ア、アウトー! しかもダウトー!



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