2011年7月 3日

Xbox LIVE アーケード版『勇者30』レビュー

30


『勇者30』は、「30秒で魔王を倒せ」をコンセプトに、2年前にPSPで発売された超速RPG。
「RPGは時間がかかるもの」という概念をブッ壊し、それでいて決してネタ先行ではなく、ゲームとしてしっかり面白い作品だった。

 世界地図を小さいエリアずつに区分けした感じで、エリアごとに存在する魔王を倒していくのが目的。
 魔王は世界を滅ぼす「破滅の呪文」の詠唱に入っているのだが、詠唱完了に30秒かかるため、この間になんとかしようという話。
 1エリア終わるごとに、普通のRPGで言うところの「街で起こっている事件」を解決してスッキリしたような達成感を味わえる。

 とは言え、30秒だと足りないことが多いので、時間を30秒巻き戻すことができる時の女神の力を借りて勇者をレベルアップさせたり試行錯誤してクリアを目指すのだが、
 時の女神はお金を払わないと巻き戻してくれないし、エリア途中でセーブなんてできない。
 ハイスピードで敵と戦ってレベルアップしつつお金を稼ぎ、30秒ごとに迫り来るタイムリミットのために支払うお金を残しておきつつ、クリアに必要な武器防具を購入したり、HP回復にもお金を使う。
 これら一連の流れを一呼吸で行うのが本作の核だ。

 それでも実質2~3分あれば1エリア終わるので、時間に対する満足度が凄まじい。
 寝る前にちょっとやるか程度のパズルゲームより速くて、それでいて、ちゃんと「RPGをやった」感があるのがスゴい。
 RPGにおいて「何が気持ち良いのか」、そのツボを的確に突いている。


 というわけで先日配信されたXbox LIVEアーケード版『勇者30』である『HALF-MINUTE HERO』。
 グラフィックに「ネオカートゥーンモード」が選べること以外はPSP版の移植。
 ※追記:新規クエストの追加がある模様。


女神 女神

戦闘 戦闘

北国 北国

グラフィックは、レトロモードとネオカートゥーンモードが選べる。
せっかく新しく描き起こされたネオカートゥーンモードだけど、個人的にはレトロモードのほうが、この作品の持つ "適当感" が出ていて好きだ


 今回、オンラインで対戦モードを初めてプレイしたのだが、これが予想以上に面白かった。
「わざわざそれで遊ぶためにPSPを持ち寄って友人3~4人が集まる」なんて状況は我々の世代だともう有り得ない事なので、携帯機だと絶対体験することがなかったと思う。

 対戦モードのルールは、「誰が一番速く魔王を倒すか」。
 ……と聞くと単なるタイムアタックに見えるが、本質は『桃鉄』に近い。
 ターンを待って行動するのではなく、全員同時に動き回る桃鉄。

 実際は30秒でケリはつかないので、時の女神の力を使って本編同様にレベルアップに勤しんだりするわけだが、この「過程」が醍醐味。
 街で武器や薬草が売っているが、在庫が1つしかないため、先に買ったもん勝ち。洞窟には宝があるが、これも早い者勝ち。
 じゃあ単なる一本道の競争かというとそうではなく、レアアイテムを落とす敵を狙ってウロウロしたり、店も洞窟も無視して素手でレベルアップのみに集中したりと、人それぞれの攻略法がある。

 基本的にこの世界は30秒経ったら滅亡するので、30秒ごとに、街にある女神像まで戻って時間を延長するかしないかの選択を迫られるのだが、誰かが延長すれば、それは全員に恩恵がある。
 延長しなければ、全員スタート地点に戻されてレベルも少し下がって装備品全部失って再スタート。軽いリセット状態になる。

 誰かが魔王に突撃したとして、「クソッ、今から自分が行っても間に合わない」と判断した場合、時間切れもしくは魔王に敗北することを祈って、
 あえて延長せずにレベルダウン・装備ロストを受け入れてスタート地点に戻すという駆け引きもある。
 3人でやっていたのだが、魔王に誰かが突撃した場合に、残りの2人が示し合わせたように時間延長無視する阿吽の呼吸が面白い。
 全員の強さが拮抗している場合は、誰かが魔王に突っ込んだのを見るや否や、完全に漁夫の利狙いで魔王に突っ込んだりも。

 戦闘はポコポコと殴り合うような感じなのだが、他の人も殴り合いに参加できる。
 だが、殴り合いに参加すると、敵の攻撃力とこちらの防御力に応じたダメージを受けるので、あまりにも適当な強さと装備では、こっちがすぐ倒されてしまう。
 漁夫の利、略してギョフるためにも、それなりの準備はしなければいけないのだ。

 トントン拍子で武器防具も揃って強さもいい感じになった人が居たとして、こっちが全然ダメなときは時間延長せずに一度リセットしたい。
 でも放っといたら自分で延長するだろうな……という場合、残り5秒切った時点で女神像の前で待機し、
 延長するかのように見せかけてそのまま何もしないという、ノーテンリーチみたいな作戦も。
 ギリギリで延長しに来たけど、すでに誰か待機してるから「ああ、あの人が延長するんだな。なら、お金もったいないし、任せよう……」と思ってたらリセットされて
「ああー! 良い武器手に入ってたのにー!」とか。
 相手の装備はグラフィックで判断できるので、魔王に太刀打ちできる武器防具が揃ったかどうか、なんとなく相手の進行度が分かるのも面白い。


 短時間ながら細かい駆け引きが無数に存在し、何度やっても、なかなか飽きない。
 本編も斬新だったが、対戦モードもよくできている。
 何かと時間のかかるゲームが多い中、1人でやってもみんなでやっても短時間で楽しめるというのはスゴい。
 と同時に、30秒という短い時間は意外といろんなことができるもんなんだなと気付かせてくれた。

 携帯機向け……というか元々はケータイのゲームだが、オンライン対戦という側面から、据え置き機で出すことの意義も見えた。
 ハイスペックを要しない性質のゲームなので、ハードを問わずにリリースして、異種ハード間でも自由にオンライン対戦ができたりすると、ユーザー層は広がる気がする。


 8月にはPSPで続編が出るようで、マップエディットモードがあると聞いて期待大。
 でも積みゲー多いしなァ、どうするかなァ、などと悩んでいるうちに、軽く30秒が過ぎ去っていくのだった。



[HALF-MINUTE HERO(勇者30)] | コメント (3)


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