2018年2月23日

PS4 / PS Vita / Windows『聖剣伝説2 Secret of Mana』

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 ネット上では、すでに炎上に近いレベルで酷評を受けている、リメイク版『聖剣伝説2』。
 前作の時点で、シリーズを再始動するには不安の色が濃いデキだったので、個人的には大して驚いていない。
 内製か外注かは知らないが、今の聖剣スタッフに対してはリメイクのデキ云々以前に、技術的な不安がスゴい。

 ネットの評判を見ていると、まず大量のバグが大問題になっていて、その次に、アレンジされた音楽の不評、という感じ。
 音楽に関してはオリジナル版との切り替えが可能になっているので、傷は浅い。
 バグに関しても、さすがにアップデートで修正していくと思われるので、最悪のスタートではあるが、
 現在騒がれている点は、そのうち沈静化するのではないかと思われる。

 本当の問題は、それ以外の部分だ。

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 前作のリメイクのように、イベントシーンがキャラの立ち絵だけということはなくなり、
 力が入っているのが分かって良い……のだが、キャラクターもボイス付きで喋るのに、まさかの口パクなしという所業。
 ランディは、この半開きの口のまま、「お~い、皆 待ってくれよう」と喋る。
 金髪はボブ、三角帽子はネスだが、彼らもそれぞれ、への字口、口閉じのまま喋る。
 キャラクターが口を開けたまま、あるいは閉じたままで身振り手振り喋る姿は、いっこく堂を見ているかのようだ。
 なんというか、力を入れるべき所と抜くべき所の選別判断が……。

 そして、これだけは書いておきたい。
 前作もそういうところがあったが、開発陣がリングコマンドの意味をまったく理解していない。

 リングコマンドは、「現在のゲーム画面」を薄暗く表示しつつ、キャラクターを中心にアイコンを配置することで、
 現在のゲーム画面の情報を極力遮らずに、どのキャラクターのコマンド選択中であるかを
 視覚的に把握しやすくすることが利点のシステム。
 ドラクエのように階層ごとにウィンドウをいっぱい開いたり、場合によっては画面そのものを
 アイテム画面など別のものに切り替えて現在のゲーム画面から一旦切り離してしまうものが多い中、
 これは当時、画期的だった。

 それから25年経ってリメイクされたものが、これだ。

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 リングコマンドの真ん中にキャラが来ておらず、ただ単に画面の真ん中にメニューをリング状に並べている。
 この場合のリングの意味って、何だろう。少なくともこれは『聖剣2』のリングコマンドではない、別の何かだ。

 これはランディとポポイの2人パーティー状態だが、リングコマンドをランディからポポイに移動してみよう。

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ランディ

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ポポイ

 ほとんど間違い探しだが、分かるだろうか。カーソルの色が水色なのがランディ、緑色がポポイである。
 リングコマンドがそのキャラ中心に移動しないという時点で衝撃だが、
 現在選択中のキャラを、なぜこんなに分かりづらくしたのだろう。
 リング自体をキャラ中心に展開して、選択中のキャラに応じてリングの位置をそれぞれのキャラに移動することが、
 なぜできなかったのだろうか。

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Wii U のバーチャルコンソール版『聖剣伝説2』より。
リングコマンドはこのようにキャラクターの周囲に配置され、選択したキャラクターに応じてリングごと移動する。


 一応、良い点もある。

・『聖剣2』のダッシュの性能はクセがあり、使いにくい印象が強かったが、「普通のダッシュ」になった。
・前作は、見た目は3Dなのに当たり判定が2Dになっているボスなどがいて、
 「アクションRPGなのに距離感がおかしくなる」という致命的な欠点を抱えていたが、
 今回はちゃんと当たり判定が3Dになっている。

 ……いかん、2つしかない。しかも後者は当たり前のことだった。

 ・ ・ ・

 音楽面についても少し書いておこう。

 今回の一部の曲は、曲が主張しすぎていて、ゲームミュージックであることを忘れている気がする。
 村や町の曲「夏の空色」は、本当にやかましい。このためだけにオプションで音量を下げようかと思ったくらいだ。

 

 元は、村や町を散策しているときに流れていた、ホッとする感じの曲だったが、
 今回は途中からお祭りでも始まったのかというほどに重低音で「ド! ドド!」と攻撃的なサウンドになっている。
 海外ではすでに YouTube で流されていたりするのだが、そのコメント欄では
「OH NONONONONOOOOOOOOOOOOO」
「I want to die.」
「What the hell,kikuta... what were you thinking. (なんてこった、菊田……一体どうしたんだ?)」
 と、だいたい日本と同じ反応。「wow they raped it hard」というコメントもあり、
 日本でよく言われている「原曲レイプ」すら世界共通語かよと驚かされる。

 これがアレンジアルバムに収録された曲なら別にいいと思うが、当時の感動を現代に蘇らせるための、
 どちらかというと原作に忠実な方向性のリメイク作品で、こういうアレンジはマズいんじゃないかと思わされる曲が多かった。

 今回の『聖剣2』の曲群は、複数の作曲家がアレンジャーとして参加する形になっている。
 そのせいもあって統一感はなく、上記のような問題も出ているわけだが、一番の問題はそこではない。
 各作曲者たちは、おそらく曲しか聴いていないのではないか。その曲に合わせてゲームをやってみていない。
 サントラなどでその曲だけを単独で聴くことを前提として曲を作っている気がする気がのだ。

 当時はボイスがなく、フィールドでザコ敵と戦うときは、敵を攻撃した音と BGM のみが響いていた。
 おそらく、そのおかげもあって、各 BGM が強く心に残っていたのではと思う。
 今回は武器を振るうときに「せやっ!」などの掛け声が入り、しかもそれが3キャラ分。
 結果、BGM を遮りまくりで、少々やかましく感じる。しかも、その BGM も主張が激しいわけで。
 ゲームを構成する各要素たちが協調しておらず、全員が「俺が俺が」と前へ出ようとしている感じだ。

 音楽は人によっては感じ方が違うものだし、昔と同じにするなら、作り直す意味がない。
 今回はオリジナル版を手掛けた菊田氏が編曲を担当している曲も多いのだが、それが不評になっているものもある。
 同じ漫画家でも、昔と今で絵柄が違ったりするわけで、これは本当に難しい問題だろうなぁと思う。

 個人的には『シークレット・オブ・マナ・ジェネシス / 聖剣伝説2 アレンジアルバム』のノリで全曲作っちゃえば良かったんじゃないの、
 と思っているのだが、世間的にはこのアルバム自体が不評の部類のようなので、これまた難しい。正解がない。

 ただ、オリジナル版が優れていると感じる点は、メインメロディー部分が聴き取りやすいこと。
 当時は使える音色にも音数にも限りがあって、要らないものは極力削ぎ落す必要があったわけだが、
 それらが制限なく使えるようになった今、その成果がよく分かるというか。

 ・ ・ ・

 とりあえず、致命的なバグがいくつかあるようなので、アップデートを待ってから、最後までプレイしたいと思う。


●後日追記

 ●アップデート(Ver.1.02)配信開始のお知らせ

 基本的にバグへの対処だが、一部、リングコマンドが改修されているようなので、見てみる。

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ランディ

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ポポイ

 リングコマンドの中心に選択中のキャラの顔グラフィックをねじ込むという力技で対応。
 まあ、この短期間でできることといったらこれくらいだよな、とは思う。
 少なくとも、選択中のキャラが誰なのか分かりづらい問題はマシになった。
 ただ、ここまでくると、もはやコマンドをリング状に配置する意味自体がない気もする。
 アナログスティックを倒した方向でコマンドを選べたら、アクセシビリティが高まったのだが……。

 なお、装備画面でのカーソルのデフォルト位置がゴミ箱なため、装備品を間違って捨てそうになる問題とか、
 防具屋で買い物の際、現在装備中の物との防御力の変化が見れないという、今時ありえない仕様はそのまま。
 






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2016年2月 7日

iOS / Android / PS Vita『聖剣伝説』レビュー

 一昨日に配信開始された『聖剣伝説』だが、発売日になるまで、すっかり見落としていた。
 俺ともあろう者が何故……と思ったら、PS Vita版も配信オンリーで、パッケージ版がないのであった。
 つくづく、ダウンロード版オンリーのゲームは店頭に並ばない分、「発売を知ってもらう」ことが大事だよね……と痛感。

 んで、『聖剣』ファンとしてカカッと購入して半徹夜でクリアしたったので、久々に大ボリュームレビュー。


 GBAの『新約 聖剣伝説』で「あれ……?」となり、『4』で完全に躓いてしまった『聖剣』シリーズ。
 奇しくも同時期に『アンリミテッド サガ』で『サガ』シリーズも似たような状況になっていて、
 2000年代初期のスクウェア・エニックスは迷走の時期だった。

 それから十数年の時を経てリメイクされたわけだが、今回のリメイクには意義がある。
『聖剣伝説』をシリーズとして再始動させるには、今の時代に合わせた1作目を作ることは必須事項。
 GBAの『新約 聖剣伝説』は別物であることや、それ以外だとゲームボーイ版の初代かケータイアプリ版しかない。
 つまり、『聖剣』を遊んだことがないという人にオススメしようにも、遊べない状況だったといえる。

 公式サイトを見ると分かるように、いかにも今の時代に合わせた絵柄の変更や、
 リングコマンドが導入されていたり、キャンセル音などの効果音が『2』っぽかったりするので、
 統一性を持たせて『2』『3』と出してシリーズを復興させていくための試金石のようなソフトなのだろう。


 で、どうだったのかというと……個人的には、"ややビミョー" な印象を受けた。

 まず、敵を攻撃したときの手ごたえが今ひとつ感じられない。
 アクションゲームでは大事にすべきところだと思うのだが、効果音もショボい上に、
 敵の挙動も「今の攻撃は当たった……よね?」と尋ねたくなるような、よく分からない動きをする。
 ゲームボーイ版では敵へのダメージと撃破は「デュクシッ」「チュデュン」とスゴい耳に残る効果音だったので、余計そう感じる。

 こっちがダメージを受けたときも、まるでドアを閉めたときのような音が低く鳴るだけで、
 あんまりダメージを受けた感じがしない……と思ってHPゲージ見たらエラい削られてて焦ったりする。
 ボスを倒したときも、チュドドド……と爆発するようなエフェクトなのに無音のときもあるので、違和感がスゴい。

 ……しかし、公式サイトにある動画などを見るとそんなことはなく、音にちゃんとメリハリが効いていたので、
 PS Vita版特有の問題なんだろうか……? インターフェイスを見ても、スマホ用に作られたものを
 後からPS Vita用に落とし込んだ印象が強いので、何かが上手くいってないのかもしれない。
 オプションに「BGMボリューム」と「SEボリューム」があるけど、最大の100%にしても小さく感じる。

 この点に関してはiOS版などとは異なる可能性もあるので、このレビューはあくまでPS Vita版での感想として受け止めて頂きたい。


●新生『聖剣』は、どう変わったか

 元がゲームボーイ作品なので、さすがに見た目はガラッと変わったが、それ以外は良くも悪くも原作に忠実。
 見下ろし型の画面、1画面ごとの画面切り替えもそのまま。



レベルアップ時のコレまでそのまま


 ただし、見た目は3Dだが当たり判定は2D臭いボス敵が何体か居て、納得いかないことが何度かあった。
 ヘタに3Dにして高さや奥行きを感じさせたのが命取りになっている気がする。
 遠近感が狂うので、この点はなんとかしてほしかった。

 一方で、逆に当たり判定が3D化していることによる新たな問題もある。
 階段などの高低差が生じている場所で、高さが低いほうから高いほうへ向かって攻撃すると攻撃が一切、敵に当たらない。
 階段を上がっているときに敵と出くわしたら、1回下がって画面を切り替え、敵が消えていることを祈るしかない。
 しかし、くさりがまやモーニングスターなどの振り回し系武器は当たる。
 ゲームとしての処理は3Dなのに、見せ方を無理矢理2Dにしていることで細かい問題が出てきているように感じた。


この状態だとキケン


 せっかくのリメイクなのに、原作の素っ気なさもそのままだ。
 こういった点やポリゴンキャラの造形を見るに、DS版のサガ2リメイクを思い出す。

 ドット絵時代、キャラクターは表情すら変わらない "記号" だったからこそ通用した素っ気ないセリフも、
 映像だけ豪華にすれば、違和感まみれになる。
 レスターとの会話シーンで例のたいへんショックな出来事を伝えているときも、
 表情は一切変わらないうえに、セリフ上でもまったくショックを受けてない感じで、どうにも違和感があった。
 ゲームボーイ版の頃はキャラの落ち込んだ表情やセリフの行間を想像していたものだが、
 今回のように顔グラフィックどころか全身図を堂々とアップで描くのであれば、何らかの変化は欲しかったところ。


ボガードと口論になるシーン。ボガードは多分、全編通してこの表情1枚しかない。
当時も、落ち着いた老騎士が突然「バッカヤロー!」と言うことに驚いたものだが、そこも原作に忠実。


 人気の高い作品のリメイクでは、ちょっとした追加要素が批判の的になることが多い。
 DS版のサガ2リメイクもそうだったが、中途半端にセリフが追加されたり、中途半端に原作に忠実で素っ気なく、
 中途半端に新規演出が入ったりして、スゴいイビツなものに仕上がっていた。
 そういったことを恐れて、特にセリフ関係は極力、原作のままにしたのだろう。
 ヘタにいじるとロクなことにならないので、ここの判断は評価したい。

 ただ、せっかく3Dのポリゴンモデルを新規に作った割にはイベントシーンは紙芝居に近く、
 必要最低限の会話が紙芝居度に拍車をかける……という結果になっている。
 原作を大事にするのは結構なのだが、キャラクターの表情・モーションだったり、イベントシーンの演出の "間" などは、
 もうちょい攻めてほしかった。

 ただ、ブラッドソードを装備して町の人に斬りつけるとHPが回復するのまで忠実に再現してたのは、ちょっと感動した。


●"ハーフリングコマンド" ……?

『聖剣2』から登場したリングコマンド。統一性を持たせるためか、この新生『1』にもこれを導入……
 ……したのだろうけど、ちょっと「?」と感じる点がある。
 そもそも皆、『聖剣2』のリングコマンドの利点をちゃんと分かっているだろうか。

 最近はFPSなどでもリングコマンドのようなものがあるが、あれは目的のものにアクセスする速度を高めるのが目的。
 中心から全方向に選択できるため、キーを押す回数が減らせるというメリットがあるモノだ。
 たとえばタテに並べたら上から5番目に来るモノを選びたいとき、カーソルを下に4回押す必要があるところを、
 このリングコマンドなら1回でいいわけだ。

 しかし『聖剣2』のリングコマンドは違う。中心から全方向には選択できないので、操作のショートカットが目的ではない。
 アクションゲームがゆえに必要な「メニュー操作中も自キャラの姿を隠さない」ことと、
 「文字情報を極力排除して、画面を遮るものを最小限にすること」を狙ったものだったはずだ。

 アクションゲームにおいて "プレイヤーが自身の位置を把握し続ける" というのは重要なことで、
 ゲームボーイ版のように、装備変更やアイテムの使用をするたびに別画面に切り替えていては、
 現在の自分の状況を一旦視界から消すことになり、切り替え後に思わぬ操作ミスをすることもある。

 たとえば、敵が複数の方向から同時に来ているとき、HPが危なかったのでとりあえずアイテム画面を開いて回復したとする。
 で、慌てていたので「あれ? どっちへ逃げようとしてたっけ……」と忘れてしまい、アイテム画面を閉じて
 改めてゲーム画面を見てから判断することになるわけだが、「見る→ああそうだ、右上だった→移動開始」としている間に
 敵の攻撃をくらってしまい、さっきの回復が無意味に……という感じのミスである。

『聖剣2』のリングコマンドは、そういったことを防ぐために現在の画面を暗く表示し続けたうえで、
 プレイヤーキャラを取り囲むようにコマンドをアイコンで表示することで、この問題を解決した。
 これなら自分がいまどういう状況か、敵がどの辺りに居るかが常に把握できるので、先述のようなミスはまずない。
 副産物だったとは思うが、アイコンによって武器などは形で直感的に把握できたのも利点だっただろう。


バーチャルコンソール版『聖剣伝説2』より。こんな感じ


 しかし今作の "ハーフリングコマンド" は、どうもその辺りを勘違いしているように思う。
 リングコマンドを出すと現在の画面を暗く表示したうえで……というところまではいいのだが、
 画面中央にデカデカと主人公の姿を配置して、全力で画面を遮りに来ている。


み、見えねー!
なお、キーの右を押すことで右半分のリングが出てきて、16個のアイテム欄を8-8に分けている


 そして肝心のリングコマンドは画面端に追いやられ、"ハーフリング" の名の通り、リングを半分に割ったものだから、
 単に半円形に配置しただけのものとなっている。
 これ、普通にアイテムを8個ずつタテに並べて、左右のキーでページ切り替えするのと同じことだろう。

 スマホで遊ぶ場合、操作しやすい右手の位置にコマンドを持ってくるのは至極当然のことだと理解はできるが、半円形に設置するメリットはない。
 しかもPS Vita、特にVita TVで遊ぶ場合、このシステムは完全に謎の存在となる。
 だって、十字キーの上下でアイテム選ぶから、タテに並べてるのと同じなんだもん……。


●バグ、もしくは「これマズいんじゃないの」と思われる仕様

 いろいろあったので、ちょっと箇条書きにしてみたい。

 ●中断データをロードするときの初期カーソル位置が「いいえ」。
  中断データはひとつしかなく、タイトル画面でコンティニューを選んだ時点で
  このデータを使って再開しようとしてるのは間違いないんだから、ここは初期位置を「はい」にすべきだろう。
  データがひとつしかないんだから、そもそもデータ選択画面に飛ばす意味もない。
  このせいで、ボス戦でやられて再戦したいときにボタン連打でいけない。
  
 ●何故そんなに時間かかってるのかがよく分からないデータロード時間。
  セーブデータ選択画面からキャラを動かせるようになるまで約12秒かかる。
  ボスに負けてすぐ再戦したいときなど、この待たされ感はキツい。
  まさか、またボス戦のステージのデータを1から読み込み直してるのか?

 ●方向キーの感知がおかしい。真上・真横を向いたつもりでも、ほぼ確実に斜めになっている。
  特にボス戦でおかしいことが多く、ボスに向かって武器を投げるタイプのMAX攻撃がスカるスカる。
  真横にボスを見据えて、オリャー! と投げたら斜めに飛んでいく武器。
  スティック操作だからイカンのかと思って十字キーで確実に入れてみても、やっぱり斜めであることが多い。

 ●その時点での最強防具で全身を固めてるのに、一撃で最大HPの半分もっていかれるボスも居れば、
  ノーダメージで15秒未満で倒せるボスも居たりと、どうもバランスがおかしい。
  シャドウナイト戦なんて、開幕旋風剣でいきなり終わったぞ。

 ●グランス城に居る道具屋はベッドの近くに居るため、話そうとしても自動的に寝てしまい、
  道具屋がベッドの近くから移動するのを待つしかない。
  これ、人によっては「コイツは宿屋の主人で、話しかけることはできないんだ」と勘違いしないだろうか。

 ●敵が普通に岩壁をすり抜けて行くことがある。めり込むんじゃなくて、マジですり抜けて移動する。
  普通のゲームだったら「通り抜けられる壁のヒントか!?」って感じになるが、別にそんなことはなく。
  ちょっと適当に作りすぎな気が……。

 ●スイッチによって "滑る床" が消滅する仕掛けの場所で、消滅後、床のグラフィックがおかしくなる。
  テストプレイすれば一発で気付きそうなものだが……。


赤丸で囲んだ部分の "滑る床" は、本来消えているはずの状態。
写真ではグラフィックがおかしくなっていることしか確認できないが、実際はこれに加えて点滅もしている


 ●チョコボットで海から桟橋に上がる際、桟橋上に敵が居ると重なって動けなくなる。


チョコボの下にカニが居る。まったく動かせない状態


 しばらく待っていたら、カニが海へ旅立って動けるようになったのだが、
 本来このカニは海には行かないはずの敵なので、これはこれでマズい気がする。


カニ、海へ……


 ●盾に関する説明がどこにもない。
 『聖剣伝説』の盾は防御力が上がるのではなく、正面から受けることで特定の攻撃を回避できる、というもの。
  これの説明が、マニュアルにもない。

  ゲームボーイ版の攻略本によると、敵の攻撃がタイプAからFに分類されており、
  上位の盾になるほど、より多くの攻撃を回避できるようになっている。
  当時もこれは攻略本を見るか、ひとつひとつ自力で検証するしかなかったので、
  こういうせっかくのリメイク機会に、ゲーム内で分かりやすく確認できるようにしてほしかった。

 ●メニュー画面でのアイテム説明確認が不親切。
  初見で「モンキーベイビー」が何のアイテムか分かる人なんて居ないだろう。
  画面左下の虫眼鏡をクリックしてからアイテムをクリックすることで、それがどんなアイテムなのか確認できるのだが、
  画面下に説明するためのウィンドウがあるのに、常に「アイテムリング 方向キーでセットするアイテムを選び、○ボタン」
  と表示し続けている。アイテムにカーソルを合わせた時点で自動的にそのアイテムの説明をウィンドウに出すくらいはできると思うのだが……。


さっきと同じ写真で恐縮だけど、画面下のウィンドウの内容に注目。
アイテムの説明をここに頼むよ……


 ●画面切り替えの際、時々フリーズしたのかと思うような画面停止がある。
  移動後の画面に敵が多い場合などに頻発するので、
  これは単純に、移動後の画面のデータを画面切り替えしてから読み込み始めているっぽいのが原因だと思われるが、
  エリア境界付近にプレイヤーが近付いた時点で先読みするなどはできなかったのだろうか。メモリが少ないとキツいのか?
  スムーズな画面切り替えはこのゲームでは結構大事だと思うので、なんとかしてほしかった。
  チョコボットで世界中を探索するようになると特にそう感じる。

 ●画面切り替え直後の主人公の位置に敵が重なっていて、問答無用でいきなりダメージを受けることがある。
  回避手段がなく、完全に運なので理不尽感がスゴくてキッツイなあと感じたのだが、ゲームボーイ版でもこうだったっけ……?

 ●あと、原作に忠実にするのはいいけど、マトックで壊した壁くらいは画面切り替えて戻ってきても壊れたままでいいと思うんだ……。


 なんだか悪い点ばかり挙げることになってしまったが、良い点もある。
 たとえ死んでも、直前で自動的に中断データが作られていて、死ぬ直前からやり直しできるようになっていること。
 これは文句なしに良いアレンジ点。これに何度救われたか。

 ゲームボーイ版もそうだったかどうか記憶がもうあやふやなのだが、そのときに手に入る最強ランクの防具を装備していても
 ザコ敵からの被ダメージが高すぎて妙に死にやすいので、このコンティニューシステムはホントに助かった。
 ただ、上でも挙げているが、データロードがちょっと遅いので、せっかくリトライしやすくなっているのに、
 データロード時間で待たされるのは惜しい。
 死んだ瞬間、そのマップに入ったところからすぐリトライできるようなものを搭載してくれていれば文句なしだった。

 あと、チョコボがカワイイ。『チョコボの不思議なダンジョン』の頃を思い出す、丸々とした可愛さ。


カワイイ


 乗ると、ちゃんとクチバシに手綱がつくのも芸が細かい。なんか、スッポ抜けそうだけど。
 FF11や14などに見られるリアルなチョコボは手綱がついているのを見たような覚えがあるが、
 このデフォルメ型チョコボで手綱ついてるのは珍しいかもしれん。
 でも、卵から孵って即、人を乗せて走れる生き物って怖くね……?


●音楽面

 音楽も新たなアレンジになっているのだが、正直、数あるアレンジの中でも一番の正統進化形のような気がする。

 GBA版で「ど、どうした、イトケン……?」、アルバム『Re:Birth / 聖剣伝説 伊藤賢治アレンジアルバム』でも「う、うーん……?」となり、
 "イトケンの思い描く理想の『聖剣』ミュージック" と、"ファンたちの心に刻まれた『聖剣』ミュージック" との
 乖離の凄まじさを思い知ったものだが、ここへきてようやく、「これじゃね……?」という近さのものが来た感じ。
『Re:Birth』で名曲「聖剣を求めて」がダンスミュージックになってたときはどうしようかと思ったよ。

 ファイナルファンタジー用語辞典wikiからの引用になるが……

「これまで誰かに言われるままに旅をしてきたヒーローが、アマンダやヒロインを守れなかった自責、
 ボガードとの口論などで挫折しかけるが、サラからのボガードの本心の告白や自分を助け犠牲になったと思ったチョコボが
 チョコボットになり生きていた事などで立ち直り、初めて自分の思いを胸に戦いに赴く事になる。
 そんな決意を思わせる勇ましい曲であり、プレイヤーの心にもより激しい戦いとなる後半戦を乗り切る勇気を与える曲でもある。」

ファイナルファンタジー用語辞典wikiより抜粋)

 まさにそうなんだよ。派手さは抑えた、主人公の静かな怒りと決意を秘めたカッコ良い曲だった。
 それを途中で「ポーゥ!」とか聞こえてきそうなダンスミュージック仕立てにされたら、
 いかにアレンジの一環と言われても、「聖剣を求めて」が初めてかかったときのあの気持ちと思い出を茶化された感じになるわけで……。

 ただ、今作の音楽は、聴く限りではイトケンらしくない音色の使い方や、全体的に妙に音が軽い印象を受けるので、
 実際に曲のアレンジを手がけたのは違う人なのではなかろうか。
 3月30日にサントラも出るのだが、説明のところは「監修」ってなってるしな……。
 でも、もしかしたら監修のほうがいいのかもしれん……と思わなくもなかったり。
 多分、このアレンジは旧ファンにも比較的好評な気がする。


●トロフィー

 さほど難しくはなく、総合的にカンタンな部類。
 ……なのだが、現在、トロフィーにバグがあり、コンプリートできない状況になっている。
 スクエニのサポートに突撃した人のメールらしいが、こんな画像が上がっている。
 まあ、いずれ修正はされるようで何より。

 ストーリーをひととおりクリアして、店で売っている鎧と兜と盾とアイテムをすべて買って(「手に入れたことがあればいい」ので、売ってもいい)、
 武器と魔法を全部揃えて、レベル99にして、全ステータスを99にすればコンプ。
 注意点としては、レベルアップのときのタイプ選択は「戦士」と「魔導士」だけで上げていくこと。
 こうしないとレベル99になったときに全ステータス99にならない。
 武器・鎧・兜・盾コンプは「1度手に入れたことがあればいい」ので、ちゃんとお金を貯めて買っていけば問題はないのだが、
 アイテムのコンプがちょっと面倒。敵からしか入手できないアイテムとして「さきんぶくろ」「ルビーのおはじき」「ダイヤのサイコロ」
 といった換金用アイテムや、「バッカスのさけ」「エアのなみだ」「アダマンドリンク」「クリスタル」「アテナのキス」
 などがあるので、これらも1回は確保しておかないといけない。
「ユニコーンのつの」もそうだが、これはラストダンジョンで腐るほど手に入るので問題ない。


●まとめ

『新約』という前例があるだけに旧ファンは「今度はどうなんだ」と気になるところだと思うが、今回は、かなり原作に忠実。
 ただ、決して予算は多くなかったんだろうなと感じる点も多々あり、その結果が上で挙げたような点などにも繋がっているのだろう。
 技術的にも、これまで数多くの名作を手がけてきてノウハウはバッチリのはずのスクエニにしては「……?」と感じる点も多く、
 DSのサガリメイクのときにも思ったことだが、なんか新人の開発練習用に使われているような気がする。違ったらスマン。



デビアスの館。村・町にある建物もだいたい同じで使いまわしなのだが、
この窓はさすがに「コピペ、スゲェな……」とオモタ
お前ん家、窓多くね?


 不具合的なものに関してはPS Vita版特有のものかもしれないため、iOS版だと正常な可能性もある。
 さすがに両方プレイしての確認はしていられないので、冒頭でも書いたが、PS Vita版の感想として受け止めてほしい。

 欲を言えば、昔の攻略本に載っていた「幻の企画」などを今こそ実現してほしかった。
 NTT出版の「完全攻略編」によると、チョコボットは最終的に空を飛ぶ改造までいく可能性があったんだぜ……。
 個人的には、ダイムの塔をクリアすると下界には戻れなくなるのがちょっとイヤだったので、
 チョコボットが空飛べるようになってマナの神殿と下界を行き来できるようになればよかったなァと。
 マナの神殿まで行ったセーブデータだけだと、フィールドの音楽とかが聴けなくなるんよね。
 まあ今回はゲームボーイの頃と違ってセーブデータ10個作れるし、
 ダイムの塔前データ取っとけや&サントラ買えやって言われそうだけど。

 あと、ダイムの塔で思い出したけど、この距離なら、なんとかなったんじゃないか? という気もする。


リアリティのためにも、あと3マスくらい距離を離してほしかった気も。
ゲームボーイ版は1マスだったので忠実にしたのだろうけど……。


 さらにもう1枚、今回の『聖剣』で最も衝撃的だった事実。


誰か分かるかな?


 これ、ボンボヤジなんだけど、こんな妖怪みたいな風貌だとは思わなかった。
 顔から手足生えてらっしゃいますよね?


 ゲームボーイ版から実に25年。久々に触れた『聖剣』に、「あんたも成長したもんだ」……とは言い切れなかった部分もあるが、
 レベル99のトロフィーをとるためにシコシコとザコ敵を倒し続けていたとき、ふと25年前も同じことをしていたことに気付き、
 成長していないのはお互い様なのかもしれん……と、フクザツな気持ちに。

 でもラスボス戦でちょっと豪華になったあの曲をバックに、フラフラとうろつくヒロインに回復してもらいながら
 画面左右にバビュンバビュンと飛び回る主人公の姿を見て、25年前の感動が蘇ってきたのも事実。
 マナの樹が次の世代に種を残すように、25年前に蒔かれた名作の種が今また1本の樹となって現れたことに、ひとまず乾杯。







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