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2019年9月22日

山崎 功『ファミコン コンプリートガイド デラックス』(主婦の友社)

 2016 年に発売された『ファミコン コンプリートガイド』の豪華版。判型が A5 判から B5 判へと巨大化し、1ページ6タイトル構成から1ページ4タイトル構成にしたことにより、ページ数も 320 ページから 432 ページへ。税別 3,500 円。手に持ったときのズッシリ感といい、いよいよ、辞典みたいになってきた。

 以前の本との違いとしては、各ソフトのパッケージ箱写真を大きく掲載し、新たに箱裏の写真も掲載。また、以前の本はデータのミスが結構あったらしいが、それらも、確認がとれている範囲で修正されているようだ。以前の『ファミコン コンプリートガイド』ではブックオフの値札が貼られたままだった『ドラゴンクエストⅡ』の箱の写真も、キレイな物に差し替わっている……が、『ファミリーマージャン』はブックオフの値札がついたままだった。

 紙箱の値札は下手に剥がすと紙箱が破れる可能性もあるので、怖くて剥がせないこともあると思うが、『ファミリーマージャン』は紙箱ではなくプラケースで、表面はビニールなので、シール剥がしでなんとかなるはず。さすがに、こういう本を作るのであれば、そのくらいの労力は惜しんではダメなのでは……という気もする。ていうか、プラケースからパッケージの紙を取り出してスキャンすれば、シールが貼ってあっても問題なくスキャンできるのでは……。

 箱写真は「もっと大きく掲載してくれてもいいのに」と感じるが、1ページ4タイトル構成でこのページ数なので、仮に1ページ2タイトル構成にすると、900 ページ近くになりかねない。そうなるとさすがにページ数的にも価格的にもヤバくなるので仕方ないのだとは思うが、資料価値が命の本に求められる物の行き着く先は、案外そこではないかと思う。

 制作費の元を取るには、それなりの数の人に買ってもらわないといけないわけで、結局は理想とする形から妥協を重ねることになる。税別 3,500 円という時点で、ある程度の一般層を切り捨てているので、今回でもだいぶ難しかったのではと思うが、この本で制作費がちゃんとペイできるようであれば、いずれ 1,000 ページくらいで価格が1万円近いゲームソフトカタログ本が出てきてもおかしくはない。この本も、これを書いている現在「通常2~4週間以内に発送します」になっているので、買う人は、わりといると思う。もはや研究書の域だけど。

 そういえば、ディスクシステムのソフトのパッケージは透明のプラケースに説明書とディスクが入っているのだが、この透明プラケースは若干黒いのが特徴。この本に掲載されている写真は、どうも、そのケースの上からスキャンをしているようで、全体的に写真が暗くなってしまっている。以前の『ファミコン コンプリートガイド』では暗くなかっただけに、ここは惜しい点だと感じた。

 ・ ・ ・

 横型のパッケージに合わせたレイアウトのため、縦型の箱のゲームに関しては掲載画像がやや小さくなっていたり、上記の値札やディスクシステムの写真の暗さ等、微妙に詰めが甘いように感じた。基本は一度出した本の再利用であり、レイアウトの変更、写真の更新、データミスの修正がメインのはず。決して安くない価格の本なのだから、そこは徹底してクオリティ向上に努めてほしかったところ。

 あと、一時的なセールなのかどうか分からないが、これを書いている現在、以前の『ファミコンコンプリートガイド』の Kindle 版500 円になっている。この他、PCエンジンコンプリートガイドメガドライブコンプリートガイドwithマークⅢも 500 円に。単純にカタログとしてこの価格はお買い得なので、とりあえず読めればいいという人は今のうちに。

 しかし、Kindle 本のセールって、どうやって気付けばいいんだ……。

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