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2011年10月 4日

三条 陸/稲田 浩司「ドラゴンクエストIV外伝 地獄の迷宮」

表紙

 ドラクエ25周年記念BOOKの記事のときにチョロッと触れたマンガ「ドラゴンクエストIV 地獄の迷宮」。復刻版のほうがいつまで経っても品切れなので、近所の古本屋で昔のやつを買ってきた。昔に読んだ覚えがあるようなないような気がしていたのだが、今回改めて読んだ後も、やっぱり読んだことがあるようなないような感じだった。多分、古本屋で立ち読みか何かで見たのだろう。

 ベテランの女冒険者「プラナ」と、Lv 11 のくせに戦闘センスがケタ外れの少年「ギィン」の、アッテムト炭鉱での冒険を描く話。アッテムトという地名と、タイトルの「地獄の迷宮」と聞けば「絶対エスターク出てくるだろ」というのは予想できてしまうのだが、予想されることを予想して、最後の最後にもうひとつ仕掛けを張っているのは見事。おいしいところを少々かっさらいすぎな気もするが、このおかげで、『4』をプレイ済みの読者の記憶の中にある「『4』の世界」のイメージを崩さずに、上手いこと拡張できている感じもする。多くのプレイヤーの記憶の中の『4』の世界はそのままに、世界の片隅にこういう冒険者がいてもいいじゃない、っていう。

 そういう意味で、「ドラゴンクエストIV外伝 -地獄の迷宮-」というタイトルのつけ方は上手い。完全に思考を「アッテムト、地獄の迷宮」→「エスターク」という点だけに操られてしまう。真に注目すべきは「ドラゴンクエストIV外伝」のほうだった。

 ちなみにこの本の後半3分の1は「ドラゴンクエストI 秘伝 竜王バリバリ隊」という短編なのだが、いかにも少年マンガ的な展開は今読むと逆に新鮮で、マンガとしてはこっちのほうが好感が持てた。ドラクエそのものへの愛と、モンスターに対する愛がまぶしすぎる。2話以降は描かれていないらしいのだが、まだまだ続きが読みたくなる作品。でも、腹八分目と言うし、「まだ読みたい」くらいがちょうどいいところなのかもしれない。

 あと「主人公・ギィンの Lv は、なぜ 11 なんだろう?」と思っていたら、あとがきで「『4』に登場する全モンスターを1匹ずつ倒しても、Lv 12 にはならない」ということを調べた上でのことと知って、脱帽した。実は次号ニジマガのコラム用に資料として読んだ1冊だったのだが、この姿勢だけは参考にさせてもらった。……内容がエロだから、そういうとこくらいしか参考にできなかったんじゃないぞ。

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