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2011年6月 6日

阿佐田哲也/原 恵一郎『凌ぎの哲 麻雀バクチ列車!』上・下巻

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 この『凌ぎの哲』は数年前に「近代麻雀」で連載されていた麻雀漫画なのだが、7巻を最後に、未収録分があるどころか、最後となる「バクチ列車」編が丸々単行本化されないまま放置。
 当時「いやいや、さすがにそんなわけないだろう……」と調べまくったものだ。

 打ち切りをくらったマンガが単行本化もされないままフェードアウトというのは珍しくないことだが、『凌ぎの哲』は打ち切りではなかったはずだ。
 少なくとも最後の最後まで熱を持った、他に連載されているマンガと比べても明らかに面白い作品だった。
 それだけに、単行本化が途中で止まるというのは謎だったのだが……今回、いわゆる「コンビニ本」で初単行本化となった。
 表紙に得意気に「初単行本化!!」って書いてるけど、何かどうしても出せない事情があったのだと信じたい。
 単純に、『アカギ』のスピンオフ『ワシズ -閻魔の闘牌-』が売れてるぽいから、この機会に同じ作者の過去作品を売り込みまくるぜ~とかだったら怒るぞ。どんだけ見る目ないんだ。

 そういえば、福本伸行のアシによる『博打流雲ナグモ』も単行本化されていない。隠しきれないカイジ臭も相まって、面白い作品だったのだが……。近代麻雀は宝を眠らせすぎじゃないか。
 ジャンプの『ファイアスノーの風』が単行本になって『凌ぎの哲』がならない世の中なんて……。ガンガンの『密竜の門』は、しょうがないけど。

 で、近代麻雀コミックスとして刊行されていた7冊も絶版になってるので、これを機会に『凌ぎの哲』全部コンビニ本で復活かと思いきや「バクチ列車」編だけという。
 オイオイ、ここは売り込み時だろ。なぜ、まとめて復活しない……。そもそも、ひとつ前の「権々会」編の終盤も単行本未収録のままじゃねぇか……。

 そんな単行本事情は置いといて……
『凌ぎの哲』の魅力は、麻雀でのトリッキーな駆け引きとイカサマ技、迫力ある劇画、個性豊かすぎるキャラクター……と色々あるが、やはり一番は麻雀という遊戯の持つ "負の面" の描写だ。
 麻雀を生業とするアウトローな男たちの血生臭い麻雀バトルを通じて、博打の魔力と非生産性、博打で生きていこうなんて、それこそとんでもなく分の悪い博打なんだということをイヤというほど思い知らせてくれる。

 普通、マンガの主人公からは勇気やら希望やら正しい道を歩むことの大切さを得たりするものだが、このマンガの場合、全て正反対と言ってもいい。
 逆に、破滅の道を紙一重で歩んでいる主人公を見せ付けることで、反面教師にするべきというメッセージすら感じる。

 だが、男が生きていく上で大切なことは、このマンガに全て入っている。良く言えば、生き様の美徳、だろうか。
 自分の考えと心中できなかった時の後悔は、一生消えないほどの傷跡を残す。
 そういう思いを一度でもした人には耳が痛いほどの教訓が詰まっているが、全く説教臭くなく、あくまで劇中のキャラクターの麻雀での戦いを描くことで伝えきっている。

 面白い麻雀マンガを読んだ時に、いつも思う。
 ルールは知ってるけど、俺はリアルでは麻雀はやめておこう。絶対に食い物にされる側だから。
 麻雀はスーパーリアル麻雀だけにしておこう、と────。



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