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2011年6月 2日

『ダンテズ・インフェルノ ~神曲 地獄篇~』レビュー

パッケージ


 2010年作品。

 妻を殺された男が、あの世にまで行って彼女を取り戻そうとするが、堕天使でお馴染みのルシファーに寝取られていることを知ってマジ切れ。
 地獄の亡者を片っ端から鎌でブッ殺していき、地獄の最下層でルシファーをシメる話。


01
大鎌を背負ってるのがダンテ、黒いのがルシファー、女の人が妻のベアトリーチェ。

ルシファー「いい女なので、いただきマンモス」
ダンテ「そうはいかんざき」
ベアトリーチェ「私は罪深いからこうなるのも仕方ない的な何か」
ダンテ「マジで? ルシファーに寝取られるってちょっとカッコいいとか思ってない? 地獄よ、ここ?」


02
ルシファー「じゃ、そういうことで」
ダンテ「ないわー。お前、ベアトリーチェに何かしたろ。媚薬とかそういう系の」
ベアトリーチェ「私は貴方にはふさわしくないひどい女的な何か」
ルシファー「コイツの身体も! 心も! 俺様のものだ……フハハハハ!」(飛んでどっか行く)
ダンテ「待たんかー! クソッ、文字通り地獄の底まで探しに行ったる!」


 だいたい、こんな感じ。
 有名なダンテの「神曲」をゲーム的にアレンジしてはいるけれども、比較的忠実なゲーム化に感じた。もっとはっちゃけても良かった気がする。
 いや、そもそも胸の皮膚に赤い布を十字型に縫いつけたオッサンが鎌振り回して地獄の悪魔どもをジェノサイドする時点で、相当アレンジはしてるんだけども。

 日本の発想でアレンジするなら、多分、主人公をイケメン優男か女性に変えたはず。
 ムサいオッサンを主人公に据えて、ゲーム性だけで企画が通る・売れる土壌が今の日本にはない。


■親切な地獄

 全部で9層ある地獄を順番に巡っていくのだが、ところどころに青い幽霊が居て、地獄の説明をしてくれる。
 亡者の声が轟く不気味な世界が続くが、セーブポイントも豊富で、実はかなりユーザーフレンドリー。


02
つかまって上下左右に移動できる壁は、格子の向こう側から亡者の呻き声が……。
細かいことではあるけど、つかまったままピョンコピョンコ飛んで移動できるので、
移動が遅くてイライラということがなくてイイ


 最近のアクションゲームは覚えなきゃいけない操作が多くて、やる前から面倒に感じることもあるが、これはかなり直感的な分かりやすさで、ほぼ思い通りに動かせる。
 本当はそれが当たり前なんだろうけど、そうでないアクションゲームが多い中だと、好印象。
 次にどこ行ったらいいか分からないということもなく、謎解きも易しめで全体的にサクサク進むので、アトラクション感覚で地獄を楽しめる。


02
ダンテの鎌はいろいろと変形して、鎖鎌や槍のようにもなる。
打ち上げて……

02
刺す!

02
敵を倒す際は「赦す」か「罰す」の選択が出る。
スキル修得に必要な経験値に聖ルートと暴虐ルートがあり、
敵を倒す方向性によって、使える技に違いが出てくる。
時間をかければ、両方全て修得も可能。


 60fpsを維持してるので画面はクッキリで「俺は今、ナウい3Dアクションゲームをプレイしている」感は抜群。
 3Dアクションゲームとしては優秀だと思うが、「神曲」という原作があるゆえに地獄巡りゲームということが最初から分かっているので、驚きは少なかった。
 時々ちょっとグロいけど、CERO Dなので、それほどでもない。ハイクオリティお化け屋敷を堪能してる感じ。


■不満点その他

 苦言を呈すならば、ゲーム性の部分で新しいことは何もやっていない。
『ゴッド オブ ウォー』的と言われていることが多いが、これまでに発売された3Dアクションゲームの良いところと反省点を消化してブラッシュアップした程度で、
 開発力のほとんどを地獄というステージのデザインに注ぎ込んでいる。
 ステージに凝りすぎたのか、敵がいっぱい出てくるからなのか、60fpsだからかは分からないが、時折、フリーズも発生した。
 セーブはこまめにしたほうがいいだろう。

 アクションゲームとしての作りは丁寧なので、低難易度にすれば、ムズすぎてクリアできないという人は居ないだろう。
 ただ、9層もの地獄を旅する過程は景観こそ変わるが似たようなことの繰り返しでもあり、先へ先へと引っ張る牽引力に欠ける。
 本筋となるストーリーをもっと大胆にアレンジして、二転三転するような展開にすべきだったのではないかと感じる。


■実績病患者の視点

 666ヒットコンボを決める実績だけが、やや面倒。
 終盤で解除しやすい場面があるのだが、そこを過ぎてセーブしてしまうと、もう一周するハメになる。

 DLC「聖ルチアの試練」を購入すれば666ヒットも余裕なのだが、1人だと「2人用試練モードを15種類クリア」の達成が不可能なため、追加実績250コンプにも至らない。
 さらに、400MSP出して追加実績が40しかないDLCもあり、全DLC合計で1290という微妙な数値。
 完璧を目指す人にとっては少々歯がゆいゲームかもしれない。

※DLC「聖ルチアの試練」の実績「批評家」の仕様が、ちょっとおかしいので注意。
 100個の試練を評価するというものだが、100では解除されない。
 同一投稿者の試練は1つまでというカウント法なのかとも思ったが、その計算でも100以上になった。
 150~200は覚悟しておいたほうがいいかもしれない。


■続編は出るのか……?

 ダンテの「神曲」には、この「地獄篇」のほかに「煉獄篇」と「天国篇」がある。
 ゲームもそれに倣って三部作を予定しているらしいのだが、2作、3作と出せるほどの評価が得られたかどうかは怪しい。

「アクションゲームは嫌いじゃないけど、だいたい途中で難しくなったり、ボスにやられまくったりして、やる気が削がれてやめちゃうんだよね~」という人には最適。
 今なら中古価格も安くなってるので、お手頃。
 価格下落の原因はゲームがつまらないからではなく、一度クリアしたら充分で、何度も遊ばせる要素がないだけ。
 アクションゲームとしての水準は高いほうだと思うが、同時期に良質のアクションゲームも多かったことから、相対的に影が薄くなってしまった不遇の作品かもしれない。

 「神曲」は、イタリアの詩人・ダンテが子供の頃から好きだった人に想いを伝えられないまま相手が亡くなり、その後悔とも言える念が執筆の原動力となったと言われている。
 700年の時を越え、アクションゲームが好きな人に向けて作られたのであろうこの作品は、プレイヤーという想い人に届けることができただろうか。



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