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2011年2月 3日

Xbox360『円卓の生徒』体験版レビュー

 Xbox360 に不足していた『ウィザードリィ』系(以下、ウィズ系)RPG。PC からの移植。PS3 や、DS、PSP 辺りでは最近出まくっているウィズ系だが、Xbox360 ユーザーとしては「実績増やせるウィズ系RPG」ときたら、これは買うしかない……いや、でも同じウィズ系である『エルミナージュ』も途中で止まったまんまだし……と思い悩んでいたのだが、体験版を最後までプレイしてみて、予約するまでに至ったので、せっかくなので体験版レビューを。

 実際は「ウィズっぽい画面構成の旧型 RPG」だった。最大6人パーティで、戦闘やダンジョンはウィズ系。仲間キャラクターは自分で作ってステータス割り振りするのではなく、ストーリー上、ちょっとずつ増えていく(レベルアップ時のステータス割り振りはある)。ダンジョンから出た時点で HP・MP は全快するので、経験値が貯まった仲間をひとりひとり馬小屋に泊まらせる仕事をしなくてもいい。

 全体的にウィズをベースに遊びやすさを追求した感じで、ウィズ特有の面倒な部分だけを上手く削り取っている。もちろん、その削り取った部分こそがウィズなのに! という人もいると思うので、この点の評価は人によるだろう。

 個人的に惹かれたのは、「魔王に敗北する勇者一行。世界は闇に包まれ、時は経ち、転生した勇者は……」というベッタベタなオープニングと、ゲーム中に使われている PC-98 ライクなフォント。ゲーム自体も全くハイテクを使ってないので、画質の良い PC-98 ゲーをやってる感覚。しかし「魔王」とか数年ぶりに聞いたよ。


いかにも今風な絵柄のキャラと、シンプルすぎるゴシック体。
この画面写真だけを見ると、アイディアファクトリーの新作にしか見えない


わかる人にはたまらない PC-98 テイスト。
ハイデフ環境のゲームで何故このフォントを採用した……


 転生後の体にまだ慣れない勇者は、リハビリも兼ねて、ゴブリンにさらわれた女の子を探しに行くことに。女の子の兄貴分である男戦士やエルフの女魔法使いも仲間に加わり、ゴブリンの潜む渓谷の探索を開始する……という、テーブルトーク RPG レベルの地味冒険から始まるが、これが不思議と全然モチベーションが下がらない。

 理由を考えてみたが、あらゆる動作が快適ということ。これに尽きる。ダンジョンから出て、武器や回復薬などを買って、またダンジョンへ行く。この間のロード時間は、ほぼゼロ。戦闘も、ボタン押しっぱなしで高速ログ送りができるので、ザコ戦が苦にならない。ウィズ系にありがちな、序盤の難易度の高さもない。


戦闘画面。画面が広すぎて持て余してる感が微笑ましい

 別に目新しいことをやっているわけでもないし、特別魅力的な導入イベントから始まるというわけでもない。ただ快適で苦にならない、ということの大切さが身に染みる。

 最初の事件を解決すると、これからの拠点となる場所が解放される。そこには円卓があり、魔王と戦った頃はここに騎士たちが集い、円卓の騎士と呼ばれていた。

 時代は変わって現代。他の仲間が若いこともあって、主人公は「先生」と呼ばれることになるのだが、仲間ひとりひとりに対して面談や食事もでき、育成シミュレーションみたいな側面もある。さしずめ仲間たちは生徒であり、円卓の騎士ならぬ円卓の生徒。魔王を打ち破るにはまだまだ力が足りない。仲間を育て上げ、自身も過去の力を取り戻さなければならない。さあ次の目的地へ出発だ……というところで体験版は終わる。壮大な音楽も相まって、「転生した勇者を筆頭に、俺たちの冒険が今、始まる!」感が盛り上がる。なんか、ワイルドアームズの “荒野の果てへ” っぽい曲もあったが……。

 途中でゲームオーバーにならない程度の絶妙なゲームバランス。拠点でやれること、ダンジョン探索、戦闘といった、ゲームの核である要素は全部楽しめる。そして購買欲を煽る、いいところでの “引き”。過去にプレイした体験版の中で最高の完成度を誇る体験版だった。

 恐ろしく今更でオーソドックスなゲームであることは間違いないし、俺自身、Xbox360 のゲームじゃなかったら手を出さなかったのも確か。「ウィズ系大好きだけど、最近、実績ないとモチベが……」という Xbox360 ユーザーを狙い撃ちにした超ニッチな商品といえる。

 公式サイトのブログによると、初回生産数が少なくて品薄になる可能性大。それも販売戦略のひとつだろう、と思われるかもしれないけど、Xbox360 のソフトってだいたいそうだから、品薄説に信憑性ありすぎるのよね……。

 発売まで、あと1週間。楽しみにしてます。

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| コメント (2)

コメント

こんばんは、お初に書かせて頂きます
とはいえ、陰ながらサイトを見させて頂いてもう5年くらいでしょうか?w

当方、ゲームの仕入から販売をしている者ですが、
この商品がウチに1本入荷予定でしたが、
本店の諸事情により回ってこなかった作品です

PSPやDSのソフトと比べると、
360のソフトはかなり入荷数が少ないです
この5年、様々なソフトを販売してきましたが、
Xboxから360、キネクト対応まで1タイトルで
入荷数が10本を超えた商品は無かった気がします

これからも深夜に大笑いできるコラムを楽しみにしております


投稿者 iwasaki : 2011年2月10日 00:21

おお……本業の方!
書き込みありがとうございます! 5年て!

>入荷数が10本を超えた商品は無かった気が

やはり360は仕入れからして少ないんですなー。
多分、360のゲームが面白い面白くないというよりは、
360の本体を持っておらず、また、買う予定もない人が多いため、
多少面白そうなゲームが出ても「本体を買うほどでは……」
という感じな気がします。最近はマルチも多いですし。
発売初期~中期の本体故障騒ぎはかなり効いてると思います。
今は大丈夫だけど、初期型は実際よく壊れた……。

> これからも深夜に大笑いできるコラムを……

プレッシャー!
頑張ります。


投稿者 夢崎 : 2011年2月11日 11:09

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