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2010年10月31日

パラノーマル・アクティビティ

パッケージ

ケイティの周りでは、彼女が少女の頃から不可思議な現象が起こっていた。
彼氏であるミカと一緒に住む生活になった今、それは徐々にエスカレートしてくる。
ミカは半信半疑だったが、次第にひどくなる不可思議な現象を無視することもできず、
毎日の生活をビデオカメラで撮影し、記録していくことにした。

寝る時は寝室にカメラをセットして眠る2人。
そのビデオに映っていたのは……。


 超常現象、オカルト系のホラー。こう聞くと怖くもなんともない、ありがちなものに思えるが、「寝てる間の様子を録画したホームビデオ」という形式が怖さを一気にフルスロットル。海外のホラーというと昔からビックリ箱形式で、「いきなりワッと驚かせるのをホラーと言われても……」という感じだったのが、日本ホラーの「ゾッ」とする感覚を入れてきた。

「怖いもの見たさ」という言葉があるが、この作品をグイグイと最後まで見せる力は、まさにそれ。だんだんエスカレートしてくる怪奇現象は、従来のパニックホラーの撮り方だと全然怖くなかったと思う。「2人が寝ている間にカメラがとらえた衝撃映像」という手法が、本当に全てを占めている。

「さすがにもう幽霊とかポルターガイストとか、そういうのを怖がる歳じゃないんだよ。本当に怖いのは人間だし、現実世界の生活こそが最高の恐怖だよ」とか思いながら観ていたら、夜中の2時に1人で観始めたのをマジで後悔した。これは怖い。

 ただ、残念なところもある。

1,毎晩、寝室のドアを開けっ放しで寝ている。

 これは不自然だった。こんな怖い思いをしていたら絶対閉めるだろうし、してなくても普通、閉めるだろう。演出上、開いていたほうが都合が良いのは確かだが、毎回開閉すれば問題ないし、廊下の電気が点くシーンでも、ドアの上部がガラス窓にでもなっていれば OK だったはずだ。

2,細部の設定が結構あやふや。

 映画『リング』は、ただ怖がらせるだけでなく、世界観や様々な設定の構築が見事で、それらが生み出す説得力が怖さに繋がっていた。だが、この映画における “アレ” は、襲ってくる理由や目的、意志といったものが、説明しようとはしているんだけど今ひとつ詰め切れていない印象を受けた。

 特に「何故、ケイティなのか」「何故、深夜に寝静まってからなのか」「何故、一気にではなく、ちょっとずつエスカレートするのか」といった辺りに、明確な理由が欲しかった。『リング』以前のホラーというジャンルは「理不尽上等、怖ければ何でもいい」であり、今も大半のホラーはそうなのだが、せっかくここまで作ったのなら……と、ちょっと惜しい感じがした。

 特に怖い BGM も流さない。ただ、そこで発生していた音だけが聴こえることの恐怖。作り手は特に驚かさない。ただ、画面で起きていることを見た視聴者が「それに気付く」ことの恐怖。それだけに、結末の露骨な “おどかし” は蛇足だったように思う。あれで白けてしまった人も多いんじゃなかろうか。

 ……と、苦言を呈しつつも、怖くて面白かった。これはカップルで観たら効果抜群だろう。しかも結末まで観ずに、わざと終盤で観るのやめるべき。「今日は怖いから泊まって行って……」っていう流れにもっていきたい人にはマジオススメ。

 ただ、DVD には「稲川淳二と観るパラノーマル・アクティビティ」という、本編を稲川淳二の解説つきで観れるというモードがあるのだが、これはある意味、爆笑もの。ムードを大事にしたい人は、これは観ないように。

 冒頭で登場する白い車を見て「日本の車ってのが、なんかこうね、嬉しいですよね~。しかも白ってのがね。明るい色ってのがまた逆に怖いですよね~」と早速マシンガントーク。「いや、まだ、そんな喋りまくるシーンじゃないだろここ……」とか思いながら観てると、途中のちょっと退屈なシーンで、本編と全然関係ない「単なる稲川淳二の怖い話」が始まったりと、やりたい放題。もはや本編が背景と化してて、タチの悪い MAD 動画寸前。これはおもしろい。

 最初は本編に稲川淳二の音声だけをかぶせてある感じだったのが、途中で本編のほうがワイプになって、稲川淳二がスタジオで喋ってるほうが画面にデカデカと出て怖い話を話し始めた時は、さすがに笑った。心なしか、顔を下からライトアップしてるし。怖い話中も画面右下で本編流れっぱなしなのと、稲川淳二はあくまで本編を「観ながら」話をしてるので、自分の話に集中できずに気が散ってるのも分かったりして、どこかホッとしてしまう。

「稲川淳二と観る」と聞くと、怖いものをより一層怖くするようなイメージがあるが、これは完全に逆効果。怖かったけど、稲川淳二と一緒にもう1回観たら怖さが中和されて、安心して眠ることができた。

 ありがとう、稲川淳二……。

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| コメント (1)

コメント

新しいジャンルになるのかもしれませんね。

 稲川淳二と見るサスペリア
 稲川淳二と見る丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる
 稲川淳二とやるダークシード

夢広がりんぐ。


投稿者 Anonymous : 2010年11月 4日 14:59

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