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2010年5月20日
『Rogue Warrior』レビュー

昨年末、海外のゲームメディアが揃って親の仇のようにボロクソに叩ききったレビューと低得点を示し、「たとえ余分な金があっても買うな」とまで書かれた『Rogue Warrior』。以前、Play-asia.comで新品800円で投げ売りされてた時に確保しておいたので、そろそろ開封しようかなと思い、せっかくなので、ついでにレビューを書いておくことにした。
ハッキリ言って完全に怖いもの見たさと実績の2点だけで買ったので、ゲーム本来の「面白そう!」とか「5000円出してでもやってみたい!」というような正しい欲求に基づいて購入・プレイしたものではなく、今日食べたメシを覚えておくために書いておく日記程度のものだということを最初に記しておきたい。
■どんなゲームなのか
アメリカ海軍特殊部隊SEALの元隊員である"Richard Marcinko"の同名小説を原作とするゲーム。
一応、ストーリーや戦い方などは作者の経験に基づいた実話ということらしい。
ゲームとしては、1980年代の北朝鮮の国境にあるソ連施設に潜入してステルスや銃撃戦を繰り広げる、ごく普通のFPSと思えばいい。

このヒゲ面が主人公のマーチンコ。
語尾に「ファック」「ファッキン」がつく新手の萌えキャラ
英語のゲームで字幕すら出ないので詳しいストーリーは分からないし、主人公の言葉遣いが悪すぎて、「ファック」と「ファッキン」しか聞こえてこないので、分かる必要もなさそうだということが分かる。
それにしても、とにかく下品な言葉遣いな男の名前がMarcinko、マーチンコである。
出来すぎてて気味が悪いと言うべきか、名は体をあらわすと言うべきか。
なお、グーグルに「リチャード・マーチンコ」と入力すると「もしかして:リチャード・マルシンコ」とか出るのだが、何よりマーチンコのほうがいいので、ここではマーチンコで通す。
■ゲームとしての出来
すでに散々叩かれているゲームなので今更語るまでもないのだが、やはり自分の目で「実際にどうなのか」を確認してみたかった。
結論としては、これをFPSとして見るからダメなのであって、マーチンコ先生の殺人エンターテイメントショウとして見れば、開幕30分くらいは楽しめる。それを過ぎると、殺しのパターンが出尽くして、殺しのシーンですらスキップしたくなるからだ。
マーチンコ先生の殺し方は、やってみた感じでは主に7種類(パターン違いは他にも色々ある)。
1:背後から頭蓋骨めがけてナイフを振り下ろす。

グーで殴ってるだけに見えるが、ナイフの刃の部分が完全に入ってます。
よりによって特に硬い場所な気もするが、豪腕マーチンコにかかれば「どこ刺しても貫けるから、どうせやるなら脳」ってところなのだろうか。
刺した後は「ハンコの正しい押し方を教えてやるぜファッキンアス」とばかりに手首をくねらせてグリグリ。
この動きだけ抜き取ってGifアニメにしたいくらい。
なお、たまに正面から顔面にナイフを突き刺すこともある。
もし次回作があるとしたら、多分コンクリートの壁越しにナイフ突き刺すくらいはやってくれると思う。
2:背後から腰めがけてナイフを3回刺す。
潜入先で背後を取れたら「声を上げさせないように口を塞いで喉をかっ切る」一択というのは素人判断なのだろうか。
「大事な部位だから3回刺しましたファッキン」とばかりに必ずザクッザクッザクッと3回。
至近距離に他の敵が居てもこれするからね、マーチンコ先生は。
3:風のように喉元を掻っ切る。
そうそう、これだよこれ的な。
ただし、ある程度ダメージを与えて、相手が弱ってる時にしか出ない気がする。これを真っ先にやるべきだと思うんだけど。
4:背後から素手で首をひねって首骨折り。
ポピュラーな「頭を持って、横にまわすようにボキッ」から、「なぜか背後から首を小脇に抱えて、敵を立ったまま仰け反らせて折る」まで様々。
相手も素手ならまだしも、銃を手に持ってる相手でもこれやるからね、マーチンコ先生は。

マーチンコ先生なら、このままブレーンバスターに持っていくのではないか……そんな予感すら匂わせる
5:相手が銃を持ってる手をひねって銃で顔面を殴り、銃口を相手の顔に向けてBANG
「鉛弾の味、テメェで味わいな!」的に。
何度も言うけど一応潜入中なんで、なるべく静かに殺してほしい。
6:背後から「悪いが、ちょっと眠っててもらおうか……」ってカンジのスリーパーホールド。
すごい一瞬で敵がおとなしくなって倒れる。
スリーパーの「頚動脈を締めることによる一時的な気絶」は格闘技などでも有名で、これくらいの傭兵なら朝飯前なんだろうなーとは思うけど、問題は5秒かかってないからね、これ。どんな人間でも、気絶まではもっとかかるんじゃ……。
……と思ってたんだけど、くらった敵は二度と起き上がらないから、ひょっとしたらこれスリーパーじゃないのかもしれない。

7:背後から股間を突き刺した後、腰を3回刺す。
違う意味で致命的ではあるが、気付かれずに背後から仕留めるという意味では何故そこなのか。
我々素人には想像の及ばないプロの成せる技が垣間見える。

マーチンコ先生の慈悲なきナイフが、兵士の○ンコに牙を剥く(○ンコ繋がり)。
この時点では単なる下方からの攻撃に見えなくもないが……
↓
↓

入った!(声:児玉 清)
でもちょっと入りすぎ。もうハイレベルなフィストファックだよこれ。
以上のように、見敵必殺の名がふさわしい殺しっぷりを誇るマーチンコ先生だが、たまにブン殴って、抱え上げて下の階へ落とすだけという甘さを見せることがある。下の階に敵の仲間が居てもおかまいなしにこれやるからね、マーチンコ先生は。
落とした敵はなぜか100%死んでいるからいいものの、よくて重傷、うまくいけば軽傷程度で済みそうに見えるので、「どうした、這い上がって来いよ。なんなら仲間を呼んできてもいいんだぜファッキンアス」という、マーチンコ先生の余裕が窺えるサービス攻撃と見るべきだろう。
■ゲームとしてダメな点
・残り体力が分かりづらい
体力ゲージの類が無く、あとどれくらいで死ぬか、今はどのくらいなのかがサッパリ分からない。
体力の減少とともに画面がカラーからモノクロに変化していくので、それだけが判断材料なのだが、元々、色合いがそんなにカラフルなゲームでもなく、非常に分かりにくい。体力は時間経過で自然回復していくので、モノクロっぽいなーと思ったらしばらく待機して、カラーになるのを待つ。壊れたテレビをだましだまし使い続ける感じ。
しかしこれは「体力ゲージ」などというゲームゲームしたもので戦場での生死を表現できるか! というマーチンコ先生のリアリティ徹底主義が開発現場で火を噴いてしまった可能性も否めない。開発スタッフが反対しようものなら「貴様の視界もモノクロにしてやろうか?」とでも言われたのだろう、多分。
・ヘッドショットを決めても、そんなに効いていないことがある。
何を言っているのか分からないと思うが、その通りだから仕方ない。
・かと思えば一発で死ぬこともある。
このせいで敵の種類による耐久力が分からず、銃の連射ペースが全くつかめない。
このゲーム3周したけど、結論としては「敵が動かなくなるまで撃て」。
・ナイフ無双
敵の至近距離に入ると「Kill Move」と表示され、Aボタンを押すとナイフで敵を一撃必殺。
「敵に気付かれてない場合に背後からのみ」という条件でなら、割とそういうゲームはある。でも、真正面でも全然OK。
このキルムーブがあるせいで、下手に銃撃戦展開するより、多少の銃撃を浴びつつ走り寄ってナイフで殺したほうが早い場合がある。
特に部屋の中に敵1人しか居ない場合は完全にナイフ一択。こうなってくるともうFPSというより『天誅』に近い。
・Kill Moveが時々反応しないことがある
散々ナイフ有利を語った後で恐縮だが、画面上に「Kill Move」と表示されてるのに、何度Aボタンを押しても全く無反応なことがある。
絶対適当に作ったからだと思うが、この曖昧さのせいで「ナイフに頼り切るのも、それはそれで危険」という、まさかの絶妙なバランス取りになっている。「戦場で傷ついた身体は時として自分の意にならないこともある……自分の身体と言えど過剰な信用は禁物だ」というマーチンコ先生のメッセージかもしれない。
・敵の視界に入ってさえいなければ、背後から走って近付いても気付かれない。
走ると、ちゃんと足音はするし、発砲すれば、その音で敵が感知する。
別に音が聞こえていないわけではない。じゃあなんでこんな仕様になってるのかと言うと、これはマーチンコ先生が背後から人を殺すゲームなので、足音感知して振り向かれでもしたら興醒めだからだ。ドゥーユーアンダスタンファック?
・敵のAIが馬鹿すぎて逆に苦戦
グレネード投げたらその場から逃げたりといった知恵はあるくせに、お互い物陰に隠れては時々顔を出しての銃撃戦になると、シビレを切らしたのか、たまに撃ちながら普通にまっすぐ走ってくることがある。
これはカミカゼ特攻もいいとこで、こちらとしても接近戦はナイフ無双なのでありがたい……のだが、物陰に隠れた状態を解除して、キルムーブできるように敵を正面に見据える準備をしなければいけない。が、特攻があまりに急すぎて、この動作が追いつかない。
QTEならぬQTK(急に敵が来たので)である。
最高難度「Elite」だと至近距離で2~3発くらうと即死なので、非常にマズイ。
適度に離れた近距離で止まってくれると、物陰から飛び出して一気にキルムーブできるのだが、AIが本当に馬鹿なので、考えなしにキス距離まで迫ってくる。ここが主観視点の悲しさ、敵が近すぎると、自分の真横に居ても見えない。撃たれてることは分かる。ダメージくらってるのも分かる。すげぇ近くに居る、むしろ隣か背後に居るのも分かる。でも何処!? みたいなことになる。
もしここまで計算した難易度だとしたら史上まれに見るスゴいFPS。
敵兵士の5人に1人くらいの割合で特攻してくるので、リアリティという面ではガタガタな気もするが、「戦場という狂った箱庭の中では時として人は思いもよらぬ行動を取ることがある……油断は禁物だ」というマーチンコ先生の以下略。
・ストーリーが全然盛り上がらない
全8ステージ、その全てが「なんか潜入→背後からナイフ一閃 or 銃撃戦→爆弾仕掛ける→爆発 de 脱出」で終わる。
ラストステージともなれば敵のボス的存在でも出てくるのがゲームというものだが、最後の最後までザコ兵士しか出てこない。
多分、敵のグラフィック5種類くらいしかないぞ。
・エンディング曲がひどい
エンディング曲というものは、カタルシスを感じさせるもの、作品の最後を締めくくるものといった重要な役割があるが、本作のエンディング曲はボリューム大きめにしとかないとよく聞こえないラップ。
主人公に声をあてた俳優ミッキー・ロークがゲーム中に放ったセリフを無理やり繋ぎ合わせて作ったらしいのだが、ゲーム中のセリフってほとんど「ファック」なので、結果的に悪夢のように下品なラップが聴ける。
個人的には「ガッデム」と「ファック」と「ファッキンアスホール」と「ビッチ」しか聞き取れず、曲調も暗いので、このゲームの出来に対するプレイヤーの気持ちを代弁してるようにしか見えないのだが、マーチンコ先生渾身のブラックジョークの可能性もある。多分ここは爆笑すべき。
実際のゲームではスタッフロールが流れているが、ガイジンさんの有志による歌詞表示バージョンがあったので紹介。ゲーム中に使われたセリフの繋ぎ合わせだから仕方ないけど、後半、ファックファック言い過ぎ。なお、動画中に出てくる写真は実在のマーチンコ先生。似てる似てる。
■まとめ
FPSというよりマーチンコ劇場と思えばそこそこ愉快なゲームだが、賞味期限がかなり短いので、ワンカップ大関を開けて飲み終えるまでにゲームも終えてしまうのをオススメ。FPS慣れしてたら2時間、慣れてない人がリトライ繰り返して3時間以上はかからないだろう。
単純にFPSとしては言われてるほどひどくはないのだが、上に書いた有様だということと、特にほめる点も見当たらないので相対的にひどい。地形に合わせた物陰に隠れての撃ち合い、ライフルを使った狙撃、グレネード投げによる一網打尽の爽快感といったFPSの基本的な部分は楽しめるが、逆に言うとそれだけしかない。
昨今のFPSはグラフィックや戦闘部分で優れているが難しくもあるので、FPS初心者などは、あえてこういう作品から入ったほうがFPSというジャンルに自信がつくかもしれない。って、どんなオススメだよ。
最終的な満足度は「これをいくらで買ったか?」という点に尽きるだろう。
俺は800円で買ったが妥当だと思う。980円前後で売っていて、なおかつ実績を増やしたい人ならオススメ。
実績は、715まではカンタンに稼げる。
残りの285はオンライン実績で、自分を含めて『Rogue Warrior』を持ってる人間が4人必要なので、どこかで申し合わせて集まらないと、ちょっとキツい。そもそも、これを持ってる人間が4人も集結するというだけで珍事だよ。
本作についてのIGNの酷評レビューは有名だけど、もしかするとマーチンコ先生の口の悪さをリスペクトした高度なジョークだったのかもしれないなファッキンアス。
■おまけ:実績用メモテキスト
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