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2002年4月 4日

日本一遅い『ワイルドアームズ Advanced 3rd』レビュー

パッケージ

 ここでもレビューが公開されてるけれど、これとはおそらく正反対の、厳しめの評価。『1』も『2』もやったけど、『3』は どうなの? みたいな、RPG をやり慣れた人向けのレビューとお考えを。

 正直、好きなシリーズのレビューは出来るだけ好意的に書きたいし、実際、これを日記に載せようかどうしようか非常に迷ったのだが、ここはひとつ、「感じたまま」をお伝えしたい。

 ■1:キャラクター

 今回、シリーズ初というか世の RPG 全体として見ても珍しい部類の「女性主人公」だが、この人、綺麗事しか言わないので、大人の視点で見ると、あまりの甘ちゃんぶりにイライラすることもしばしば。言ってる事は総じて正しいのだけれども、世の中、そんなに甘くはないぜ? もし、街中でスカウトされたりしたら、相手を疑う事を知らずにホイホイついて行ってしまいそうで、非常に危なげ。ピュアすぎ。

 対して、ライバルに当たる女性キャラがいるのだが、こちらの言ってる事は実に現実的で的を射ており、「この人が主人公の方がいいなぁ」と思ってしまう始末。ゲーム中、最もキャラが立っており、おいしいシーンをかなり独り占めしていくが、キャラ的に『1』のジェーンに酷似しているため、新鮮さは無かったのが惜しい。

 ……フォローするならば、このゲーム自体の対象年齢がやや下に設定されていて、主人公の「青さ」に共感できる世代向け、と考えるならば、主人公が今まで知らなかった世の中の厳しさを知り、それでも自身の信念は失わず、渡り鳥として成長していく過程をも共感できるのかもしれない。……ここまで書いて、「俺、もうピュアじゃないなぁ」と痛感。

 その主人公と終始行動を共にするジェット・クライヴ・ギャロウズの3人についても、予想以上にキャラが弱く、一応、それぞれが主人公格のイベントもあるにはあったけど、「そのキャラを好きになれる描写」が弱かったように思う。

 なお、このゲーム中、最も印象に残ったキャラクターはアーメンガード。(PS2 本体の日付によって毎日違うことを喋ってくれる、とある村の女の子)

 ■2:シナリオ

 シリーズ中、最も先が気にならない。導入部の列車でのシーンは演出的にも非常に凝っていて、これからの展開を期待させるデキだったのだが、列車を降りてから急に普通の RPG になってしまった感があり、以後、「○○を取りに○○のダンジョンへ」の繰り返しに。そのダンジョンの場所に関しても、次へ行く場所が分からなくなる事が多く、若干不親切な印象も。

『1』の「ロディは実は○○だった」とか、『2』の「冒頭でアシュレーがいきなり○○○○○化」といったビックリ展開が無かった事もあり、全体的に非常にフラットというか、なんとなく話が進んでいく印象。主人公が旅に出る事の大きなキッカケでもある「行方不明の父親」も、物語中盤でヒョッコリ姿を現し、以後、急に現れて質問には全く答えず去って行くことの繰り返しで、ストレス溜まりっぱなし。

 あと、ジェットが○○○○だという事も、説明書に1人だけ「年齢」が記載されていなかったので、薄々、そうじゃないかと。

 ■3:サウンド

 今回もシリーズ通してお馴染みの、なるけみちこ氏による曲だが、前回の主題歌のインパクトが大きすぎたのか、今回は印象に残るメロディーが弱め。今回も主題歌はあり、しかもゲームの進行具合によって歌詞やオープニングアニメの内容まで変わるという手の込みようだが、最初に聴いた時、サビがどこか分からないくらい微妙な盛り上がり方をする曲で、前作に比べ、パンチ力の弱さは否めない。

 しかし世の RPG 全体として見た場合、かなり上質の曲群である事は間違いなく、今回も街中の音楽は本当にホッとする。街から出たくなくなる。

 ■4:戦闘

 RPG における重要な部分、戦闘。これが面白いかどうかで、シナリオがマズくても名作にさせてしまう力を持つ、コアとも言える箇所。

 で、今回はどうかと言うと、まず、1度、戦闘に入ると逃げられない。事前に戦闘そのものをキャンセルできる「エンカウントキャンセル」は今回も健在だが、「エンカウントゲージ」による回数制限があるため、ダンジョン内で謎解きに詰まってウロウロしてたりすると すぐゼロになり、以後、宿屋に泊まるまでは遭遇する戦闘全てを必ず戦わなければならないという、非常にストレスの溜まるものに仕上がってしまっている。

 後半になると「エスケープ」という、戦闘から脱出する魔法が使えるようになるのだが、そういう魔法を存在させるのなら、最初から普通に逃げられるようにしてもいいような気も。あと、戦闘画面に変化をもたせるためか、キャラが無闇やたらと走り回るのだけど、これには特に意味は無く、ただなんとなく賑やかにしたかっただけの様子。

 ■4-2:戦闘 その2(ドラクエタイプの表示法)

 ドラクエで敵が炎を吐いた時、一番前のキャラから順番にキャラの人数分、画面が揺れ、その度に「○○は○○のダメージ! ○○は○○のダメージ! ……」と4回表示される。これが画面揺れ1回で「○○達はそれぞれ○○、○○、○○、○○のダメージ!」と、まとめて表示されたらどんなにラクかといつも思っていたのだが、このゲームでも似たような事がある。

 例えば状態異常を防ぐ魔法を仲間全員に使うと、「○○は状態異常を無効化!」みたいな文が画面上部に出るのだが、これがいちいち4人分、4回表示される。「○○は状態異常を無効化!」として1回にするだけで、だいぶストレスも無くなると思うのだけど……。

 あと、ラスボスが全属性魔法(6種類)を毎ターン使ってくるという時があり、これもいちいち6種類の魔法のエフェクトを延々と繰り返し、「もう分かったからダメージだけ表示して下さい」という気分に。『FF7』で言うなら、敵が毎ターン「ナイツ・オブ・ラウンド」を使ってくるようなもの。これはマジで勘弁して欲しかった。

 今回、新システムとして「イナーシャルキャンセル」という、例えば「攻撃」をコマンド入力していたが、仲間が予想外の大ダメージを食らったため「攻撃」を中止して回復アイテムを使わせる……といった、今までの RPG が抱えていた問題点を解消する「戦況に応じた行動の訂正」を行える画期的なシステムが採用されたのだが、実際プレイしてみるとあんまり使わないというか俺は1度も使わなかった。

 更に言わせて頂くと、この「イナーシャルキャンセル」、説明書に載ってないのはどうかと思う。

 ■5:ミーディアム(召喚獣)

『2』より導入された、「ミーディアム」に宿る「守護獣」の召喚。今回もあるのだが、やはりどうしてもFFシリーズのそれと比べてしまうため、見劣りするのは決定的。というのも、召喚後に守護獣が行うアクションがあまり格好良くなく、また、妙にフワーッとした挙動で、重量感が全く感じられない。とにかく迫力に欠ける。

 しかも召喚開始から終了まで、なにやら始終ディスクを読み込みっぱなしで、本体にも相当負担がかかってる感じ。おまけに飛ばせないので、ハッキリ言ってわざわざ召喚しようと思わない。実際、一切召喚しなくてもゲームの進行には全く問題ない。

 召喚とは別に、ミーディアムを装備することによって使える「パーソナルスキル」があるが、ミーディアムを付け変える度にスキルが全て外れてしまうため、その度に設定し直さなくてはならず、非常に面倒なものになってしまっている。

 ■6:ダンジョン

 今回は分かり辛い仕掛けが多かったように感じた。個人的にキレそうになったダンジョンの仕掛けとして、「バルブを回してから一定時間内に、遠い位置にあるスイッチにフックを当てる」というのがあったのだが、これがどうダッシュしても間に合わず、バルブからスイッチの位置までの最短ルートを綿密に計算して、気が遠くなるほど挑戦を繰り返した結果、すごいギリギリで間に合い、「ホントにこれが正解なのか……!?」と疑問に思いつつクリアしたのだが、後に「スイッチ凍らせて固定すると余裕で間に合う」という事を攻略サイトで知り、脱力。

 あと、通路に現れたり消えたりする丸い球体に触れると球体に捕らわれてしまい、なんと2階下まで戻されてしまうという厄介な仕掛けもあったが、その度に何回も昇り直してクリアー。しかし、後に「捕らわれてからレバーをグルグル回せば球体から脱出できる」という事を攻略サイトで知り、またもや脱力。

 なんとなくだが、「ダンジョンの謎解き」制作する人と、シナリオ書いてる人が完全に別働してる感じで、ダンジョン攻略→シナリオ語られる→次のダンジョン攻略、という流れに終始するこのゲームでは、「ハイ、このシナリオの先が見たかったらこのダンジョンをクリアしてね」みたいな感じがあって、シナリオを小出しにして、合間に入るダンジョンで時間稼ぎされている感じが。

 ■7:ハードディスクドライブ

 上で述べた召喚時の読み込みなどは軽減せず、ゲーム中、かなりの部分を結局 DVD-ROM から読んでいるため、ハードディスクドライブの恩恵は微々たるもの。実に残念。なお、インストール時には、ジェットがパン食い競争でアクセラレイターを使ったり、落ちてる 100 円玉を拾うためにアクセラレイター使ったりする愉快なイラストが 36 枚見れるよ!

 ■8:エンディング

 賛否両論だろう、これは。ただ、今までのシリーズと違い、ハッピーエンドとは言い切れない部分が多すぎる感じで、スッキリしない人は結構いるのでは。スタッフロール後に後日談的な話が少しあるけど、これはむしろ思い切ってなかった方が良かった気も……。

 クリア後に、クリア時のレベルとお金を引き継いで2周目を始める事が可能になるが、今までのシリーズにあった、いわゆる「ステータスアップアイテム」が存在しないため、2周目にほとんど意味がない。

 まだ確かめてないけど「あるアイテム」だけは2周目に引き継げるので、もし、何周もすることによってそのアイテムが2個、3個と引き継げるのなら……4人分、集めるために4周しなきゃならんのかなぁ、と思ったり。

 ■9:総評

 テーマは「想い出」と「絆」。全体として見ても、明らかに『2』よりも『1』の方向を狙った感じだが、結果的にダンジョンの量が多すぎたのか、ダンジョンをウロウロしてる「想い出」が大半で、「それはきっと、いつか「想い出」になる物語」というキャッチコピーに少々負けている気がした。

 というか今回のこのレビュー、特に誉めてる点がひとつも無いことに自分でビックリ。うーん。期待が大きかったのと、予想以上に普通の RPG だったからだろうか。前2作に思い入れがある為、客観的にレビューできてない気も。ワイルドアームズシリーズやったことない人がいきなりこの『3』をやったら、どういう感想を持つのか……そのへん、ちょっと気になる。

 ……というわけで色々と苦言を呈したが、それもこのシリーズを愛するが故! 次回作は、もっと はっちゃけてほしい。ドキッ! 女だらけのワイルドアームズとか。ソニーチェックの限界に挑むポロリ! セシリアが! リルカが! マリアベルが! ルカが興味本位で開いた淫魔法のデ・レ・メタリカがファルガイアをピンク色に染める!? いつもより明らかに肌色が多いグラフィック満載でお送りする脅威のファンディスク! ラギュオ・ラ・ギュラの陰部型の触手が女性陣を総ナメ!(別の意味で) マリエルが! カノンが! ヴァージニアが!

土下座しますから、発売して下さい。

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| コメント (1)

コメント

ワイルドアームズも、これ以降は遊んでいませんが(「1」のリメイク版は途中)。

個人的には、アームも普通の武器となってますし、「らしさ」が無くなった感じではありますが、結構好きでした。
でも、遊んだ感想は「普通・・・というか地味」でしたけど^^;


投稿者 Anonymous : 2009年7月31日 12:30

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