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2001年3月 9日

金が無いから本を読めッ

 先日買った「聖闘士星矢」の文庫版読んでたんですが、心臓止まった聖闘士って、背中から心臓が止まった時と同程度のショック与えたら蘇生するんですね。ふーん。……ってオイ! やっぱおかしいよ! 危ねぇ! もうちょっとで納得するところだった!

 また推理小説の話で恐縮ですが、ネタも無いことだし性懲りも無くレビュー。

 麻耶雄嵩『翼ある闇 (メルカトル鮎 最後の事件)』(講談社文庫)。

※トリック等のネタバレはありませんが、ストーリー上の若干のネタバレがあると思われるので、今から読もうと思っている方は適当に読み飛ばして下さい。

 さて、話の内容以前に、この小説は文中に神話や伝説の人物の名前を使った会話が多すぎる。以下、例。

「きみがクロートーで、僕がアトロポスというわけだね」

彼は運命の女神たちの名を挙げた。

「ラケシスの見当はついてるのかい」
「残念ながらラケシスはいないよ。僕は運命など信じないが、この屋敷に潜んでいるとすれば、それは死の神(タナトス)だよ」

彼はまさにヘラクレスだった。横には冥府の番犬ケルベロスを従えている。

「すると、やはり私はヘイスティングスか……」

 こんな調子。他にも、かなりの確率でこういった伝説・神話上の人物の名前が出てきて、その人物に絡めた話をすでに読者がわかっているものとして進めるものだから、少々タチが悪い。若干とばしすぎで、独り善がりな気がしなくもない。

 この小説にもいわゆる「名探偵」、木更津というキャラが登場するのだが、このキャラがどうにも馴染めず、何かとキザったらしい。名探偵とはそういうものだという意見もあるかもしれないが、どうにも好感が持てないのだ。

 なお、この小説は第一部と第二部に分かれているのだが、その木更津、第一部の最後で山に篭る。理由:自分の推理が外れたから。一瞬ギャグかとも思ったが、どうやらそうじゃないらしい。第二部でひょっこり帰ってくるのだが、その時に「鞍馬山に修行に行ってたんだ。滝にも打たれたよ」と言っている。でもこの発言により、この木更津がちょっと好きになった。話の途中で事件放っぽり出して鞍馬山に滝に打たれに行く探偵なんて、数ある推理小説の中でも彼くらいでは。

 で、第二部の冒頭からはサブタイトルにもなっているもう一人の名探偵「メルカトル鮎」の登場となるわけだが、これがまた木更津以上に嫌な奴。サブタイトルにもなっているキャラがこんなんでいいのかと思ってたら初登場後、96ページで死亡。いいのか、こんなんで。

 結末は……例によって説明できないが、やはりそれ以前に、全体的に随分と独り善がりの匂いがする。必要以上に登場する「独特すぎる神話関係の文章」と、キャラたちの「こんな言葉、日常生活じゃ使わねぇよ」といった会話が、鼻についてしょうがない。「感じ方は人それぞれだろ」と言われるかもしれないが、とにかく気になり、「いくらなんでもこれはちょっとカッコつけすぎだろ」という部分が多すぎる。

 本編が終わった後に、作者以外の人による、その本の推薦文みたいなのが載っていることがある。例にもれずこの本にもあるのだが、この文章がまたわざと難しい言葉を選んで使ってるとしか思えない、筆者がカッコつけてるとしか思えない難解極まりない文章。これだけの文章が書けるのなら、もっと砕けた文も書けるはず。ちなみに、その後にある「解説」を書いている人の文は非常にわかりやすく、すんなりと読める。その「解説」の中で書かれていた、

「読者は背負い投げの連続、鮮やかなドンデン返しを待っている。本格ミステリのファンは、ひたすら投げられることに無上の快感をおぼえる奇特な人種なのである」

という記述には思わず頷いてしまった。

 ……というわけでオススメはしませんが、ある種の怖いもの見たさ的な感じで手を出したい方は是非。






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