『ブランディッシュ』シリーズの正統後継作としては最終作である『3』が発売されて早7年。
今プレイしても充分に面白いうえ、昔のゲームをやると必ず感じる「グラフィックの劣り」は感じられなかった。
これは、『ブランディッシュ』が元々グラフィックに頼ったゲームではないことと、
ゲームシステムが完成されすぎていることの証明だろう。
しかしさすがに3作も続けていると、良いところと悪いところが見えてくる。
シチュエーションとしては『1』が最も燃えた。
ひたすらそのマップの出口を求めて歩き回るというシステムそのものがストーリーとマッチしていたからだ。
基本的に後戻りはなかったし、それゆえに、迷うことも少なかった。
だが『2』『3』と、全マップを行ったり来たりすることが増えた。
結果、少し時間を空けてしまうと次はどこへ行くのだったか分からなくなってしまうことも多く、
「ひたすら前へ突き進む」という『1』の "ブランディッシュ魂" も、ほんのり薄れてしまった気がする。
おそらくこういった事情やマンネリ感を打破すべく、『VT』『4』ではクォータービューという新たな挑戦に加え、
ひとつの塔の中を上へ上へと進んでいく作りにしたのだろう、と思う。
一方、システムは作を重ねるごとに良い方向へ進化している。
眼前に敵がいる場合、マウスの左ボタンを進行方向へ押しっぱなしにしているだけで攻撃し続けたり、
落し穴の自動回避などの AUTO 移動システムの充実、二刀流など武器装備パターンの変化、
『3』での「大きくなったマップ」は見やすくて最高だ。
“フルマウスオペレーション” を謳ったシリーズだが、本作は使用キャラの増加によって多彩なアクションを実現し、
マウスという、たったふたつのボタンしかないデバイスを限界まで攻めた到達点のようにも思う。
当時の広告では「ブラ3 終わってみれば マウスの達人」という俳句のようなコピーが書かれていたが、
まさにそのとおりであり、1キャラクリアするごとにマウスの調子がおかしくなったものだ。
だが、プレイヤーキャラが4人居るというのは、当時、あまりメリットとは感じられなかった。
全部マップが違ったりするのならば、やり甲斐もあるのだが、実際は LABYRINTH 2 以外は共通マップ。
大きく変化するのはエンディングだけという、マニアであっても少々ツラいものになっている。
後の『VT』『4』ではキャラによって変わるマップが増えたが、それでもまだバリエーションは乏しく感じたものだ。
しかし、4キャラでマップが全部違うものを……とかになってくると、それは新作を4つ作るのと同じなので
難しい問題ではあるのだが……。
そして何より、「マップ完成率などのデータを見るためには、毎回エンディングを見なければならない」という点。
1回目はまだ分かるが、1回クリアした後は、どこでも確認できるようにしてほしかった。
特にマップ完成率をチェックする際、いちいちラスボスを倒して EXODUS のマッピングを完璧にしてから
長いエンディングを見なければいけないので、実に気が滅入る。
……と、いろいろ言っても、『ブランディッシュ』をプレイしているときは楽しい。
自信があったマッピングを終え、長い長いエンディングを見終わって表示されたマップ完成率が
「99.16 %」とかだったら「マジで!? 何処が悪いんだよ~」と頭を抱えたりする。そして、またマッピングの旅に出る。
筆者は『ブランディッシュ』=マップ完成率のゲーム、と思っているくらいなので、
ワープの魔法を取ってから、すべてのマップを自由に行き来できるようになってからが特に楽しい。
マップ完成率が 100 %になったら、もうやることがないと言ってしまってもいい。
それくらいに、「100 %」は至難の業だし、越えるにやりがいのある壁なのだ。
……そして、心のどこかで 100 %になることを望んでいない自分がいる。
エンディング後のマップ完成率表示を見て、また頭を抱える自分がいる。
その顔はきっと、端から見ればスゴく嬉しそうに見えるはずだ。
「まだこのゲームをしゃぶり尽くせる余地があるんだ」……と。
2001 / 09 / XX 初版
2016 / 08 / XX 第2版
※本書は 2001 年に中途半端な状態で発表したものに大幅加筆し、完成させたものです。